Facebookがゴタゴタしてる問題をいったん整理して、今起きていることを知ろう

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Image: Win McNamee/Getty Images News/ゲッティ イメージズ

わけわからんので一旦整理します。

Facebook(フェイスブック)から膨大な個人情報の漏えいが発覚したのは、つい先月の3月17日のこと。今回の件は「世界で最も重大なデータ漏えいに関する事件のひとつ」とも叫ばれ、被害者数は当初明らかになっていた5000万人ではなく、8700万人だったことが判明。Facebookに求められる責任はどんどん大きく、重いものになってきています。…ところで、結局のところ今回は何が起こっているんでしょうか?

元従業員の告発から発覚


きっかけは、現地時間の2018年3月17日にThe New York TimesThe Guardianで公開された記事。そこで、イギリスの選挙コンサルティング会社Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ、以下、CA)が、Facebookで得た個人情報を自社のビジネスに流用していたことがリークされました。告発したのは、クリストファー・ワイリー。彼は4年前までCAで仕事をしていた元従業員です。

ここでひとつ疑問が。そもそも、どうしてCAはこれほどまでに大量の個人情報をFacebookから集めることができたんでしょうか?

ケンブリッジ・アナリティカが生み出した心理兵器


CAが多くの個人情報を入手できたのは、とある人物がFacebook上で公開したアプリがあったからです。このアプリに携わっていたのが、ケンブリッジ大学の教授アレクサンドル・コーガン。彼は2013年、Facebookで性格診断ができるアプリ「This is My Digital Life」を開発しました。ユーザーの同意のもと、コーガンはユーザーの個人情報を集めていました。

そして、このアプリでコーガンが集めていた情報に目をつけたのが、告発者で、当時CA社員のワイリーです。CAのワイリーは、選挙コンサルティングで必要となるデータを求めて、アプリ開発者のコーガンにたどり着きました。ちなみに8700万人全員がこのテストを受けたのではありません。実際には26万人が回答しており、「友人」について答えるプロセスで個人情報が入手されていたようです。

コーガンもアプリを作って情報を集めるまではよかったんですが、CAにデータを渡してしまったのが問題でした。もちろん、これはFacebookの規約違反にあたる行為です。


ここまで聞くとCAが悪いように聞こえますよね。ところが、そう言い切れないのがこの一件を難しくしている要因。CAがこのテストで得た情報は、2015年にFacebookによって削除が要請され、CAはこのときユーザーの個人情報を削除したと主張しています。なので、そもそも削除した個人情報を選挙コンサルティングに利用できるわけがないというのが、CAのスタンスなんですね。

ただ、今回のリークが示しているように、実際のところ個人情報は削除されていませんでした。つまり、Facebookの個人情報でコンサルティングをしていたCAも悪いけど、それをちゃんと管理できていなかったFacebookにも落ち度があり、今回の一件が複雑になっています。

ケンブリッジ・アナリティカ側の問題点:Facebookから不当に入手した情報をトランプの選挙コンサルに利用


CAを一躍有名にしたのは、あのドナルド・トランプ大統領の選挙コンサルティング。CAはドナルド・トランプ陣営のサポーターとして、大統領選で勝利をおさめました。ちなみに告発者のワイリーを含めたCAの一部従業員は、共和党を支持しないとして会社を去ったようです。

もちろん、誰かの選挙サポート自体は悪いことではありませんが、Facebookの規約を破って得た個人情報を利用していたのでは?というのが今回の大きな問題点。いっぽうCAの代表(すでにクビ)アレクサンダー・ニックスは、Forbesにて「トランプが悪者になったから私たちも悪者に見えるのだ」とコメントしています。

まとめると、CA側の問題点はただのプライバシー問題というだけでなく、政治に関連した疑惑が絡んでいるため、この一件をより複雑にしているというわけです。

Facebook側の問題点:個人情報のこと、なんでもっと問題視できなかったの?


今回の一件は不測の事態だったとはいえ、膨大な数のデータを漏らしてしまったのはFacebookに他なりません。「CAは個人情報を削除したって嘘をついていたけど、Facebookはそれをどこまで追求したの?」「そもそもどうやって、CAに大量の個人情報が流れていたのを知ってたの?」などと、Facebookの管理のずざんさと不透明さに批判が集まっています。加えてCAは、個人情報の利用を否定しきっているので、「もうどうしようもならん」とFacebook側に説明が求められているのです。

現在は、ハッシュタグ「#deletefacebook」ムーブメントにWhatsApp(ワッツアップ)の共同創始者ブライアン・アクトンが参加したり、Tesla(テスラ)、SpaceX(スペースX)のイーロン・マスクは両社のFacebookページを削除。Apple(アップル)のCEOティム・クックは「Appleは個人情報を商品にはしない」と痛烈なコメントを残しています。

この動きは、テック業界のエグゼクティブによるものだけではありません。CAが本拠地を置くイギリスなど、世界各国も彼の証言を求めています。日本でも、菅官房長官が「個人情報保護委員会での対応」を考えていると発表しました。

ザッカーバーグ本人は、今回の件に対しかなり慎重姿勢で、なかなか口を開こうとはしません。この対応の悪さも、批判を浴びている理由のひとつです。

なお、現地時間4月10日にはアメリカ議会が公聴会をひらき、マーク・ザッカーバーグ本人の声明が明らかになります。次の大きなニュースは、ここでの彼の発言や態度に関することになるでしょう。

私たちのアカウントは大丈夫なの?


今回の一件については、情報が流出したユーザーのうち7000万人がアメリカのアカウントで、残りはイギリスやインドネシアのものだったそうです。ただ、正直なところ日本のアカウントが現在安全なのか、危険なのかについては定かではありません。ケンブリッジ・アナリティカの一件は氷山の一角と考えていいんじゃないでしょうか。

Facebookは現在、プライバシー保護のため電話番号での検索を廃止したり、データ流出被害者に通知を送るなど、さまざまな施策をとっています。しかし、その情報量の膨大さや事態の複雑さを考えると、それだけでは根本的な解決には至らないでしょう。

BBCによれば、マーク・ザッカーバーグは辞任を明確に否定し、今後の対処に向き合うと言いました。自分でまいた種ですから、しっかり解決して快適なソーシャル・ネットワークを作り直してほしいものです。

Image: Win McNamee/Getty Images News/ゲッティ イメージズ
Source: The New York Times, The Guardian, Facebook, Forbes, Buisiness Insider Japan, ITmedia, BBC, 朝日新聞DIGITAL, Engadget 日本版
Reference: ITmedia, Facebook

(豊田圭美)

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