フジテレビ月9『海月姫』全話平均6.1%フィニッシュ! 低迷の原因「世代間のドラマの見方の違い」くっきり

日刊サイゾー

2018/3/22 17:00


 オタク女子だけが住む共同アパートを舞台に、クラゲオタク・月海の恋模様を描く月9ラブコメディ『海月姫』(フジテレビ系)。天水館を救うため単身海外へ“身売り”されに行こうとした月海(芳根京子)を、ギリギリ空港で奪還した蔵之介(瀬戸康史)らだが、そのため天水館には住めなくなる。行き場をなくした住人(尼~ず)の行く末と、月海をめぐる三角関係の結末を描く最終回の視聴率5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。見ている人は絶賛、見ていない人はまったく見てない(当然だが)と、くっきり二極化されたドラマに。

(前回までのレビューはこちらから)

■修の失恋



月海も尼~ずも、全員漫画喫茶暮らしに。一瞬『anone』(日本テレビ系)の初回を思い出し、広瀬すずらの「見切れ」を期待するも、もちろんそれはなし。

デベロッパー稲荷(泉里香)は、月海がカイ・フィッシュ(賀来賢人)の元へ行かなかったことで、再び天水館を買収できると沸き立つが、そこへ再開発自体見直しの連絡が。蔵之介と修(工藤阿須加)の気持ちを汲み取った政治家の父・慶一郎(北大路欣也)が手を回したのだ。親バカ。

月海を追ってきたカイに「彼女(月海)に(デザイナーとしての)才能を捨てさせた」と言われ火がついた蔵之介は、一からファッションの勉強をするため、ジェリーフィッシュ(蔵之介と月海中心で作ったファッションブランド)解散を決意。最後に再び月海の新デザインを元にファッションショーをしようと一同盛り上がる。

閉鎖されている天水館に侵入し、「変態(メタモルフォーゼ)」をコンセプトとするジャージ素材を使った新作ドレスの製作を開始、ノムさん(安達祐実)やニーシャ(江口のりこ)も助っ人に現れる。キャラ再現とかの次元を超えたノムさんの存在は見るたびに癖になるので、スピンオフとかでぜひ見たい。

前回、修から求婚された月海だが、「今、作りたいものがあるんです」と誠意を持ってお断り。「兄貴(蔵之介)と?」という問いに「はい」と答える月海を見て、悲しそうに空を見上げつつ笑ってみせた修。無理だとわかっても、どうしていいかわからず、告白することに「逃げて」しまう。この心理は、実にいい童貞の描き方だと思います。

帰宅後、蔵之介と気まずそうにしながらも2人でパスタを食べるのだが、おそらくこれは蔵之介が子どもの頃から修に作ってあげてきた思い出のカルボナーラ。「3人で暮らせたら楽しいだろうな」「恋愛とか結婚とか関係なく、このおかしな3人でずっと暮らすのは無理かな」と語る初恋愛&初失恋の修が悲しい。「もしそれができたら、母さんもこの家にいられたかもな」と返すマザコン蔵之介も負けてないが。

■修の成長



月海や蔵之介と3人で出かけた水族館(新江ノ島水族館)で、ファッションショーをやることを思いつく修。ここは初回放送で月海、蔵之介と3人で出かけた思い出の場所。前回、月海の海外渡航を引き止めに行く途中に修が偶然助けた女性が、この水族館の館長だったから借りられたというミラクル。

ショー当日。実は自身の会社のCEOを解雇されたカイや、それより前に自由に生きるため会社を辞めていたファヨン(伊藤ゆみ)、稲荷とその同僚・佐々木(安井順平)、そして海外から蔵之介の母親・リナ(若村麻由美)も駆けつける。幼少時に別れて以来の母親の姿を目にして、動揺を隠せない蔵之介。

「今までたくさん蔵子(蔵之介)さんに助けてもらったから今度は私たちが助ける番です」と月海に促され、尼~ず全員で蔵之介の代わりにモデルとして舞台に立つ。

「無理よ! こんなふっくらさん(自分)とアフロ(ばんば)と幽霊(ジジ)よ?」と千恵子(富山えり子)は抵抗したが、ジジ(木南晴夏)は「大丈夫です。これは私たちのドレスですから」と眼鏡を外し、ばんば(松井玲奈)も花森にアフロの前髪を上げられ、いざ舞台に。

「やばい、俺全然いけるわ、あの子(ジジ)」(佐々木)や「あのアフロの子(ばんば)まで可愛いじゃない」(稲荷)と絶賛される2人。唯一、何も言われない千恵子を猛烈に応援したくなった。

「立派になったあの子を見てあげてほしい」という慶一郎の計らいでやってきたリナは「立派になったわね」と蔵之介と抱きしめる。涙で化粧が落ちたからなのか、男装姿になった蔵之介は「これが俺たちのラストステージだ」と月海の手を取り、舞台袖から「愛してる」と告白し、光の中へ飛び出して行った。きゃあああああ。

無事ショー終了後、修は以前頼まれたリナからの伝言(7話)を月海に伝える。

「兄貴が大切に思ってる女性がいて、もしその人とうまくいくようなことがあったら、伝えてほしいって。『私の分まで愛してあげて』って」そう言って笑顔で立ち去る修は、少し大人の顔だった。

■天水館フォーエバー



天水館での打ち上げでは、突然入ってきたカイ(とファヨン)が「君たちにしか作れない素敵なドレスだった」とショーを絶賛。退職金代わりにもらったという天水館の管理人になるとのことで、これからも尼~ずは家賃を稼ぐために服を作り、ここに住めることに。そして、服飾の勉強のため大学を辞め、明日からニューヨークへ向かうと決心した蔵之介は、いよいよ皆の前であの告白をする。

「実は、俺……男なんだよ!」

しかし、全員とっくに気付いていたというオチ。ばんばとまやや(内田理央)ですら、少し前に花森が口を滑らせていて知っていたのに、千恵子だけが「ええええええええーーーー!」と驚愕。一番しっかりしてそうなのに純粋。

そして今まで一度も部屋から出てこず、いつも筆談で「ご託宣」をくださる売れっ子BL漫画家の目白樹音先生(滝藤賢一)が、ついに登場。こちらも男だったことを知り、再度絶叫し気絶する千恵子。ショーでの唯一の不変ぶりが逆に気になったが、目白先生は入居時に千恵子に一目惚れしたため、男を近づけぬよう天水館を男子禁制としたのだという事情が発覚。結ばれてほしい。ちなみに滝藤賢一は『貴族探偵』や『コード・ブルー 3rd season』にも出ており、最近の月9常連。

鯉淵家では、お抱え運転手の花森(要潤)と修と両親が結婚記念日のお祝いをしてるところに稲荷と佐々木が乱入。再開発計画が頓挫して以来すっかり柔らかくなった稲荷は、特に今回乙女っぽくキャラ変し、修に抱きつくなど、なんとなくいいムード。佐々木と稲荷もお似合いだと思ったが、まあ普通に考えて修ほったらかしで佐々木とくっ付くのも変ですしね。

なぜかエンディング後の提供バックで稲荷が月海のコスプレ(おさげ髪にスウエットに眼鏡)をするシーンが流れたが、どこかで使うはずだったシーンなのだろう。

いよいよ最後。月海が想いを伝える。

「今までは傷つくのが怖くて開けられなかった扉を、開けることができたんです。蔵之介さんが魔法をかけてくれたから」

「だから私は、(蔵之介の帰りを)待っていません! 蔵之介さんがいなくても、ジェリーフィッシュの服を作り続けます」「だから心置きなく勉強してきてください!」

照れ隠しに皮肉を言いかける蔵之介に月海が強引に接吻。めでたしめでたし。

もともと修に惹かれていたはずの月海(なんなら婚約者)だったのに、最後「守られているだけじゃだめだと思った」と修の求婚を断った気持ちの変化は、そのまま月海(や尼~ず)の外の世界に対するスタンスの変化なのでしょう。

後半、残念だったのは、ファヨンの思わせぶり感にほとんど意味がなかったこと。カイとファヨンのつながりもほとんど描かれず、特に最終回はいつの間にか終わってしまった感がありました。原作では、カイ編はファッション業界のややこしい裏話的な物語なので、今回のドラマ化のテイスト向きではなく、そこをごっそり切ったのはいいと思いのですが、残されたキャラが置いてけぼりを食う形になってしまいました。

全体としては、キャラや短いパートは面白くパワーを感じたのですが、もともとギャグ重視の漫画だから許される強引な展開を実写化したこと+時間がない中で全巻を一応網羅する駆け足展開、この2つにより、つなぎや辻褄の合わせ方がどうして強引になってしまい、感情移入を保つのが難しかった層に広がらなかったのが、数字が伸びなかった原因ではないでしょうか。

若年層は「点」のパワーやノリを喜び、上の世代は「線」での展開やつながりをもっと求めた。そんな世代間のドラマの見方の違いもあるのかもしれません。

しかし、そもそも深夜やネット向きな内容を、急遽決定した「月9」用に仕上げるだけでも大変だろうし、それでいて脇役まで含めキャストの健闘が目立ちました。

全話平均6.1%と数字的には残念な結果ですが、そもそもオリンピックもあったし、その逆境をネタに盛り込む遊び(今回も「もぐもぐタイム」発言あり)なども意欲的で、健闘したと言えるのではないでしょうか。いま軽くクラゲロスです。お疲れさまでした。
(文=柿田太郎)

当記事は日刊サイゾーの提供記事です。

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