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なぜ女は「私はババア」と言いたがる? 自虐をせずにはいられない女たちの深いワケ

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 「私、ババアだから」

最近、自分のことを「ババア」と呼ぶ女性に会ったことはないだろうか。もしかすると、「私も言ってる」という人も少なくないのかもしれない。三省堂『デイリーコンサイス国語辞典』で、「ババア」は「女の老人 *多くののしって言う語」と説明されており、ババアを自称する女性は、自虐的にそう言っているのだろうが、着目したいのは、まったく“老人”には当たらない女性たちまでもがババアを名乗っている点である。中年とされる40代、青年・壮年期とされる20~30代、はたまた高校生の女子までもが「私はババア」と言うこの現象は、なぜ生まれたのだろうか。

自己防御とナルシシズムを感じる


 『オンナの値段』(講談社)などの著書で知られる社会学者・鈴木涼美氏は、「ババア」と自称する女性の心理について、次のような見解を述べる。

「人から言われて傷つくことを、最初から排除するために、批判の口封じをしているような気がしますね。例えばSNSで可愛く撮れた自撮りを載せるとき、『ババアの自撮りです』って言ったら、『ババアのくせに』という悪口は言えなくなる。たとえ言われても、『自分がババアなの知ってます』と反論できます。ある種、批判に対してすごく臆病で、最初から人の意見をシャットアウトしてる印象があります。コメンテーターが『こういう犯罪を起こす人は、こういう人が多いと思います』などと意見を述べるときに、『私見ですが』と前置きする場合がありますが、それは発言が元で裁判になったりした際に、釈明できるから。自称『ババア』はそれを応用していると思います。ただ、『ババア』うんぬんが、裁判に発展するなんてことはないので、その人の臆病さをより感じてしまうんですね」

また、特に若い世代が「ババア」を自称するケースには、“上から目線”の要素も垣間見えるという。

「年下の子をけん制し、バカにするっていう気持ちも、ちょっとあるんではないかなと思っています。『私はもう大人だよ』『私のが上だよ』というのを、『ババア』という言葉で自虐交じりに言うことで、嫌みっぽく聞こえなくして、マウンティングしているというか。彼女たちが言う『ババア』って、単純に“年齢が上”のことを言っていると思います。『20代の子は肌がピチピチでいいわね、私なんて30代のババアだから』と言うとき、素直に羨ましいという気持ちもありつつ、私にはあなたにはない経験があると優越感に浸っているような。そうじゃないと、自ら『ババアババア』なんて言わないですよ」

鈴木氏は、自称「ババア」女性のメンタリティに、「自己防御とナルシシズムのミックス」を感じるといい、そうした女性を「苦手」と語る。

「今の女性にとって、『痛い』って一番嫌がる事態。痛いとは、自分がどう見えてるかを自覚できていない状態を指すと思うんですが、その痛さを回避するために、『私は自分のことをちゃんと理解しています』とアピールしようとしているのかな、と。ただ私には、痛さを回避しすぎるがゆえに、相手とのコミュニケーションを断絶しているように見えてしまうんです」

SNS、とりわけ今主流のインスタグラムは「痛くなりやすい場所」(鈴木氏)でもあるという。確かに、芸能人が自撮り写真やブランドものの写真を載せ、「なぜそれをアップしたのか?」「自慢?」などと批判的に見られてしまうことはよくある。そうした背景によって、女性が自分に対して“自覚的である”ことを、よりいっそうアピールする現象が起こっているのかもしれない。

女性が「ババア」を自称する現象は、「これまでも波のように起こっていた」と指摘するのは、『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)などの著者である歴史社会学者の田中ひかる氏。

「確かに最近、『BBA(=ババア)』というネットスラングもよく目につきますが、実はわりといつの時代も、女性が自分の年齢を自虐的に語ることはあったと思います。私が大学生だったバブルの頃、『おばん』という言葉がはやっていたんです。今はもう死語だそうですけど(笑)、若い女性も『私、おばんだから』などと使っていましたね。年上の人を揶揄するときにも『おばん』と言っていました」

鈴木氏と同様、田中氏も女性がババアを自称する行為は、「自分の年齢を意識した女性が、『ババア』という言葉を自虐として使い、『私は自分のことをわかっています』と予防線を張っていると思います」と語る。では、なぜ今、年齢を意識する女性が増えているのだろうか。

「今は、一時期より専業主婦を望む女性が増えています。そんな女性が結婚をしたいと思ったとき、男性は『生殖可能な年齢の若い女性を求めるもの』という現実に行き当たり、“若さに価値がある”と思いこむようになったのではないかと。特に最近では、“卵子の老化”という言葉が浸透して、年を取ると妊娠しづらくなるということが常識となっています。そういった背景もあって、生殖という点から、年齢を意識しやすくなっているのではないでしょうか」

少子化問題が叫ばれている今、ひと頃に比べ、女性がより「結婚して子どもを産まなければ」といったプレッシャーにさらされていると、田中氏は言う。しかし、最近では、NHK『クローズアップ現代+』が、『男にもタイムリミットが!?~精子“老化”の新事実~』という特集を放送。この先、男性も年齢を意識するようになり、「“自称ジジイ男子”も出てくるかもしれません。ただ、やはり男性より女性の方が圧倒的に年齢を意識しているのも事実。年齢については性のダブルスタンダードが露骨に表れますから、無理もありません」。

また一方で、田中氏は、自称「ババア」女性に、別の背景を見ることもできるという。

「“生殖”という点を起因として、『ババア』を自称するのは、子どもを産めるか産めないかと悩む世代だと思うのですが、18歳などで早くも自分を『ババア』と呼ぶ若い人には、また別の意味合いがあるのでは。昔はやっていたヤンキー漫画の世界では、16~17歳が青春で、特にみんな“17歳の夏”を意識していたんですよ。そうすると、18、19、20歳なんてもう大人。18歳頃の若い人には、いつまでもこの愛おしい世界に浸っていたいけれど現実を見なければという感覚が、今も昔もあるのかもしれません。そして、自分を規制するために、今の言葉で『ババア』を使っている気がします」

世代によって、女性が「ババア」を口にする背景には違いがある。日本において、女性は10代後半から、常にエイジングを意識しなければいけない状況にあるようだ。

「今の年齢は、その人が生きてきた中で最も『ババア』なんですよね。でも、そう思っていたら、死ぬまでずっと『ババア』です。それよりも『残りの人生で、今が一番若い』という当たり前のことを意識した方がいいかもしれませんね」

自称「ババア」女性から見えてきた、年齢を意識する日本女性たちの姿。「年齢にとらわれないで生きていければいいと思います」という田中氏の言葉が、今後どれだけ女性たちに根付くのか、期待していきたい。

外部リンク(サイゾーウーマン)

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