朝ドラ『半分、青い。』脚本の北川悦吏子はずっと「障害者と恋」を描いていた

wezzy

2018/4/1 22:05


 4月2日より放送を開始する2018年度上半期の連続テレビ小説『半分、青い。』は、第98作目の朝ドラとなる。ヒロインを務めるのは永野芽郁(めい、19)、脚本は北川悦吏子(56)、主題歌は星野源『アイデア』。共演者には、佐藤健(29)、矢本悠馬(27)、松雪泰子(45)、滝藤賢一(41)、原田知世(50)、谷原章介(45)、風吹ジュン(65)、豊川悦司(56)、中村雅俊(67)が予定されている。北川いわく、『半分、青い。』は、「朝ドラの革命」。彼女がこの作品で伝えたいこととは何なのか。

物語は、ヒロインの楡野鈴愛(にれの・すずめ 演:永野)が誕生する1971年から始まる。岐阜県東部の田舎町で生まれた鈴愛は元気にすくすくと育つも、小学3年生の時に左耳の聴力を失う。しかし、鈴愛は持ち前のユニークな感性を発揮して雨音が片側しか聞こえないことを面白がるようになる。迂闊な面もあるが決して失敗を恐れない鈴愛が、少女漫画家を目指して上京し、挫折や結婚・出産・離婚を経験しながら、高度経済成長期の終わりから現代までを駆け抜ける――。

脚本を手がける北川悦吏子は大ベテランながら、以外にもNHKの朝ドラは初。“恋愛ドラマを書いている人”というイメージが強いのは、『素顔のままで』『あすなろ白書』『ロングバケーション』(フジテレビ系)や、『愛していると言ってくれ』『最後の恋』『ビューティフルライフ』『オレンジデイズ』(TBS系)などのヒット作がいずれも、男女の恋愛を描いているからだが、しかしそれだけではない。『愛していると言ってくれ』の豊川悦史が聴覚障害、『オレンジデイズ』は柴咲コウが聴覚障害で上野樹里も脚の障害、『ビューティフルライフ』の常盤貴子は車椅子生活。北川作品は恋愛ドラマでありつつ、ヒロインが何らかのハンデを持ち、周囲がそれを受容していくヒューマンドラマとしての側面が強いものも多いのだ。今あらためて見返せばその内容には議論の余地がある作品群かもしれないが、ともかくも当時はブームを巻き起こしたと言えるほどの人気を博していた。

実は北川自身、「10万人に1人の割合で発症するといわれる病」に二つかかったことを公表している。『半分、青い。』のヒロインの設定と同じく、左耳の聴覚は失っているという。もともと腎臓に持病があった彼女は、16歳の時に「子どもは産めない」と医師から告げられていたが、1993年に結婚し、1997年に「思いがけず」妊娠、長女を無事に出産した。しかし身体の負担が大きかったのか、1999年、人間ドックで「炎症性腸疾患」という難病指定の疾患が見つかり、闘病生活が始まった。再燃と寛解を繰り返し、2010年に大腸の全摘出手術を受けようやく症状が落ち着いたが、今度は2012年に突然左耳が聞こえなくなり、「聴神経腫瘍」と診断される。度重なる病に「どうして私ばかり」と泣いたこともあったが、かつて自身が書いた『オレンジデイズ』のセリフを思い出し、励まされたのだという。

『半分、青い。』は、北川からNHKに企画を持ち込んだという。自身が左耳の聴力を失い「傘を差すと左側だけ音がしないことが面白くて、これはドラマになる」と思い、民放ではなく「朝ドラでできたら画期的」だと考えたとのことだ。北川は1961年生まれだが、時代背景を70年代~現代にしたのは、1971年(ヒロインの誕生した年)は多くの子どもが生まれた年だから「たくさんの人に共感してもらえる」と思ったからだという。物語の舞台となる岐阜は、北川の生まれ故郷でもあり、彼女自身がヒロインに投影する部分は大きいのだろう。北川は2013年から15年にかけて中部日本放送の制作で岐阜県を舞台にした大人の男女の恋愛を描く単発ドラマを三本執筆している。

かつて“恋愛の神様”と呼ばれる稀代のヒットメーカーだったとはいえ、もう10年ほどヒットからは遠ざかっている北川悦吏子。2009年以降は3本の映画脚本も手掛けているが、2012年公開の中山美穂主演作品『新しい靴を買わなくちゃ』は惨敗、酷評されるなど、バブル期の残り香を引きずってもいたようだ。『半分、青い。』はいわゆる恋愛ドラマではなく、長丁場の朝ドラならではの「ほっこり」も求められていくが、北川が「革命」と自信を持つからには、いわゆる“朝ドラらしさ”からは逸脱した作品に仕上がっていくのかもしれない。ともあれまずは一週目の放送が楽しみだ。

あなたにおすすめ

すべての人にインターネット
関連サービス