自分が報われるための渋谷のライブハウスでの「卒業式」/高校生シンガーソングライター・シバノソウ ワンマン直前インタビュー

ガジェット通信

2018/3/13 21:35



「ライブやって、DJやって、トークイベントやって、コラム書くとか、サブカルだと当たり前じゃないですか。みうらじゅんとか大槻ケンヂとか」とシバノソウは言った。18歳の現役高校生シンガーソングライター(以下SSW)・シバノソウ(正確には、掲載時には高校卒業している)。バンドやSSW系のイベントだけでなくアイドルイベントにも多数出演し、定期的に行っているトークイベントではアーバンギャルドの松永天馬やAV女優の戸田真琴など多種多様なゲストを招いている。

またSSWとしてもロッキング・オンが主催するバンド・アーティストのオーディション「RO JACK for ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」で入賞を果たすという形ある実績もありと、18歳という年齢を考えても異色のアーティストだ。ちなみにレコード会社や事務所といった所属は一切ない。

また「タワーレコード渋谷店限定シングル」として発売している『18歳』が現在同店でも入荷毎即売り切れというヒット中。

肩書は「あくまでSSW」だという彼女に、なぜそんなに活動の幅が広いのかと聞くと、冒頭の答えが返ってきた。18歳とは思えぬアグレッシヴさであらゆるライブシーンにコミットしてきた彼女が3月15日、3年間の高校時代の締めくくりに渋谷のライブハウス・WWWでワンマンを行う。

現在の肩書はたしかにSSWだけども、シバノソウが世に出たのは音楽ではない。

「中1の最後に好きな人にバレンタインの日に告白したら、次の日に振られたんです。しかも親友と付き合ってたオチで。それで誰も信じられなくなって、『TVBros.』で公開していた電話番号(読者との交流コーナー「テレビブロス読者白書 ジョンの出会った読者たち」に掲載されていたもの)に電話したんです、『つらいです』って。そしたら爆笑されて」

それをきっかけに同誌との縁が出来、誌面でもネタにされることに。好きな人にフラれたことと、TVブロスに掲載されたこと、さらにiPod Touchを手に入れて鍵垢でツイッターを始めたこととYou Tubeで音楽を掘り始めたことから、自分の好きなものがはっきりと形をなしていく。

「そのころからサブカルに傾倒していった感じですね。それまでは嵐とperfumeがファンクラブに入るほど好きで、当時の夢はキリンビールに入って企画開発の人になって『シルシルミシル』に出たいと思ってました。順当に国公立の大学に行くのが幸せだと思ってましたね……。それが先輩からナンバーガールとか教えてもらって、You tubeで掘るようになって。中2でナンバガ聴いたのが今の音楽に繋がってます。憧れだったその先輩にもこの間失恋したんですけど。」

ちなみにナンバーガールの名前をあげると一部の30代オーバー世代が盛り上がりそうだが(ちなみにスーパーカーも彼女のフェイバリットの1組だ)、彼女がはじめて1人で行ったライブは「代官山UNITであったキュウソネコカミとgroup inou」というのでわかるとおり、今時の音楽も平行して聴くヘビーリスナー。ただ、初めて見たライブは「小学校3年生でお母さんに連れて行かれた筋肉少女帯」というから、何かしらの因縁を感じざるを得ない。



そしてライブデビューは唐突にやってきた。先のTVブロスがイベント「フェスボルタ2014 アーリーサマー」を開催するにあたって、編集部から「出なよ」って言われて「出ます」と言ったところ、誌面に「出演決定」と書かれていた。それから父親にギターを借りてゼロから練習し、西荻窪のスタジオで中学3年生でのライブデビュー

「初ライブが掟ポルシェとジョニー大蔵大臣の間で、大変だなあと思いました。めっちゃ緊張して、普通に楽しかったと思うんですけど、自分ではまたやりたいなとまでは思わなかった。でも評判がよくって『また出てよ』って言われて、褒められたしやるかあ!って感じですね。それで高1から自分でフェスボルタ以外のライブも探して出るようになりました。

浮かれたりはなかったですね。それよりも身バレが怖かった。『フェスボルタ』出たときも、学校のなぎなた部の袴とか履いて出たんですよ。それを誰かが見つけて職員室に呼ばれて説教されたりとか。『フェスボルタ』効果は……1ミリもないですね(笑)。あったらわたし売れてるはずなんで(笑)。でも自分にホームがあってよかったと思います。ブレずにそこにいてくれるって、けっこう大事なので」


高1で本格的にSSWの道を歩み始めたシバノさん。しかしライブハウスでバンドをやった事がある人ならわかると思うが、他から呼ばれるほどの人気者でもない限り、出演者はライブハウスにノルマを払って出演することになる。「地底イベントに2万円払って6時から6時半出演して、客ゼロとか。お年玉崩して出てましたね」



そんな中、神楽坂のライブハウス・TRASH-UP!!で「ノルマなし」のイベントがあると聞いて、同所のイベントに多く出るようになる。そこで出演するのはアイドル・バンド・SSW関係なし。その中には昨年Zepp DiverCityワンマンを成功させた里咲りさ率いる「少女閣下のインターナショナル」や、数少ない友人だという小鳥こたおが後に所属することになる「あヴぁんだんど」と出会い、自分の知っていたのとは違ったアイドルグループのライブに面食らうと共に、自身の活動の幅もSSWイベント以外に広げていく。それと同時に「売れたい!」と強く思うように。

「売れたいって思うようになったのは、わたし中学生のころからミスiDとかMOOSIC LABとかシブカル祭。(渋谷パルコで毎年開催されている女子クリエイターの祭典)とか大好きだったんですけど、それで高1の時に『シブカル祭。出たい!』とかツイッターに書いてたら、たまたまそれをGOMESSくん(ラッパー)が見ててくれて、また丸ノ内線でばったり出会って。それで「手伝えることあったら」って言ってくれたのがきっかけでその年のシブカル祭。に出れたんです。

もうそれが本当に楽しくって!自分の好きな人がいっぱいいるパーティみたいな感じで。TEMPURA KIDSと吉田凜音が遊んでる!とか東佳苗さんがいて「ミスiD受けて落ちたんです」って話したりとか、そういう世界。もうわたしにとってはキラキラして見えて、ここに行きたい!って思ったんですね。それを機に、なぎなた部の国体強化選手だったんですけど部活も辞めて、そっちを本格的にやるようになって。

そこからSSWとして売れたいってことよりも、自分の好きなカルチャーと関わっていきたい、自分も入りたい、と思うようになりました。そこからめちゃくちゃ積極的に動くようになったんです。もともとSSWという場がしっくり来てなかったんですけど、わたしはSSWが好きでSSWになるとか、バンドが好きでバンド、アイドルが好きでアイドルにとかより『バンドが好きなSSW』『アイドル好きなSSW』だったからうまくいったんだろうなと自分でも思います」



それから自主企画ライブ・初ワンマンライブ・定期トークライブなどを積極的に行いつつ、「Shimokitazawa SOUND CRUISING」「YATSUI FESTIVAL(フェスボルタチームで参加)」などのサーキット型の音楽フェスにも呼ばれるように。多い時には月20本ものライブを行ったこともあるという。その合間には「進級がやばすぎて三ヶ月活動休止」なども挟んだりもしているが。

ただ、ここまでを読んでSSWとしての音楽はどうなのか、と思う人もいるだろう。音楽は自己実現としての手段なのか、と。だとしたら、もっとわかりやすく世間受けしたり、炎上狙いな曲を作っていった方がいいのではないか。シバノさんに自分の曲を作る、そして歌うことについて聞いた。

「作詞作曲は中3くらいから始めました。自作でやってみたら出来たんですよね。ギターがそんなに上手くないから、作ったのをボイスメモに入れて『フェスボルタ』の人に送ったら、いいねって言われて。作り方は今もあんまり変わってないです。

最近、ファンの人に『いい曲をいい感じにやってるだけじゃウケないから、もっとバズとか狙った方がいいんじゃない?』って言われて、その時は気が弱ってたんで一瞬そうかなと思ったんです。でも、そのあとに他のよく来てくれてたファンの方が亡くなって。その後のライブの時、ちゃんとライブが出来たんです。

あの時、ちゃんとわたし出来てよかったなと思ったんです。曲に対して嘘とか偽りがなかったから、もしそれが今バズらなかったとしても絶対にそれが後から大事になるって。SSWって名乗ってる以上、一過性で終わっていけない、続いていかないと意味がないと思ってるんで。だからちゃんと曲を演ること、自分の思ったことを嘘偽りなく曲に書く。それで満足するっていうのがあってよかった」

シバノさんは最初のきっかけからして「SSWになっちゃった」そして「なれちゃった」人であるのだろう。だからこそSSWに対してこだわりというのは強いわけではない。ただ音楽への愛情はしっかりとある。サブカルを通過したゆえの「フットワークの軽さ」が良くも悪くも作用して、ここまでの道は高校生にしては「うまく行き過ぎてる」ように見えるかもしれない。しかし彼女の音楽だとか、自らが望む場所に行きたい気持ちとか、その「まっすぐな熱意」だけは確かだ。

そして彼女にとって高校3年間最後となるワンマンがもう目の前だ。タイトルは「シバノソウなりの青春謳歌~良い大人のなり方~」。会場の渋谷WWWのキャパは400人以上。普通、高校生ひとりがライブをやるのに借りるサイズではない。



「自分がなりたかった高校生像と違うんですよ。カタカナじゃなくて本名の柴野惣的には、友達とバンドを組んでマックでダベってプリクラ撮って彼氏と一緒にRADWIMPSのライブとか行きたかったんですよ! でもあまりにわたしが歪んでるのと学校が歪んでるので出来なくって。高校3年間、特に嫌われてたりいじめられたりもしてないです。でもグループとかも所属してない。図書館でツイッターしてるか、トイレでツイッターしてるかですよ(笑)。その反動で外に居場所を求めたんですよね。

高校生らしいことをしたかったけど、途中からもう諦めたんです。だからせめてカタカナのシバノソウとして高校生活を成功させたい。シバノソウとして結果を出して、漢字の方を報われた、って思わせてやりたいんです。最後くらいは報われたい……成功したい!」


ワンマンライブは今泉力哉監督によるオープニング映像や2種類のバンド、GOMESS、Tomgggらのスペシャルゲストなど、どこの事務所にも、レコード会社にも所属していないひとりの高校生が主催して行うものとしてはスケールの大きい内容だ。

「いろいろ好きなものを詰め込んでるんで、内容はめちゃめちゃ自信あります。SSWの場所にもアイドルの場所にもいて、DJもトークもコラムもってアプローチの仕方してきて、調子だけいいと思われることもあると思うんですけど、音楽にちゃんと向き合ってきたんだなって自分で思う瞬間があって。あとは自分で自分の曲を好きだって言える自信さえつけば皆に認めてもらえるんだろうなって。いろんなことやってきたからこそ、自分が一番やりたいこと実行する力みたいなのがついたと思うんです。内容も、バンドが好きなわたしから見ても、アイドルが好きなわたしから見ても、いいものが出来るのかなって思います!」

<ライブ情報>

シバノソウ2ndワンマン

「シバノソウなりの青春謳歌~良い大人のなり方~」

日程:3月15日(木)18時開場/19時開演

会場:渋谷WWW http://www-shibuya.jp

<シバノソウ公式サイト>

http://shibanoso.com

<シバノソウ公式ツイッター>

https://twitter.com/soshibano

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(執筆者: 大坪ケムタ) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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