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「宇宙よりも遠い場所」いしづか監督&田中プロデューサー「最初は女の子が主人公のラブコメだった」

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高校生になったら何かを始めたいと思いながら、何もしないまま2年生になってしまった「キマリ」こと玉木マリ(CV:水瀬いのり)。
中学生の時から、母親が消息を絶った南極へ行くことだけを目指してきた、一見クール美少女の小淵沢報瀬(CV:花澤香菜)。
キマリや報瀬と同じ年だが高校には通わず、コンビニでバイトしながら大学受験の準備をしている三宅日向(CV:井口裕香)。
幼い頃から芸能活動をしているローカルタレントで、高校1年生の今まで友達ができたことのない白石結月(CV:早見沙織)。

4人の女子高生が南極を目指すという斬新な設定ながら、青春物の魅力にあふれ、1月の放送スタート直後から人気を集めているアニメ「宇宙よりも遠い場所」。


先日放送された第10話では、ついに4人が南極の昭和基地へ到着。南極での生活が始まった。
今月末の最終話も近づく中、いしづかあつこ監督と田中翔プロデューサーにインタビュー。前編では、企画のスタートからメインキャラクターのキマリたちが生まれるまでのエピソードを語ってもらった。

人間の心の機微を描くことにチャレンジしようと話していた
いしづか 次はオリジナルの作品を作ろうと言い始めた時、まず最初に「女の子が頑張る話」というのをキーワードとして出しました。その時から「ドラマを大事にしよう」ということはずっと言っていて、今でも意識しているところです。女の子の物語だと、女の子の日常を描くだけでも面白く観られたりするんですよ。でも、女の子の「キャッキャウフフ」をただ観せる作品ではなく、人間の心の機微を描くことにチャレンジしようと話していました。それは、シリーズ構成の花田(十輝)さんや、プロデューサーの(田中)翔さんも一緒で。色々なアイデアがどんどん重なり、地に足のついた、すごく生活感のある世界観ができていきました。

田中 自分は、監督や花田さんに「よろしく!」とお願いして、作ってもらっているだけなので、勝手にできあがってきた感じです!

いしづか もうちょっと参加した感じを出しましょうよ(笑)。

田中 あはは(笑)。風呂敷を広げすぎないことと、地に足をつけたものにしましょうということは終始言っていたはずです。何もかもを0から作るオリジナルでは、ついつい「あれも入れよう、これも入れよう」という感じになって、デコレーションし過ぎてしまうので。

いしづか そうそう。なるんですよね~。

田中 デコレーションしないと不安な気持ちも分かるのですが、それで本来、見せたいものが見えなくなってしまっては元も子もないので、シンプルイズベストの気持ちを忘れずに、「上手くバランスを取りたい」という話を常にしていました。

南極に行くのは、ほとんどの人が自分には関係ないと思っている非日常
いしづか 女の子が頑張る話というのは最初から決まっていましたが、南極を目指す話に決まるまでは、長い間いろいろなアイデアを揉んでいました。頑張る事って探せば無限に見つかるので。私たちが得意とする世界観で、どんな目的を作るのかをすごく探しました。南極になったのは本当に最後の最後でしたね。

田中 最初のテーマは恋愛でしたね。

いしづか そうそう。女の子が主人公のラブコメをやってみようと言っていたんですよ。それがタイムリープものになり……。でも、一人の女の子を主人公にして、その子にガーッと没入してしまうと、どうしてもドロドロしてくるところがあって。「やっぱり仲間だ! 友情だ!」って、カラッとした空気に変わった瞬間があったんです。そうなった時、仲間とみんなで目指すものといえば部活かなってことで、どんな部活が面白いか考えたりもしたんですけれど、少しロマンが欲しい気持ちもあって。「目的地」で調べて、いろいろな写真や記事を見たりしていた時、南極って面白そうだなと思ったんですよ。それをふと言ったら、みんなに刺さったみたいで。その瞬間に方向性が決まった感じがしました。

田中 そもそも、最初は SF をやろうという話だったんです。SF と言っても「少し不思議」の方。藤子・F・不二雄さん的なものの方ですが。

いしづか 私、藤子・F・不二雄さん大好きなんです。

田中 それまでの案も、時を越えるとか、ロボットが出てくるとか、いわゆる少し不思議で非日常的な出来事が起きる要素が入っていたんです。南極に行くって、それこそ非日常ですよね。誰もが知ってるし、どこかの誰かがやってるけれど、ほとんどの人が自分には関係ないと思っている。その非日常感は、まさしくSF だなって思いました。


いしづか 最初に「南極」って言った時、私自身は、南極と女子校生を結びつけて考えていたわけではないんです。でも、花田さんはすごくしっくりきたらしくて。「旅物ってロマンもあるし、みんなで目指す目的地として、南極なら書ける気がする」とおっしゃってくれたんですよ。

田中 それで南極を目指す話になってシナリオを進めていた時、ドラえもんの新作映画が発表されたんですけど。それが南極の話(「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」)で……。

いしづか しかも、私、「ドラえもん」が大好きだって、毎日スタッフの前で公言していたから、まるで「ドラえもん」からアイデアを得たみたいで(笑)。

田中 「俺らパクってる感じがするね!」って。でも、「ドラえもん」のことを知るより前に、南極の話は進めていたので、決してパクったわけではありません(笑)。

主人公のキマリは、やることを決めて行動を起こし始めたら強い
いしづか キマリたち4人のキャラクターがどうやって生まれたかという話は、他の取材でもよく聞かれるんですけど、今では彼女たちが息づいているので、そういう存在であることが当たり前になっているせいか、花田さんも私もすごくふわふわした感じになっちゃって。毎回、違うことを言っちゃってる気もします(笑)。キマリは、わりと早い段階から頑張る女の子の代表という感じで決まっていて。名前の通り、やることを決めて行動を起こし始めたら強い。主人公らしく、ポジティブで前向きにステップアップしていくイメージのキャラクターとして最初にできあがっていたんです。

田中 キマリは、南極ものになる前から残っている唯一のキャラクターなんです。どんなに企画やお話が変わっていっても、主人公として常に存在し続けてきました。

いしづか 名前すら変わっていません。

田中 最初の初期企画案の時から4人の(元になった)キャラクターがいて。キマリ以外は、それぞれに面影は残っているはず……くらいに変わっているのですが、キマリはそのまま。最初からずっと今のキマリなんです。


いしづか 主人公のキマリにどんな成長を与えるのかということで、最も重要視したエピソードが第5話。キマリというキャラクターの奥深さや、(親友の高橋)めぐみのことをどれだけ大切に思っていたかが見えてくるエピソードなんです。(第4話までに)旅に出るきっかけを経て、日常と決別し、今まで知らなかった世界に踏み出す。その知らなかった世界に踏み出すという描写が、それまでは、自分が住んでいる所から知らない土地に行くという場所の話でした。でも5話で、それがすごく精神的な話になるんです。単に南極へ行くのではなく、今まで自分が過ごしていた世界から大きく羽ばたく、その瞬間を描いているんです。ポジティブで天真爛漫なキャラクターに、あんなにも重い話を持たせることは、この作品の味になるはずだと思っていて。すごく大事にしたエピソードですね。描き方が非常に難しいとも思いましたが、脚本の段階から、この作品ではこういうこともやるんだという意志は固かったです。だから、その前のちょっとしたジャブとして、第1話で学校の自転車置き場に少し悪ぶった女の子がたむろしていたりするんです。ただ単に、明るいキマリを愛でる作品ではなく、いろいろな人間の感情、人間そのものの考え方も描いていく世界観なんだ、というのを表現したくて入れました。

報瀬はドラマが縦軸に動くきっかけを作ってくれるキャラクター
いしづか 主人公のキマリには、ポジティブに話を進めるエネルギーとしての役割を持たせたので、ドラマの核となる部分、ドラマの縦軸となる重い設定は背負わせきれませんでした。それを誰に持たせるのか、というところから生まれたのが報瀬。キマリの代わりに、ドラマが縦軸に動くきっかけを常に作ってくれるキャラクターです。南極に繋がる設定のすべて、軽いものも重いものも全部背負わせてしまったので、とても可哀想なポジションに置いてしまったキャラクターなんですけど……。ドラマの縦軸を担うからには、キャラクター自身の魅力も見せていかなきゃいけないので、ポンコツだったり、性格が重かったり、美人だったりという、いろんな要素を詰め込んでいるんですよね。本当に役割負担の多い子なので、いつも「何もかもやらせてごめんなさい!」と思っています(笑)。


田中 キマリと報瀬は、頭があまり良くないけどメンタルは強い。一方、日向と結月は、頭は良いけどメンタルが弱い。なんとなく、そういう対比ができていると思っています。

いしづか 日向と結月は、逃げ方を知ってるので。

田中 2人は頭が良い分、口が回ったり、いろいろと自分で考えたりするんですけど、メンタルが弱いので、どこかで決壊するという。そんな2人を、なんだかんだメンタルが鬼強い2人が癒していくみたいな関係性なのかなと。

いしづか キマリと報瀬はメンタルが強いのか、それすらも感じないほど直情的なのか。

田中 良い意味でバカってことですよね(笑)。

いしづか それが周りの救いにもなるんですけどね。報瀬は、直情的であるがゆえに他人を顧みないというのが基本性格で。そこが彼女の魅力だったりもするんですが、それだけだとチームワークに繋がらない。そこで加わったキャラクターが日向なんです。日向は、報瀬に大人の目線を与えてくれる人。そういう関係で2人のパワーバランスは成立しているんですよね。第3話で、報瀬が日向と(電車で)2人の時に自分は結月の気持ちを考えてなかったと反省するシーンがあるんですけど。あのシーンはけっこう気を使ったというか、ここはちゃんと(演出を)やらなきゃと思ったところです。あそこで、報瀬と日向の関係性も見えてきたし、報瀬の普通の人らしいところも描けたなと思っています。ちゃんと、人の心の機微も分かる子ではあるんですよ(笑)。


いしづか 第9話で南極に立った報瀬が「ざまーみろ」と叫ぶのは、最初から決まっていたことでは無かったと思います。でも、ずっと大人たちと一緒に船旅をして来た彼女たちを見ていたら、「本当に来てやったぞ!」という達成感は、やっぱりここで解消されるはずだろうと思って。そうしたら「ざまーみろ」というセリフが出てきたんです。普通、南極で行方不明になったお母さんの話をすると思うじゃないですか。自分たちでお話を作っているのにもかかわらず、セリフを書いた花田さんまで一緒になって「そっちかよ!」って突っ込んじゃいました。それくらい、キャラクターが勝手に動き出している感じがすごくしたシーンでした。
(丸本大輔)

後編に続く

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