議決権制限株式や拒否権付株式などの種類株式を利用した事業承継対策を解説

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2018/3/12 19:00

会社法では、配当を受ける権利や株主総会の議決権などについて、一般の株式と異なる取扱いをすることができる種類の異なる株式を会社は発行することができるとされています。このような株式を種類株式といい、その典型例は優先株式です。優先株式は、利益配当に関して優先的に受ける権利を付与された株式を言います。
種類株式はそれ以外にもいろいろなものがありますが、この種類株式を応用することで、事業承継対策がスムーズにできると言われています。これらのうち、事業承継対策として使われるものをいくつか紹介します。


■議決権制限株式

事業承継の際、必ず押さえておくべきことは、最低でも後継者が会社の議決権の2/3を握るということです。議決権の2/3以上を持っていれば、特に重要な決議を行う株主総会の特別決議事項についても、後継者が単独で決議することができるからです。

2/3以上の株式を後継者に移転できれば問題ありませんが、どうしても無理な場合には、議決権を制限する株式を後継者以外に発行することで、2/3以上という後継者の議決権を確保することもできます。

実務上は、会社の意思決定を後継者に集中させるため、後継者以外には議決権のない完全無議決権株式を発行するケースが多いようです。

■拒否権付株式

拒否権付株式とは、株主総会などの決議事項について、別途種類株式を有する株主の株主総会(種類株主総会)も必要とする株式を言い、黄金株とも言われます。この株式は、オーナーが事業承継する際、後継者だけでは頼りないといった場合に発行されるもので、会社の運営に当たり、所定の事項については後継者の決議以外にオーナーの決議も必要とする、といった設計がなされます。

ただし、決議内容に制限を受けるため、後継者にとってはそれが負担になり、返って事業承継が進まない、といった事態も生じるリスクがあります。拒否権の内容は定款で定められますので、後継者にとってどうしても譲れない部分についてのみ拒否権を使えるよう措置する、といった対応も必要になります。

■発行方法

種類株式を発行するためには、定款を変更して種類株式発行会社である旨を定める必要があります。定款を変更するため、株主総会の特別決議が必要になります。なお、定款に「発行する種類株式の内容」と「発行可能種類株式総数」を定めた上、その旨の登記を行う必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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