【産後うつ】「まさか自分が…」を回避!子育て支援施設に学ぶ、夫婦が乗り越えるべき“ある期間”

ウレぴあ総研

2018/4/13 14:44

産後には、思ってもみない「落とし穴」があります。産後うつや産後クライシスがそれにあたるわけですが、まさか自分が、という人も多いのではないでしょうか。

特に産後クライシスは、早めに対処しないと、離婚の危機にも直結する問題です。

産後の夫婦のミゾはいつから生まれるのでしょうか。深くなる前に、対策は産後すぐから立てるのが理想ですが、なかなか実際には、何をどうすればいいのか、難しいものですよね。

それが実現できる、産後のパパママのための施設が埼玉県川越市にあります。

その名も「パタニティ・マタニティハウス」。愛和病院を経営する愛和グループが、病院に隣接する土地に昨年2月にオープンした産後ケア施設です。

高い年間分娩数や、産前産後のママへのケアが充実していることでも知られる同院。施設名の頭にママでなく、パパを持ってくるところに、こだわりがありそうです。

いったいどんな場所で、どんな支援を行っているのか、実際にパタニティ・マタニティハウスにお邪魔してきました。

■パタニティ・マタニティハウスの全容とは?

パタニティ・マタニティハウス(以下PMハウス)では、「セカンドハネムーン」と銘打って、出産後、可能である限り、退院したその足で2泊3日の宿泊型子育て支援を提供しています。

利用できる条件は、初産であることと、愛和病院での出産者であること。

セカンドハネムーンを終えた後は、子どもが1歳になるまでの1年間、365日空いているサロンスペースで1日最大4時間を過ごすことができます。

木の香りの満ちた広ーいフロアには、赤ちゃんを抱いたり、遊ばせたりするママやパパが点在しています。

毎日定時に焼きあがるパンと飲み物は利用料金に含まれており、テーブルを囲んで談笑する姿も。

産後3ヶ月までなら、保育士であるスタッフに赤ちゃんを預けて、最大1時間半お昼寝できたり、ひとりの時間を過ごせたりする部屋まである、夢のようなサロンです。

サロンのみの使用料金は年間5万円ですが、大人気で、現在募集はしていないそうです。

PMハウスには、夫婦と赤ちゃんの絆を深めるために、おじいちゃんやおばあちゃんは入室できない決まりがあります。

これはなるほどと思いました。

初めての子育てでは、つい経験者である自分の母親に頼ってしまうママも多いものですが、それによって、パパが蚊帳の外に置かれる場合も少なくありませんよね。

■パパが授乳以外はすべて学べる場所

セカンドハネムーンでステイできるお部屋は5室。

生まれたての赤ちゃんと過ごす目的に特化したお部屋には、赤ちゃんのおむつはもちろん、パパとママのルームウェアまで用意されています。

ベッドタイプか布団タイプかを選べるようになっているので、自宅の寝室に合わせて選ぶ方が多いそうです。

ほぼ完ぺきなホテルのような空間で、パパはなにをするのでしょうか。

イクメンブートキャンプのようなスパルタ式かと思いきや、あくまで希望に沿って、子育てのあれこれをスタッフが実践で教えてくれます。

学べることはいくらでもあります。たとえば、赤ちゃんの爪切り、沐浴、先輩パパの話を聞く、キッチンを使っての簡単な料理などなど、ほとんどのパパは学ぶ意欲旺盛なのだそう。

滞在期間中は24時間体制でスタッフが待機していますが、意外にも、あまり夜中にコールが鳴ることはないのだとか。

何かあっても自分たちでなんとかしよう、というカップルが多いということでした。

PMハウスのセカンドハネムーンの狙いはここにあるのですね。

頼れるのはお互いしかいない、という状態を作り出すことによって、夫婦が子育てにおける最良の同志に育っていくのでしょう。

愛和グループ社長の藤田博子さんいわく、「パパが変わる確実な手ごたえを感じています」ということでした。

■100日目までを夫婦で乗り切ることが大事

「PMハウスはパパとママと赤ちゃんの絆を育み、子育てでわからないことを学んでいく施設です」とセンター長の志村さん。

とにかく最初の子育てに、不安と孤独はつきもの。

核家族化が進み、近所との交流も途絶えがちな現代では、先にあげた産後の落とし穴にはまらない方が少ない、とまで言えるかもしれません。

PMハウスの利用者は、毎日来る人がほとんどだそう。

その内容を考えると当然とも思えますが、その裏には、PMハウスを支えるスタッフさんたちの熱い想いがあると、藤田社長は言います。

「私は経営する立場ですから、休みなしなんて無理だって言ったんですよ。ですが、子育ての不安にクリスマスもお正月もない、というのがスタッフたちの主張で、その結果、今の365日オープン体制になったんです」

たしかに、夫の休みが土日でなければ、休日にさびしい想いをするママもいるでしょう。

「産後の100日目までが重要だと考えています。それまでを夫婦で乗り切れば、2人目のことを考えられる余裕が生まれると思うんですね」

と藤田社長。

志村さんによると、やはり産後3ヶ月くらいまでは、スタッフにいろいろ質問したり、相談したりするママが多いとのこと。

その期間を過ぎると、だんだんスタッフと話すより、利用者同士の交流がはじまるそうです。

■パパトークがアツい!

PMハウスでは、月一回、趣向をこらしたイベントが開催されます。他にはない個性のあるイベント作りを心がけているのだとか。

先日行われたのは、パパと赤ちゃんだけが参加するイベントで、ファシリテーターは先輩パパであるスタッフが担当し、大人の参加者はほぼ全員男性。

結果、予定した2時間ではおさまらない熱気に包まれ、アツいパパトークが繰り広げられたということです。

男性脳は、共感しにくいと言われますが、初めての子育てだったり、同じ病院で出産を経験したりする共通項が多い条件下では、自然と共感するものなのでしょうね。

不安を解消するためには、自力でがんばるより、知恵や体験談をシェアした方が、ずっとラクだし、楽しい! と気づくのかもしれません。

焼き立てパンを食べながらのティータイムでは、何人かのパパの姿もお見かけしましたよ。

■「落とし穴」にはまる前に

愛和病院では年間2800件のお産があるそうですが、産後のセカンドハネムーンを利用するのはまだごく一部だそうです。

決してお安くはない料金が利用しない理由かと思いきや、産後のアンケートでは、半数以上の人が、「そもそも検討しなかった。必要ではないと思った」と書かれるそうです。

なんでもそうですが、本当に危機になった時にはすでに遅い、ということがあります。

PMハウスの室内に貼られたスタッフの声のなかに、こんなものがありました。

「こんなはずではなかった…を無くしたい! 男は理屈で考える。だから確認が大事。

2人以外の人が側にいてくれる産後1年間の間に、2人でする子育てをしっかり確立しましょう。こんなはずではなかった…そんなことにならないために」

これは男性スタッフの書いた言葉だそうです。

スタッフには、育児経験者も多いということです。だからこそ、現場のリアルなニーズにとことん寄り添ったサービスが可能になるのでしょうね。



今のところ、産後ケア施設というと、ぜいたく品のようにとられることが多いですが、PMハウスを見学して思ったことは、産後うつや産後クライシス、ならびに子どもが小さいうちの離婚を減らすためには、これ以上いい方法はないのではないかということでした。

実の親が近くにいたとしても、むしろ親だから頼りたくない、頼れないというママもいます。また、親が、産後に適切なサポートと助言を与えられるとはかぎりません。

フランスでは、産後の女性の身体を産前の状態に戻す支援を国費でしていますし、同じアジアでは韓国は産後ケアに力を入れていて、産後を過ごす施設の利用は一般的と聞きます。

どちらの国も、ママになった女性を大事にする、ということが前提にありますよね。そして、大事にしてもらったママは、パパにも子どもにも優しくできるのです。

翻って、日本ですが、女性が輝ける社会を目指す、という目標が空々しく聞こえてしまうほど、産後支援は足りていません。それ以前に問題なのは、意識的な改革なのかもしれません。

自治体によっては、産後の家事・育児支援のヘルパーなどの利用助成を行っているところもありますが、結局使わなかった、という声を聞いたことがあります。まだ大丈夫、自分さえがんばれば、と思ってしまうのでしょうか。

多くのママがその調子だと思われますから、まずパパの意識改革にフォーカスしたPMハウスの取り組みは画期的。

こういった施設が増え、国の援助も増えることで、この国の子育てに笑顔が増えることを願ってやみません。

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