『正義のセ』、もはや『HERO』を侮辱レベル…見どころゼロ、今期ワースト連ドラの予感


 今クールの連続テレビドラマ『正義のセ』(日本テレビ系)第1話が11日、放送された。

主人公の竹村凜々子(吉高由里子)は2年目の新米検事。横浜地方検察庁港南支部に赴任して早々、枝野建設社員の向井(浅利陽介)が上司の恩田(石黒賢)から暴行を受けたという傷害事件を担当する。向井は日常的に恩田からパワハラを受けており、ある夜、居酒屋でガラスのコップを頭部に投げつけられた後、屋外の階段で恩田から暴行を受けて重症を負ったとして、被害届を出していたのだ。一方の恩田は容疑をすべて否認し、凜々子は両者に聞き取りをしたが、証拠不十分であったため、先輩検事の大塚(三浦翔平)と徳永(塚地武雅)から不起訴が妥当だと説得される。

しかし納得できない凜々子は、すべてを一から調べ直すために、「もう1日だけ時間がほしい」と訴え、その日の凜々子が担当分の処理案件をすべて大塚と徳永に代わりに引き受けてもらい、担当事務官の相原(安田顕)と事件現場を回り聞き取り調査を行う。そして向井が恩田に殴られたと主張する居酒屋近くにタクシー乗り場があることに気が付き、事件発生日時に客待ちをしていたタクシーのドライブレコーダーが手掛かりとなる映像を録画していたのではないかと考え、横浜のタクシー会社をしらみ潰しに回る。ついに恩田の証言の嘘を証明する映像を入手し、無事、起訴にこぎ着けるというところまでが放送された。

●見どころゼロ

第1話を見た感想としては、“正義感に溢れる検事が真実を突き止めるため、自らの足で現場を調査し、事件解決に至る”という、まさに大ヒット連ドラ『HERO』(フジテレビ系)の設定のパクリそのものではないか、と感じた。

吉高演じる凜々子は検事にもかかわらず、被疑者の証言を真に受けていちいち喜怒哀楽を表に出し、かつ被疑者や原告の話に感情が流されてしまう。加えて、涙ぐみながら「じゃあ、正義って、なんですか?」と安っぽい言葉を口走ったりと、あまりにアホすぎて、リアリティ感ゼロ。

リアリティという点では、枝野建設は大企業という設定なのだが、上司が部下を床に正座させて頭から水をぶっかけたり、殴る蹴るの暴行を加えたり、ガラスのコップを頭に叩きつけたり、「俺の言うことに文句があるのか?」的な暴言を吐きまくったりと、さすがにこのご時世にいくらコンプラ意識の低い大企業でも、そんなことしたら大問題でしょ、会社勤めの視聴者にとっては違和感を感じる場面が満載で、見ていて完全に興ざめしてしまう。まさに“出来の悪いドラマ”の典型という印象だ。

小太りの中年男性検事の徳永は良い人すぎるし、一見冷酷そうで口は悪いが実はちゃっかり凜々子を助ける“アツい人物”という大塚は“ありがちなキャラ”だし、被害者である向井の妻は妊娠中の身を押して一人で突然、港南支部の凜々子を訪問し、夫の苦労に気づけなかった自分を責めて涙ぐみながら、「不起訴処分になるんですか?」と凜々子に詰め寄り、その言葉を心を動かされた凜々子は再調査を決意する――って、全編にわたり“お決まりパターン”しかなく、ドキドキ要素もハラハラ要素もワクワク要素もゼロ。

“『HERO』モドキ”というか、“『HERO』の出来損ない”というか、ここまでくると、もはや“『HERO』を侮辱している”レベルでしょ。

このほかにも、吉高がまったく検事に見ないのはいうまでもなく、セリフも身振りも“私、演技ヤラされてます感”に満ちていて、思わず「下手くそだな~」という言葉が口から出てしまう。吉高って、キャリアを重ねるごとに演技が下手になっていくと感じるのは、私だけだろうか(そういえば、このドラマで主題歌を歌う福山雅治と共演した『ガリレオ』(フジテレビ系)では刑事役を演じていたが、それを見ていたときも同じことを感じた。結局、吉高は、おそらく彼女にとって初めの本格的なドラマ出演作となった約10年前の『あしたの、喜多善男』<同>のときが、一番光っていたのではないか。そのときの吉高はミステリアスで、小日向文世とのコンビは本当に良かった)。

いずれにしても、見る必然性をまったく感じない、今期ワースト連ドラの予感すら漂う『正義のセ』といえよう。
(文=米倉奈津子/ライター)

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