時代を30年先取り! エッチでピュアなサイバーラブコメ『電影少女』“ビデオガール”とは

日刊サイゾー

2018/3/12 18:00


  みなさんは『電影少女』という作品をご存じでしょうか。今から29年前の1989年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていた作品で、桂正和先生の描いた美少女と少年誌の限界に挑むようなギリギリのお色気シーンが大変話題になりました。現在は乃木坂46・西野七瀬主演の深夜ドラマ『電影少女-VIDEO GIRL AI 2018-』(テレビ東京系)という実写作品が放送されており、原作となる本作品にも再び注目が集まっています。

この『電影少女』は、ビデオの中にいる女の子(ビデオガール)が男子を慰めるためにテレビから現実の世界に飛び出してくるという、貞子もビックリな設定です。ブルーレイもDVDもない、VHSビデオデッキ全盛時代の作品でありながら、今どきのVRを使ったAVよりも、ずっと先進的な内容に驚かされます。しかもこの『電影少女』は、単なるエッチなだけのマンガではなく、ラブコメとしても名作なのです。

主人公・弄内洋太(もてうち・ようた)は、名前をもじって“モテナイヨーダ”とあだ名されるほどの冴えない高校生。名字の時点ですでに非モテという、重い十字架を背負った主人公です。一方で、洋太の無二の親友である新舞貴志(にいまい・たかし)は、超絶モテモテのイケメンなので、なおさら洋太の非モテっぷりが引き立ちます。

洋太は同級生の美少女・早川もえみに密かな恋心を抱いており、そのことを貴志にいつも相談していました。貴志は洋太の恋を応援し、もえみとの仲をいろいろとお膳立てしてくれますが、もえみが好きなのは、実は貴志だったことが判明。そう、いつだって結局イケメンが美味しいところを持っていくんです。というわけで、洋太は自分の気持ちを伝えることすらできずに轟沈してしまいます。

失恋モードの洋太は、ふと見慣れないレンタルビデオ屋があるのを発見。いっちょアダルトビデオでも借りて自分を慰めるか! とばかりにアダルトビデオコーナーを物色していると、『なぐさめてあげる(ハート)天野あい』というビデオが目に留まります。

実は、このレンタルビデオ店「GOKURAKU」は、ピュア(純粋)で優しい心の持ち主だけが見つけられる店。洋太のような心優しい選ばれた人間だけが、ビデオガールのビデオを借りることができるのです。ピュアな心を持つ人向けのアダルトビデオって……なんかいろいろと間違ってる気がしますが、もしかしたらピュアな心を持っている人ほどエロビデオを借りがちなのかもしれません。

早速、洋太は『なぐさめてあげる(ハート)天野あい』をビデオデッキで再生しようと試みますが、そのビデオデッキが壊れていたせいで、テレビから飛び出してきたビデオガール「あい」は、本来の巨乳癒し系設定とは異なる、貧乳で一人称が「オレ」のボーイッシュ少女でした。実体として現れるだけに、ジャケ詐欺のAVよりもタチが悪いです。

言葉遣いが男子みたいな「オレっ娘」で色気もゼロのビデオガール・あいですが、洋太を励ますために一生懸命尽くしてくれます。手料理を作ったり、風呂で背中を流したり、添い寝してくれたり、もえみちゃんとうまくいかない洋太を励ましたり……もちろんそれだけでなく、パンモロを見せたり、突然シャツを脱いでおっぱいを見せてみたりとエッチなシーンも山ほど出てきます。ボーイッシュ少女なので、そのへんも自由奔放……という設定なのです。ボーイッシュにそんなメリットがあったのか!!

そんなビデオガールにも、お約束の恋愛禁止の掟があり、しかも再生期間3カ月だけのはかない命。しかし、あいは壊れたデッキで再生された影響で、洋太を好きになってしまうのです。自分はこんなに洋太が好きなのに、洋太が他の子と結ばれるのを応援しなければいけない、そして自分の気持ちは伝わらずに、いずれは消えて行く運命……そんなつらさを胸に秘めながら、けなげに毎日、洋太を励ますあいの姿がいじらしいのです。

一時はあいと洋太が両想いになり、めでたくハッピーエンドか、というシーンもあるのですが、極上のラブコメでは決して簡単にハッピーエンドを迎えることはありません。謎のビデオガール組織GOKURAKUによってあいが連れ去られ、記憶を消されて今までの設定がリセットされたり……その後、リセットされたはずの記憶が復活し、洋太への想いが再びよみがえったところで、洋太は後輩の彼女ができてモテ期に入り、全然相手にされなかったり、別のビデオガール「まい」が刺客として現れて、あいを半殺しにしたりと……よく考えるとかなり散々なヒロインの扱いなのですが、何かと理由をつけては、最後の最後まで洋太とあいがすれ違い続けるあたり、まさしくラブコメの王道といえましょう。

『電影少女』といえば、この「天野あい」がメインキャラクターのイメージが強いのですが、実は「あい編」の後に、「桃乃恋」というビデオガールが活躍する第二章「恋(れん)編」があります。桃乃恋は一人称が「ボク」のボクっ娘で、恋愛がトラウマになっている気弱な少年、田口広夢の恋を応援するというストーリー。

ただし、こちらはファン以外にはあまり知られておらず、存在感がほぼ空気状態。『電影少女』単行本全15巻のうち、ラストの14巻と15巻のみに掲載されているのですが、エッチなシーンがほとんどなく、主人公を好きになってしまうような禁断のギミックもなかったため、あまり話題にならなかったようです。読んでみると普通にほっこりするような、いいお話なのですが……まあ少年マンガのラブコメで人気を博すには、どうしてもエロ要素が必要ということでしょうか。

というわけで、エッチなんだけど、とってもピュアなサイバーラブコメ「電影少女」をご紹介してみました。美少女と尻を描かせたら国宝級とも言われる桂先生の美麗なイラストをたっぷりと堪能できる本作品、改めて読んでみてはいかがでしょうか。
(文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

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