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尾崎世界観『苦汁200%』を200%楽しむ方法【新井見枝香コラム】

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 幸い、私が世界一大好きな某バンドのボーカルは、どうやら本を全く読まない。ツイッターの投稿に飲んだ酒は上がっても、読んだ本が流れたことは一度もなかったはずだ。今後、顔やコメントが印刷された帯が書店に並んだり、お気に入りの本を片手に『ダ・ヴィンチ』誌面を飾ったりする心配はなさそうだ。あーよかった。

読書好き〇〇という有名人の存在は、非常に有難い。普段全く読まない人にまで及ぼすその影響力たるや、神様かよ、と思う。しかし誠に勝手ながら、彼にはそうなって欲しくない。なぜなら、読書好き〇〇はその読書量ゆえか、作家になる確率が高いからだ。日常をつづったエッセイや自伝的小説なんて、最悪だ。

そら読みたいに決まっている。読まなきゃファンにあらずだ。だが、読めばきっと、私は灰になる。舐めるように読んでは、どこからどこまでが本当なのかを浅ましく探るだろう。生活圏はどこなのか。恋人はいるのか。まさか結婚してないだろうな。ヒッ! それって本当に甥っ子の話……? あーヤダヤダ。そういう文章じゃないでしょうに。

楽しく読むにはもう、作者を男性として好きすぎている。この読書バカの私が読解力すら失ったら、ただの色バカである。

私が尾崎世界観の日記エッセイ『苦汁200%』を200%楽しんでいるのは、尾崎世界観の文章が好きだからだ。入り口がクリープハイプというバンドを知らずに読んだ小説『祐介』(ともに文藝春秋)なのだから、当たり前である(私はビジュアル系専門だ)。有名人が書いた本は、熱心なファンのためのもの、ファンが読んでこそ面白いものだというのは残念な思い込みでしかない。

顔も見たことがない作家のファンになるのは、読んだ本が面白かったからだろう。最初から著者のファンである必要などない。ファンじゃなくてもいい。むしろファンじゃないほうがいいんじゃないか。うっかりLIVEで尾崎世界観の歌にフォーリンラヴする前に読んどくべきだ。

『苦汁200%』(文藝春秋)

『祐介』(文藝春秋)


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