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マツコ・デラックスから藤木直人へのスリスリが物議 セクハラ撲滅特集でも「男の被害は笑い話」?

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 3月26日放送の『あさイチ』(NHK系)の特集は「どうすればなくせる?セクハラ被害」だった。昨年5月に伊藤詩織さんが記者会見を開くなどして準強姦被害を告発したこと、また昨年10月にハリウッドのセクハラ問題が発端となって、セクハラ被害をセクハラや性暴力の被害をSNS上で告発する「#MeToo」運動が世界的に広まったことで、世界中で性暴力について考える動きが活発化している。日本でもはあちゅうこと伊藤春香さんが電通勤務時代のセクハラ被害を証言した(告発を受けた元上司は謝罪)ことがきっかけになり、「#MeToo」は相次いだ。しかしながら、日本の映画やテレビ、芸能界からの「#MeToo」はごくわずかで、メジャーな女優やアイドルが発言する機会は今のところない。

2016年に厚生労働省が発表した「妊娠等を理由とする不利益取扱い及びセクシュアルハラスメントに関する実態調査」では、28.7%の女性労働者が職場でセクハラ被害を受けた経験があると回答。またセクハラ体験者に被害を受けた時の対応を尋ねると、63.4%が「がまんした、特に何もしなかった」と回答しており、6割以上の女性は泣き寝入りしていることが窺える。その体験に恐怖を覚えトラウマになった人もいれば、理不尽な扱いに憤りを覚えたものの抗議したり訴えたりは憚られた・面倒くさいことになりそうだと躊躇した人もいるだろう。

『あさイチ』では、NHKネットクラブアンケートで「セクハラを受けたことがある」と回答した女性401人に「セクハラを受けたときの周りの対応(複数回答)」を尋ねた。すると、「見てみぬふりをした(48%)」「大笑いするなどあおった(24%)」「相手をやんわり止めた(22%)」「『セクハラだ』と抗議した(6%)」「その他(34%)」という結果に。相手に抗議したりやんわり止めたりする人もいるが、セクハラ行為を煽ってしまう、見て見ぬふりをしてしまう人のほうが割合として多い。しかしゲストの青木さやかは「止めた人」の数字を見て「すごく多い、この人たち立派」と言っていた。彼女の実感としては、ほとんどの人が止めてはくれないということなのだろう。柳澤秀夫解説委員が指摘したように、そもそも自分の目の前で起きていることを「セクハラ」だとは思わない者もいるかもしれない。

この日番組に寄せられた視聴者からのFAXには、セクハラが起こった時の周囲の対応がいかにひどいものだったか告発するものが多かった。女性上司にセクハラ被害を相談したけど「水に流せ」と言われた、かつてセクハラ被害を相談されたけど「しょうがないよ」と言ってしまった、男性社員の下ネタが飛び交う職場でそれをうまくさばいている女性の先輩を見て「デキる女」だと憧れた、セクハラに抗議したかったが被害に遭っているのは若くかわいい子ばかりで「セクハラもされないおばさんの発言」と取られるのが癪でやんわりと止めた……。また、セクハラ被害に遭い休職中という方からの「セクハラをなくすには被害者を責めないこと、周囲が見てみぬふりをしないことではないでしょうか。いじめと似ている」というFAXもあった。

竹花弁護士によると、職場で受けたセクハラ被害を法的に訴えた場合、まず精神的苦痛に対する慰謝料請求、それから会社に対しセクハラ上司の懲戒処分を求めることができるという。請求内容や金額はセクハラの度合いや頻度によって変動するそうだが、たとえばお尻を触られる身体接触があった場合だと、1週間続くと少なくとも慰謝料20万円+懲戒処分、1か月続くと慰謝料100万円+懲戒処分といった具合で、被害者は金銭だけでなく上司に対する社会的制裁も請求できるということだ。また、セクハラ被害によって心身の不調が起こり仕事ができなくなった場合などは休業中の保証も請求できる。そこで重要になってくるのが証拠だ。証拠には、録音などの直接証拠のほか、日付・場所入りの詳細なメモやSNSのやり取りなどの間接証拠がある。たとえば第三者にセクハラ被害を相談した時のLINEのやり取りは、会話に近いやり取りで感情も記録されやすく、日付も改ざんできないので、相談をしていたことも含め当時の状況立証するための有力だという。とはいえ、常習犯の場合は録音準備などもできるかもしれないが、唐突に被害に遭った場合は自分自身も混乱してしまい証拠を残すのは難しいかもしれない。

竹花弁護士のアドバイスはもっともだが、しかし被害に遭ったショックが大きければ大きいほど、理性的な判断ができなくなるんじゃないだろうか。ショックを受けたまま退職し、後から賠償金を請求しようとしても対応してもらえず泣き寝入りになってしまう、またメールもあまりの嫌悪感から削除してしまったため証拠がなくどうすることもできない、そんなケースは山ほどあるのでは、と思う。それでも、証拠もなく第三者に相談することもなかった場合、後から被害を訴えても加害者は否定して「言った言わない」論争になる泥仕合は当然想定され、何よりも被害を証明する根拠を少しでも多く揃えておく必要があることは間違いない。被害に遭ったと自覚したらまず、自身の混乱を鎮めるためにもなんらかの相談窓口にアクセスしサポートを依頼出来るといい。
男性の被害は笑い話で済む?
 ただこの放送でひとつ残念な点があった。今回のセクハラ特集は、男性が女性に対して行うセクハラのみを取り上げた構成となっていた。ゲストとして出演した労働ジャーナリストの金子雅臣氏は、多くのセクハラ問題解決に取り組んできた実感として、男性が男性に「お前それマズイよ」と指摘する、あるいは男性同士でセクハラについて議論するなど、男性の介入によってセクハラ問題が解決の方向に進むこともあると進言。まったくもってジェンダーの壁が分厚く高いことを痛感せざるを得ないが、女性に指摘されると反感を覚えるが、同じ言葉でも男性から言われれば聞く耳を持つという男性は実際に少なくないそうだ。金子氏は、セクハラは「女性問題」とされることもあるが、セクハラが起こる原因は(セクハラを行う側の)男性であるのだから「男性問題」としてきちんと向き合う必要があると見解を述べた。セクハラの99.8%は被害者が女性だという。その際、「男性の被害はあるけれどまだ笑い話で済む」と発言したことが、Twitter上では批判されている。井ノ原快彦が「男性が被害に遭うケースだってある」とコメントする場面もあるにはあったが……。

セクハラが「男だから加害者/女だから被害者」と性別でくっきり分かれているように見えてしまうのは、職業の場で男性に権力が集中しやすいためだろう。数字として「加害者のほとんどが男性/被害者はほとんどが女性」であるとして、それは構造が招いている結果ではないだろうか。

セクハラが対等な恋愛のもつれと決定的に違うのは、拒否・抗議できない/しづらい(拒否すると不利益を被る可能性がある)力関係のうえで成り立っていることだ。しばしばセクハラを「イケメン無罪」「女性がイヤがったらそれはもうセクハラ」などと言う人もいるが、これは誤りだ。立場の強い人間がそれを利用し(あるいは無意識・無自覚のケースも)、立場の低い人間に苦痛を与えるような性的言動をすることがセクハラだろう。つまり、権力を持つ女性が立場の弱い男性に対して苦痛を与えるようなセクハラも十分にあり得る。男だから、女だからではない。力関係の問題なのではないか。

それゆえ、権力を持つ立場の人間――世界経済フォーラムのグローバルジェンダーギャップレポートにおいて、日本は経済活動および政治の場において女性の地位が著しく低く男女差が大きいと評価されているが――が、まず「きちんと向き合う必要がある」ことは間違いない。そして周辺の人々もまた、見て見ぬふりをしたり笑ったりせず、「止める」「たしなめる」べき問題なのだと認識すること。とにかくどんどん意識を変えていかなければ問題解決のスタート地点にすら立てない。

意識を変えるという意味では、テレビというのは非常に大きな影響力を持つ媒体だ。そして女性が被害に遭うセクハラだけでなく、男性が被害に遭うセクハラも「笑い話」で済ませないよう、影響力の強い媒体で示していく必要があるのではないか。そう思わされる一幕が、ちょうど3月25日放送の『おしゃれイズム』(日本テレビ系)にあったのだ。

ゲスト出演したマツコ・デラックスが、事あるごとに司会の藤木直人(45)に抱き付いたり腕を組んだりといった接触を取ろうとする姿に対して、Twitterなどでセクハラではないかという疑問の声が上がっていた。藤木直人とともに豪邸物件を見に行ったマツコは、物件内に設置されているトレーニングマシンを目にすると「追い込まれているところ見せてくれない」と藤木にトレーニングを要望。仰向けになってトレーニングしている藤木に近づき太腿をスリスリして「疑似体験できました」と言う一幕もあった。Twitter上には、マツコの行動に嫌悪感を示すコメントだけでなく、「面白かった」「羨ましい」というコメントも寄せられている。藤木は終始苦笑いしつつ応じていたが、同様の行為をされて笑えない人もいるだろう。これは笑っていいものとして提供されているわけだが、「バラエティだから」「面白いから」「藤木直人は嫌がっていないから」と肯定していくと、「男のセクハラ被害は笑い話」という価値観から抜け出せないように思う。マツコの行動を誰かが止めるならばアリでも、そうした場面はなかったのだから。

くどいようだがやっぱり『おしゃれイズム』はバラエティ番組で、笑いを提供しているだけで、マツコ・デラックスはゲストではあるものの藤木直人の上司ではないし、そこにパワーバランスの歪みはないためセクハラではないかもしれない。けれど同じようなことを、上司が部下に強いたらそれは「笑い話」で済まないものだと思う。性別に関係なく、男性上司が男性部下に、であってもだ。男性が被害に遭うケースもあること、被害を言い出しにくいこともまた、周知していかなければならないだろう。

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