思い出のキス#02 「スパイダーマンキス」

TABILABO

2018/3/13 19:00



誰にだってある。思い出すと、ほのぼのしたり、なんだか恥ずかしくなったり、切なくなったり、涙がこぼれそうになったり。そういう特別な気持ちが心に生まれるキスのエピソードを、みなさまにお届けしていきます。

#02 スパイダーマンキス



ロフト付きの家で同棲している彼氏との、ある休日の昼下がりのこと。
1階でお皿洗いをしていたら、ロフトにいる彼がわたしの名前を呼んだ。

手を止めて階段のほうへ行くと、彼は、ロフトから1階に、上半身だけ逆さに乗り出した状態でいた。

「え……なにしてんの?」
「スパイダーマンキスしてみいへん?ちょっと、こっち来て」
「いやや。なにそれ」
(じつはわたし、スパイダーマンシリーズを1作品も観たことがない)
「いいから、来てって」
「いやや」
「いいから来て!」
「え~」
「いいから!」
「う~ん……わかったよ」


しぶしぶ承諾して、言われるがままに所定の位置に立った。すると、逆向きでうれしそうにニヤニヤしている彼の顔が近づいてきた。

わたしたちは、スパイダーマンキス、というのを交わした。

渇望されたわりになかなかふつうのキスだったこと、そして、休日の平和感になんだか心がほんわかして。唇がはなれた途端、わたしは吹き出してしまった。

彼は、家であまり笑わないわたしを笑わせることをひとつの日課にしている。きっとこれも、彼なりに必死に考えて思いついた、わたしを笑わせる方法だったんだろうな。

協力:S.Kさん(23歳・歯科衛生士)

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