m-floの☆Taku Takahashiが語る、人工知能が音楽にもたらすものとは?:人間らしさって、「間違える」こと

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Photo: YURI NANASAKI

きっといつか来る、未来の音楽の話を。

人工知能という言葉から、どんなモノを想像しますか? 最新テクノロジーに夢中なギズモード・ジャパン読者であってもそのイメージはさまざまかと思いますが、今やあらゆる場面で人工知能が人の仕事を手助けしており、音楽シーンにおいても同様のことが起きつつあります。

いかにも創造性の権化ともいえる音楽活動と人工知能を結び付ける考え方として、一つは人工知能による作曲・作詞といった創作面、もう一つは人工知能によるキュレーション面(DJやプレイリスト)といった2つに分けることができます。ストリーミングサービスの普及によって音楽消費は加速し続けており、人工知能が取り入れられることで楽曲製作や提供のしかたは大きく変わるかもしれません。

この2つの要素をひっくるめて「人工知能が音楽にもたらすもの」と題し、m-floのメンバー/音楽プロデューサーでありDJ、ポップカルチャーメディアblock.fm運営も行なっている☆Taku Takahashiさんにお話を伺います。

人工知能×作曲


○人間の行動がAIっぽくなっている

──すごくざっくりとした聞き方なんですが、人工知能が作曲をすることについてどう思いますか? たとえば人工知能が作った曲がチャートに入ったりしたら、アーティストは人工知能とどう接していけばいいんでしょう?

☆Taku Takahashi(以下、☆Taku):使えるものはなんでも使ったら良いんじゃないかなと(笑)。最近だと人工知能が絵を描いたみたいな話題がよくバイラルするじゃないですか。音も同じようなことが簡単にできちゃうんですね。なんでかっていうと、今作られてるポップスのサウンドは、トラックについてはもう誰でも作れちゃうじゃないですか。音楽が身近になってPCやソフトがあれば誰でも曲が作れるような時代になった。これは素晴らしいコト。でも同時に、みんな並列化されていっちゃう時代でもある。こうなってくるとAIも音楽を作りやすいんじゃないかなと。

──それだけビッグデータに堆積しているものがあるということですね。

☆Taku:そう、そのサンプルライブラリも大量にあるし、楽器のプリセットにも今のヒットソングに近いものがどんどん導入されていってる。最近の曲で使われている音の傾向を周波数で解析したりするのもAIならできるんじゃないかって思いますよ。そうしたものを活用すれば、今のトレンドの音は誰でも作れちゃう気がします。実際、若い子がパっと今風な曲を作ったりしてるし、それはクオリティが担保されたものが簡単に作れる時代になったということかなと。

それはすごく良いことだと思うけど、同時にクリエイターとしてはオリジナリティのあるものを作るのが難しくなってきているということでもあるかなと思います。

──人間が作ったものとAIが作ったものを比べるというのがそもそもナンセンスなんじゃないかとも思ったりするのですが……。

☆Taku:ナンセンスじゃないと思いますよ、だって同じ作品ですし。

──人間が試行錯誤して作ったものと、人工知能が「最近流行りの音はコレでテンポはコレ」という風にデータから導いて作ったものとって、どうしてもそんな風に見ちゃうんですよ。

☆Taku:いやいや、その質問はおかしいですよ(笑)。だってそれは今の人間の行動パターンですもん。人間がAIっぽい行動をしてるんですよ。そのやり方が良いという風に思っているわけではないんですけど、たとえばどこの国に行っても行動パターンというのは今のトレンドや受け入れられているものに似せて作っていくわけで、それは人間としての行動パターンであり、同時にAI的なものでもある。でも、AIってそういうことじゃないですか?

──ではそこに「自分らしさ」みたいなものを注入するかどうか、みたいな違いになってくるんでしょうか?

☆Taku:その自分らしさが人間らしさだと思うんですけど、つまりは「間違っちゃうこと」だと思うんですよ。何かをやろうとしてそれができないのが、いわゆる個性だと思うんです。何か曲を聞いてすごくカッコいいと感動して、じゃあそれに似たものを作ろうとして、でもなんか上手くいかないなぁ、と。リスナーがその曲を聞いて感じた違和感が個性です。悪く言えば妥協なのかもしれないけど。

その個性というのが生まれやすかったのが昔のことで。電子音楽に絞った話ですと、Moogの音をカッコいいと思ったから自分の持っているKORGを使って音を再現しようとしても、どう頑張ってもMoogのは音にならないんですよ。そこに個性があったと思う。でも今は、MassiveとかSylenth1とか優秀なソフトウェアがあって、良いなって思った音があったらYouTubeで調べたりプリセットを手に入れれば、望んだ音に限りなく近い音が簡単に手に入る。こうした人の行動パターンって、まさにAI向けですよね。

○AIをいかに“ツール”として使うか

──そんな人間が作った人工知能だからこんな挙動なのか、そもそも効率性で他のやり方がまだ思いつかないだけなのか、どうなんでしょう……。

☆Taku:要はAIを便利なものとしてどう使うかっていうことなんだと思うんです。「AIが何をするか」ではなく、「AIをどう使おうか」っていう、ツールに過ぎないという認識を常に持ち続けていないといけない。思考パターンとか入ってくると人権が関わってくるかなと思うんですけど、作品作りにおいてはどう使おうかっていう風に考えないと。

たとえばマスタリングスタジオなら、昔だったら曲のパートによってフェーダーをガって上げて戻すみたいなことをやってました。それが今ではマウスで好きなように上げれるし、細かく調整もできちゃいます。たとえば「愛してる」の「て」の最後のほうだけ一瞬上げるとか、そこまでやる人もいて、それだけで聞こえ方は変わってくるんです。そうしたことをやりたいなら、使えるものは使っちゃえばということになってきますよね。

──そこで昔のやり方のほうが良かったと言われても、比較しづらいものがありますね。

☆Taku:良かったというか一長一短で、いろんなことができるようになって良くなった部分もあるし、同時に当時のほうが気持ちでもっていくみたいなことが受け入れられやすかったかなぁと。

音程に関してだと、オートチューン(音高を調整するソフト、ケロケロボイスを作ったりも)をバリバリ使ってる曲は除くとして、昔の曲と今の曲と比べると明らかに今の曲のほうがピッチが良いんですよ。それはいろいろと化粧をして直してるから。写真でいうレタッチですよね。

でも昔の曲のほうが音程は外してるけど、サウンドに味を感じたりするかもしれない。それはもう気持ちですよね、オッケーだったからいいや!っていう(笑)。で、どっちが良いかって話になってくると難しくて、各世代によって考え方も違ってくるかなぁと。

──優劣というより、選択の幅が増えたのは間違いないなと感じます。

☆Taku:選択は可能性を作ると同時に可能性を狭めていっちゃっているんですよね。そこをどう使うかっていうのがやっぱり重要で、似たり寄ったりばかりだとつまらないじゃないですか。

○僕たちがAIを動かしているのか、AIが僕たちを動かしているのか

──それに嫌気がさして、あえてのスタイルを選ぶとなれば、それはまた個性ということになりますね。

☆Taku:でもそうした反発もAIがシミュレートできる時代が来るかもしれない。ヒットソングの方程式みたいなのはもうビッグデータから掴めるので、これは曲制作ではなくユーザー傾向のアルゴリズムの話になってくると思うんです。そうした場所では人工知能を使わずに次のヒットを予測する人たちがいるかもしれない。

でもコレってビッグデータがある前かららやってることなんですよ。マーケットリサーチでライバルを調べるなんてことは人間が昔からやってることだから、それがビッグデータになって処理が速くなっただけで内容は変わってないんですよね。

──そのスパンは早くなっていますよね。

☆Taku:早くなっているし、トレンドの変化も早くなっている。そこに対してアルゴリズムを使っても良いし、誰がどこでどんな曲を聞いて何秒で離脱してどういう曲からどういう曲へ移動しているかとか、そうしたデータを研究したライブラリはすごく価値がある。むしろ、すでにそういうデータはどこかで取られていて活用されているかもしれない。都市伝説なことかもしれないですけど、そんなことが実現していてもおかしくないし、いずれそうなってくると思うんです。

──たとえばGoogleマップが時間帯混雑率を表示しているのはGPSを活用しているからですし、似たようなことが音楽に起きるのも充分あり得ると思います。

☆Taku:何時にどこの部屋でどんな曲を聞いてるのかとか、そういうのもいずれデータ化されていくじゃないですか。それはつまり人間の行動パターンがデジタル化されていくということだから、いずれAIは人間以上になると思います。僕たちがAIを動かしているのか、AIが僕たちを動かしているのか、そんなところまでくるのも時間の問題なような気がします。SiriやAlexa、Googleアシスタントもどんどん精度が良くなっていくだろうし、音声合成がさらに自然になれば歌えるようになって、初音ミクよりもすごいものがでてくるだろうし、音楽の進め方そのものも良くなると思います。

○人工知能を必要とする音楽のシステムがマネタイズできるようになったら一気に来る

──曲を聞いたり作ったりして、「じゃあAIで良いじゃん」って思われたり思ったりするのは、なんだか寂しいなぁと思います。

☆Taku:でも今そういう曲多くないですか? 僕はそう感じるんですよ。EDMだったらアリーナ系の四つ打ちのサウンドは似たようなのばっかりで。

──数年前はどんどんアガっていく系がトレンドでしたけど、最近はメロウだったりエモだったりな四つ打ちも増えてきて、あのノリに疲れたのかなぁなんて個人的には思ったりします。

☆Taku:フューチャーベースとかですね。でもそうしたスパンの早さとかについては僕は嫌悪感は無いんですよ。僕が好きか嫌いかっていうだけのことで、その音楽を否定してるわけではなく、それもまた人間の行動パターンだなと思って真摯に受け止めようか、と。四つ打ちが生まれた頃はまだコンピューターが発展してなくてそこにロマンがあったけど、今これだけ普及してるとその当時のロマンスとは違うものになってくるとは思うんですよね。

──あぁ、ロマンスは確かに。でもそうしたロマンス成分が入っていない四つ打ちが好きという人もいるんでしょうねぇ。

☆Taku:でもこうした話を20代の人とかにしてもさ、説教臭いだけじゃないですか(笑)。だから楽しければいいじゃないって思うんですよ。ただ、僕が作りたいものは僕が作りたいと思うものなので、やってることはAI的な行動パターンに対してのリベリオンなんだけど、たまたま同じことになってしまう時もあり得るわけで、そこはもう意識せずにやってます。自分がやりたいことがAI的思想の社会にあって、僕がそういう風に動かされているのかもしれない。それもやっぱり重要ではなく、僕が自分に正直にいられるかってことが一番大事です。

──これやっとけばいいんだろって、システムにあぐらをかくようになったらヤバいですね。

☆Taku:そう。そしてそれが社会ってやつです。だって大量消費じゃないとリクープできない時代ですから、そういう行動パターンを取るなっていうほうが人類に対して酷じゃないですか? 食わしていかないといけないし。それで仕事を失う人も出てくるかもしれないけど、これはもう昔の産業革命の時代から言われてる話ですし、システムがお金になるかどうかだと思うんです。

人工知能を必要とする音楽のシステムがマネタイズできるようになったら一気に来ると思うんですよ。要はニーズですね。人工的に曲を作ってくれるAIが必要とされる場面が増えてくれば、一気にレベルアップすると思います。それが必要とされないのなら、そのままニッチなもので居続けるかなと。そこがいまは救いかもしれません、音楽の場合は。

人工知能×キュレーション



○空気感を読む能力は人間に備わっているもの

──では、創作面ではなくキュレーションやDJと人工知能の関わりについてはいかがでしょう? すごくざっくり聞くと、人間が今後キュレーションしていく意味はあるのかってことなんですが。

☆Taku:立場上これは厳しい質問ですね(笑)。まだしばらくはあると思いますし、あると信じてます。まだAIとの戦いってそんなに高度なところまで来てないと思うんですよ。人間は飽きる生き物なので、その飽きに対して提案できるのは今のところ人間だと思います。今のAIの技術と駄目なA&Rは同じレベルかもしれませんけど。

──その飽きすら、いずれはAIも対応できてくる。

☆Taku:そうですね。ただひとつ言えるのは、ビッグデータにあるのは過去のデータで、過去の人間の行動からAIは未来を予測します。そうした統計と現在のトレンドを照らし合わせた提案はAIにもできると思うし、駄目なA&R…つまりはクリエイティビティに欠けた音楽業界でもできると思うんですよ。それはもう乗っかってるだけというか。ユーザーが飽きた時の対処法として、AIなら過去に飽きたときの傾向を参照するはずです。だけど、その時の政治背景とか、ファクターっていうのは本当はもっと色々あるんです。

今Netflixのドラマ『ストレンジャー・シングス』が流行してるから80'sブームがくるとか、そういった要因に対する嗅覚は人間のほうが優れていると思います。その時の社会通念とか、そもそもどうして飽きてるのかとか、そういうものに対しての嗅覚はまだ人間優位かなと。だから、まだエゴが活きる余地があるかなと感じてます。人間が賢くならないとAIも賢くならないってことなんですよ、今現在は。

──エゴはそうですね、むしろ提供者のそのエゴ自体に魅力を感じることもあります。

☆Taku:僕は曲の良さで評価されたい人間ではあるんですけど、音楽って「なんかカッコいいからいいや!」みたいなところからカッコよく聞こえるみたいなものもあると思うんです。それはまだ数値化できないものだと思うし、そうした数値化できない部分っていっぱいあるから、空気感を読む能力は人間に備わっているものなんじゃないかなと思います。

あとは「欲」です。出す側にも何かしらの欲があって、それは禁欲だったりモテたいっていう欲だったりいろんな種類があるんですけど、それは特殊なエネルギーとして感じられると思うんですよ。人間には承認欲求があるけどAIにはないじゃないですか。なので、2018年現在は、人間が勧めてくれるもののほうがグっときますね。

○クリエイターはAI以上のものを求められている人種であるべきで、ディスってる場合じゃない

──DJについてはどのようにお考えでしょうか?

☆Taku:いま、DJって誰でもできちゃうんですよ。いくつかのディスコ箱をハシゴした時に全く同じ選曲してることもあって、地方へ行った時でも「この順番、同じじゃん!」ってことが実際にあるんですよ。これはヒップホップのDJルーティンでもあって、これが来たら次はこれでこれに行くよねっていう勝ちパターンはどこにだってあるんですよ。

そうしたDJプレイがいまはAIが繋いでくれるし、自動ミックスの精度もよくなってきている。そうして誰でも気軽にDJ的なミックスができるようになって、DJを楽しんだり踊れる場所を作れるようになったっていうのは、これは良いことだと思います。

──オートミックス機能ですよね。精度も高くなってきてますし、それを搭載したDJデッキも最近増えたように感じます。

☆Taku:で、僕らクリエイターはそこに対してAI以上のものを求められている人種であるべきで、そこをディスってる場合じゃないと思うんですよ。オートミックスみたいなことをしているDJに対してもディスってるんじゃなくって、それを面白いと思ってもらえることがすごく重要なことであって。

──こういう機能があればありがたいという人もたくさんいるわけですから、手軽になったことで苦労さがーとか醍醐味がーとか、そうした気持ちとできることは別に考えたいですね。

☆Taku:なんせ楽になりましたね、曲作るのが。

──その楽っていうのは悪い事ではないんですけどね、利便を求めるというのは。

☆Taku:でもその楽っていうのは、僕にとってはあんまり良くないこと。これはクリエイター代表とかではなく、☆Taku Takahashiにとっては良くないって意味で。何故かっていうと、間違えづらくなるから。

──簡単に正解へ辿り着けるようになった、と?

☆Taku:うん。あとは寄り道をしなくなった。寄り道はいろんな出会いがあるからするようにはしてるんだけど、やっぱり楽だったらそっちを選んじゃうじゃないですか。たとえば渋谷から車で送ってくれるっていうなら送ってもらったほうが楽なんですけど、自分で歩いて帰ったら「こんなところに焼鳥屋さんあったんだ」みたいな発見があるかもしれない。そういう発見って音楽でもあるんですよ。

──このプリセットを使えばイメージしている音は簡単に出せるけど、あえてサイン波から作ってみるかとか、そんな感じでしょうか。

☆Taku:そう、そうすると発見があったりする。わざと古い機材を使うことももちろんあるし、でもそうした面倒くさいことをすることに美学を持っているタイプでもないんですよね(笑)。これだけ言っておいて僕自身はすごく面倒臭がりなので、その中間点みたいなのを見つけようという感じです。

○ユーザーの行動がミックステープ的になってきてる

☆Taku:キュレーションじゃあなくてストリーミングについての話しだと、これについてはU2のボノの言っていたことが正しかったなぁって思います。昔、ボノがiTunesに反対したんですよ、アルバムを楽しめなくなる人が増えてしまうって。ジョブズにそれを言ったら「いや大丈夫だから」って言われたらしいんですけど、アルバムを聞く人っていま減りましたよね。

──僕はアルバム単位でストーリーを楽しみたい派ですが、やっぱりアルバム単位で聞く人は減ったと思いますよ。これもプレイリストの力でしょうか。

☆Taku:僕自身はアルバムを聞かせたいっていう願望があって、m-floなんかは特にアルバムを通してドラマを伝えたいっていうグループなんですよね。でも最近は、ユーザーの行動がミックステープ的になってきてるなと。オムニバス、コンピレーション的な聞き方をしている。それが今のトレンドになっちゃってるのは、僕自身はちょっとイヤだなって思うんです。

でもこの流れってもう止められないですし、プレイリストの中に僕の曲が入っているだけでももちろんありがたいことじゃないですか。じゃあここはもうAIに頼って、アルバムで聞きたいって言ってくれる人とマッチングしてこうかと、なるわけですね。

──音楽の楽しみ方もいろいろな選択がとれるようになってきましたね。アルバムで聞きたい人も、プレイリストで楽しみたい人も共存しています。

☆Taku:プレイリストで楽しむっていうことが悪いことではもちろんなくて、高校生の頃は好きな子にミックステープを作ってあげるのが楽しかったですし。でも今の子たちにそれがわかるのかなぁ。

──プレイリストデータを好きな子に渡すっていうのも、何かロマンが無いような……。

☆Taku:ですよね。テープやMDとかCDを焼く時代って、そのモノ自体がラブレターだったんですよ。その文化はもう公衆電話くらいなくなっちゃいましたね。無くなっていくものって世の中一杯ありますけど、でも同時に新しい刺激が生まれてくるのも確かで、刺激の選択肢そのものは増えているから。

──あえて面倒な手段をとることもできるわけですもんね。

☆Taku:そこでグチグチと言っちゃう人と、しょうがないねって僕みたいな立場の人と、いやいや楽しいっすよ~っていう立場の人と、混在しているんじゃないかな。

──その混在はカオス的で面白いなとは思います。全員がデニム着て正解っていうよりかは、多様で良いかなと。

☆Taku:とはいえ、日本人の属性ってそういうところありますよね。渋カジが流行った時はみんな似たような格好したりとか。

──今だと女の子みんな唇真っ赤だなって思ったりしますけど、一方でそれにパンクスする女の子も確実にいるわけですしね。

☆Taku:危惧してることがあるとしたら、そうしたいわゆる異端系、つまりオルタナティブですよね。それが存在として生き残るのが難しくなっていくんじゃないかなって。昔のカウンターカルチャーもそこそこのマネタイズが担保されていたと思うんですよ。ちょっとAIの話からははずれちゃうんですけど。こういう話を音楽業界の人に話すとどうしたってネガティブになっちゃうっていうのは、マネタイズが難しいってことなんですよねぇ。

○上の世代と違った概念を持っているならそのエゴをどうやって具現化するか

──そのマネタイズの構造をどうにかするという動きも、あるところにはあるんでしょうか?

☆Taku:それこそAIやブロックチェーンなんかを活用するって話ですけど、まぁ根本はメンタリティだと思うんですよねぇ……。若い頃って何をすればいいかわからないから仕事がない、でも何かしたいコトはある。なのでとりあえずノウハウを覚えるけど、いざポジションに立った時には最初に志した何かしたいコトっていうのがなくなっている。その悪循環って、日本あるあるだと思うんですよ。僕自身はこういう構造に対してあんまり希望もてなくて。

でも、メンタリティっていうことなら、いざポジションに立った時にそれを変えてやろうっていう気持ちがやっぱり大事で、上の世代と違った概念を持っているならそのエゴをどうやって具現化するかっていうことにノウハウを活かせば良いっていう、そうした人が実際あんまりいないんですよね。

──ベンチャー気質という感じですね、そういうのは。

☆Taku:もちろん歯車の一部だって重要な存在になってくるんですけど、それこそAI的な行動パターンになっていっちゃいますよね。AIが発展してこうなってほしいという可能性の話なら、人間が「これはヒットしないだろうな」って予測しているものに対して、「いや、このデータによるとイケますよ」っていう、そういう判断を手助けしてくれるツールになってくれると良いなって思います。たとえばオルタナティブに対して「これはトレンドじゃないけどパターン的にみるとトレンドに持っていけるかもしれないよ」っていう、ちょっとビッグデータ的な話です。

──なるほど、人間の直感をデータが補佐するかたち。

☆Taku:たとえば東京のあるバンドに対して、今回の新曲が島根県でめちゃくちゃハネてるんですよ、と。そういうデータはもういまとれるじゃないですか。そうなったら島根県で思いっきりメイクノイズしてプロモーションして、「島根でこんなことが起こってる!」みたいな取り上げ方をしてもらうとか。そういうツールにするっていうことなんですよ。AIって何か特別なことをしてくれるって思いがちなんですけど、すごくよくできたアドバイザーみたいに捉えると良いかもしれませんね。

──これは現実的かつポジティブなAIの使い方ですね。

☆Taku:とはいえ決断をAIに委ねるようになるとそれは怖いので、あくまでも目安みたいなものですね。




2018年3月7日(水)より、LISAさんの復帰後のm-floの新アルバム『the tripod e.p.2』が発売中。

Photo: YURI NANASAKI
Source: m-flo official website, YouTube
ヤマダユウス型

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