ZOZOTOWN田端信太郎さんの発言に見る税負担と衆愚の社会学|文◎やまもといちろう


 コミュニケーションツール大手LINE社のビジネス広告担当からZOZOTOWNを運営するスタートトゥディ社へと華麗なる転職を果たした田端信太郎さんですが、さっそく発言が燃えていて興味津々であります。

田端信太郎氏の炎上ツイートでZOZOTOWN退会祭りが発生 - Hagex-day info http://hagex.hatenadiary.jp/entry/2018/03/12/041217

取り上げたHagexさんが概ね主な論点のツイートを前半部分に引用しておられるので、他の退会祭りはご関心があればお目を通していただく程度で良いと思いますが、要するに「税負担をしているのは高所得者であり、低所得者は社会秩序やインフラを資金の面では担っていないので静かにしろ」という意味合いの話でして、実にマッチョな感じであります。

実際、金額で見ると高所得者が多く支払う一方、率で見ると低所得者よりも高所得者は負担をしていないという図式になるのは紛れもなく美しい日本の本当の姿であります。立場によって明確に損得が違う図式になるのが本議論の燃えやすいポイントでありまして、こういう地雷をしっかりと踏み抜く田端信太郎さんの本領発揮といったところでしょうか。

もちろん、日本の場合はなかなか税制をいじることができないまま、社会保障費が事実上の「老人対策税」という形で勤労者にのしかかっているため、ほとんど人頭税ともいえるような不公平な社会負担比率になっているのは致し方ないことであります。それならば高額な高給医療や混合診療を解禁して、よりよい医療を受けたい金持ちは税金かけてそっちでどうぞ、というやり方も考案し得たのかもしれませんが、日本は金持ちも貧乏人も相応に優れた標準医療が受けられるからこそどうにかなっている部分はあります。国庫が大変なことになっているうえに、医師ほか医療従事者に多大な負担を強いたままこの制度をどこまで続けられるのかは分かりませんが。

浮き彫りになるのは高所得と低所得のあいだでの社会の分断なんだろうと思いますし、スタートトゥディ社に限らず伸びている会社や成功した人物が相応の所得を得られるのが健全な資本主義の姿である一方、急速な高齢化に直面したうえ消費税や所得税の改革が行えず再分配が進まない日本の現状では衰退局面で苦労するのはこれから成人になる日本人たちです。社会の衰退に見合った制度をどう構築するかを本来は議論しなければならないのに、例えばこのような高所得者VS低所得者だけでなく都市部VS地方、民間VS公務員、若者VS老人といった分断の図式が亀裂のように社会に入り込むと、問題を解決する前に社会がバラバラになっていくんだろうなあという危機感すら感じるのであります。

だからこそ、税負担をどういう在り方にするべきか、社会保障も含めた国民の重税感にどう対応するのか、切り下げるとして真っ先に苦労するのは高齢者とその高齢者を支える家族なのでどう受け止めるのかといった議論はどこかで必要になるはずです。実際には有識者も政府も厚生労働省も何度も繰り返し議論しているのですが、一向に改善しないのは森友だ北朝鮮だと別の話でいちいち政局が盛り上がってどうしようもないからなんですよね。

消費税増税にしても、国民からは大変に不人気な制度ですし先送りしたい気持ち半分、しかし国際公約としてあれだけドーンと言い続けてきたものを取り下げるとなるとこれまた信頼を失う上に財政規律もへったくれもなくなるので社会の死期は早まるかもしれず、思案のしどころであることに変わりはありません。

そこへきて、森友問題で財務省のやらかしから公文書の書き換え問題まで飛び出し、田端信太郎さんの話とシンクロするように「誰のための納税か」というところまで話が広がってきてしまいました。「社会の劣化」と一口に言えば話がおおざっぱ過ぎですが、社会を持続的にするために、どのように税負担をするべきかはもう少し議論をしたほうが良かったんでしょうね。

もう遅いかもしれませんが。

著者プロフィール



ブロガー/個人投資家

文・やまもといちろう

※慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。

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