ジョジョ×GUCCIコラボを手がけたアーティストに聞く、日米スマホゲームの違い

Excite Bit コネタ

2018/3/22 08:00



今や世界のスマホゲームは市場規模が5兆円を超え(ファミ通モバイルゲーム白書2018より)身近なエンターテインメントになった。ここ数年の日本では『パズル&ドラゴンズ(以下、パズドラ)』や『モンスターストライク(以下、モンスト)』に代表されるパズル・アクションRPGというジャンルや、キャラもののゲームアプリの人気が高い傾向にある。

このトレンドは日本と海外では変わるのか? アメリカとの違いを、「Two Dots」というスマホゲームのテクニカルアーティストを務めるローラ・ガッティさんに、ニューヨークでうかがった。


キャラ好きな日本は比較的画面も派手に
――まずガッティさんについて教えてください。テクニカルアーティストというのは、どのような仕事ですか?
私は現在、Playdotsというニューヨークにあるゲーム会社に勤め、弊社の旗艦ゲームであるTwo Dotsのデザインの質、アニメーションの責任者をしています。ゲーム上のマップ(背景)などのアイデアをイラストレーターに指示し、上がってきたイラストを元にさらにデザインを練るという仕事です。デザインが決定したら、それらイメージをゲーム内のデジタルな世界へ落とし込み、アニメーション化、および最終的なグラフィックを完成させます。


――日本では『パズドラ』や『モンスト』のような、パズルとステージの要素に加えて、レアキャラの収集・育成を目的としたゲーム内に入れ込んだ「画面のビジュアルがとにかく派手」なゲームが多いと感じます。また、もともと家庭用ゲームやアニメが盛んな土壌があったため、ドランゴンボールなどキャラモノのゲームアプリも人気です。それらにつながりはありますか? 
確かに、日本のユーザーは海外のユーザーと比べ、キャラクターへの愛着心が強いですね。日本のゲーム文化は、ファミリーコンピュータやプレイステーション、ニンテンドーDSなどのハード機から生まれてました。そして、例えばマリオやポケモンなどキャラクターが引き立つゲームが多くリリースされています。アニメの土壌も大きいです。これらキャラクターを引き立てるためには、ユーザーの目をいかに引くかがデザインでは重要になります。したがって画面もにぎやかになるでしょう。ガチャでもレアなキャラクターほどデザインが派手になる傾向があります。

――アメリカはそういうものを求めていないのでしょうか? 
アメリカのユーザーの方が、ゲームに求める要素が多様化している部分はあります。日本のようにキャラクターを求めるユーザーもいれば、一方でバトル要素やゲーム性そのものを求めるユーザーもいる。ゆえにキャラクターで勝負していない人気ゲームは、アメリカの方が多いです。もちろん、アメリカでも派手なビジュアルのゲームはあります。マリオやポケモンといったコンテンツは知名度も高く、そこから派生したゲームに一定の人気があるのも事実です。ただ日本と比較したときには、日本の方がビジュアルは派手で、キャラクターに需要がある傾向が強いということです。

――先ほどデザインを見せてもらったのですが、それこそガッティさんが携わっているTwo Dotsは、ミニマルなデザインが美しく「派手」な傾向とは対極です。うかがったところによると、ゲーム配信開始から3年連続でウェビー賞(編注:ウェブ業界で最も権威ある賞)を受賞しているそうですが、こういうゲームはアメリカだからこそ受けるのでしょうか? 
「アメリカだからこそ」というよりは、シンプルである事はアメリカに限らずどの世界でも大きな強みです。派手で重厚なゲームが多いなか、デザインおよびコンセプトをシンプルにしたことで、ユーザーがゲームを理解しやすく、ゲームそのものにはまりやすくなりました。Two Dotsはゲームタイトルの通り、ドット(点)をつなげていくゲームです。結果、Two Dotsは100カ国以上でランキング1位を獲得し、ダウンロード数は7000万を超えています。


ショーウインドーディスプレーとゲームデザインの共通性
――マップなどデザインのインスピレーションは何から得ますか?
私の場合は、イタリアの服飾ブランドのグッチで、ショップウインドーのディスプレーアーティストとして働いていたという前職の経験が生きています。画面を見ていただけると分かりやすいですが、パズルゲームのステージ構成は、マップとステージ(ドット)の組み合わせでできています。実はこれ、ショップのウインドーという空間(背景)に、どう服やバッグ(ドット)を配置するかというコンセプトと同じなんです。ゲームとショーウインドーという違いはありますが、どのようにこの二つを組み合わせたら美しい空間ができ上がるか。そこに自分の経験とセンスが強みとなって現れていると感じます。

――グッチに勤めていた頃は日本との接点もあったとか。
以前、漫画家の荒木飛呂彦さんの作品『ジョジョの奇妙な冒険』がグッチとコラボし、荒木さんのイラストやキャラクターの衣装をグッチ路面店のショーウインドーに展示するプロジェクトがありました。その際に、当時グッチのトップディスプレーアーティストだったマウリッツィオ・バシーレと共に、私もディスプレーを担当しました。


当時はグッチの空間に荒木さんの作品を配置するという、非常に新鮮で面白い経験をしました。結果的にそれもどこかで、Two Dotsのグラフィックに生かされているでしょうね。今後も可能な限り自分の専門性と経験、センスをゲームに反映させて、よりクリエティブな分野に挑戦してみたいなと思っています。
(迷探偵ハナン)

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