東京五輪でメダルが期待される中村輪夢 彼が感じるBMXの魅力とは

SPICE

2018/3/13 12:00


2020年に行われる東京オリンピックで、新たに追加種目となったBMXフリースタイルのパーク。BMXとは自転車競技の一種で、大きく分けて速さを競うレースと、技を競うフリースタイルの2種類がある。このうちレースに関しては、2008年に行われた北京オリンピックから正式種目となった。

フリースタイルはさらに5つの種目に分けられており、今回追加種目となったパークは、その中の一つとなる。このパークで世界レベルの実力を持ち、東京オリンピックでメダル獲得が期待されているのが中村輪夢選手だ。

今回は中村選手へのインタビューを通じて、BMXの魅力を紐解いていきたいと思う。

中村輪夢の競技にあふれる“カッコよさ”への憧れ

トリック(技)を披露する中村輪夢 photo by FINEPLAY/May Nagoya
トリック(技)を披露する中村輪夢 photo by FINEPLAY/May Nagoya

BMXのパークは“パイプ”と呼ばれるジャンプ台のような形をしたものから、“ボックス”と呼ばれる多彩な段差が組み合わさったものまで、多彩なセクション(構造物)が配置された競技場内で行われる。自転車が大きくエアー(ジャンプ)しながら、華麗なトリックを決めている映像は、誰もが一度は観たことがあるのではないだろうか?

パークはフリースタイルの中でも見所が多く、エアー中に縦回転をするバックフリップをはじめとした、多彩な技のバリエーションを見られるのが大きな魅力だ。そんなパークの実力者である中村の凄さは、エアーの高さと技のメイク(成功)率の高さにある。中村は海外のトップライダーにも引けを取らないくらいエアーが高く、その滞空時間の長さから繰り出される大技のメイク率も高い。すなわち観客を大いに沸かせることができるライダーというわけだ。

BMXを始めとしたエクストリームスポーツは、他の競技と比べて性格や普段の姿勢がプレーに出る。そのため選手1人1人がどのような思いを持ってプレーをしているかという部分に注目すると、競技を超えた面白い所が見えてくる。

エアー(ジャンプ)の高さが中村輪夢の特徴 photo by YBP PROJECT/Motoyoshi Yamanaka
エアー(ジャンプ)の高さが中村輪夢の特徴 photo by YBP PROJECT/Motoyoshi Yamanaka

そこで、中村に一つの質問をぶつけてみた。BMXは他の競技と比べ、怪我をすることが多いスポーツだが、なぜそんな危険を冒してまでチャレンジし続けるのか?

「技をできたときの達成感がめちゃくちゃ気持ちいいんです。それを知ってしまったので、“怖い”という気持ちより、“決めたい”という気持ちがいつも勝っています」

中村を動かしているのはいたってシンプルなものだった。シンプルだからこそその思いがプレーに現れ、見る者の心を動かしていく。

「今はフリースタイルでパークに出る機会が多いですが、ストリートやダート(フリースタイルの種目)への出場数も増やしていきたいですね。フリースタイルの中で1、2個専門というのもカッコいいんですけど、全部の種目をできるプレイヤーになりたい。自分が目標にしている選手がそういうタイプで、どこにいってもなんでもできるってカッコいいじゃないですか」

東京オリンピックでは「誰よりも目立ちたい」

誰よりも目立つことが好きな中村輪夢 photo by YBP PROJECT
誰よりも目立つことが好きな中村輪夢 photo by YBP PROJECT

「オリンピックの舞台で誰よりも目立ってインパクトを残したいですね。自分のベストが出たらいい結果は出るかなと思うので、そのうえで誰よりも目立つことができたらいいなと思います」

東京オリンピック出場を目標に、今はパークに比重を置いている中村だが、「他の種目でも負けずに戦い、そして目立ちたい」と話す。

中村はさらなる成長を求めて、昨年から世界への挑戦を本格的に始めた。今では生活の3割ほどの時間を海外で過ごしている。「これからは年に5、6回は海外の大会に出て、3、4回ぐらいは練習で行けたらいいなと考えています」とのことで、今年もさらなる成長を目指しているようだ。

2年後の東京オリンピックのときに、中村はまだ18歳。成長著しい彼がどんな成長を遂げ、どんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。

同世代でライバルの中村輪夢(左)と大霜優馬(右) photo by YBP PROJECT/Motoyoshi Yamanaka
同世代でライバルの中村輪夢(左)と大霜優馬(右) photo by YBP PROJECT/Motoyoshi Yamanaka

さらに、日本のBMX界では、中村に触発された同年代のライダーの活躍からも目が離せない。大霜優馬は昨年、山梨で行われたYBP GAMESのダートジャンプ部門で日本人1位に輝き、中村輪夢の大会連覇を阻止した。また、上田崇人も昨年、中国で行われたワールドカップに中村と一緒に出場しており、東京オリンピックでの活躍が期待されている。

その影響は、中村の次の世代にも広がっているようだ。

「京都で僕がショーをやったとき、それを見にきていた子どもが『あれやりたい』といって、実家のショップに来てくれたんです。それがきっかけでBMXを始めてくれたときは、めちゃくちゃ嬉しかったですね」

パークが東京オリンピックの追加種目に決まり、BMXの認知度は増えてきた。少しずつだが確実に、BMXの輪が広がり初めている。

【プロフィール】
中村輪夢(なかむらりむ) 16歳
3歳の時に元BMXライダーでBMX専門ショップを経営している父親の影響で自転車に乗り始める。5歳で大会に初優勝すると、2015年にはアメリカで行われたRECON TOUR の13歳-15歳クラスで優勝し、世界一に輝く。その後も、2017年に岡山で初めて開催された全日本BMX フリースタイル・パーク選手権大会では初代チャンピオンになるなど、国内外で数々の功績を収めている。

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