『もみ消して冬』が明らかにした、Hey!Say!JUMP・山田の“ちょんまげ頭”という破壊力


 5~7話と、平昌オリンピックの「直撃」を見事に受け、一時は視聴率で苦戦を強いられたHey!Say!JUMP・山田涼介主演の『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系、土曜午後10時~/以下、『もみ冬』)。

「エリート一家が、家族に起こったトラブルを、法律や常識よりも家族ルールを優先して全力で解決していく」というストーリーは、大きな感動を与えるわけでも、余韻を残すわけでもない。しかし、このドラマが成し遂げた功績はいくつもある。

1つは、作品のテイストと曜日・時間帯との相性が、いかに重要か明らかにしたこと。ドラマの世界では、作品を語る際の基準が、「視聴率」と「評価・クオリティ」に二極化しがちだが、この作品はどちらに主軸を置くでもなく、どちらもそこそこ。ただし、軽く楽しめるテイストは、土曜夜の気分との一致度において、「最適な温度」を導き出した。その最適な温度は、このドラマの構成要素「キレイ・可愛い+笑い+ちょっぴり切ない+ちょっぴり感動」の配分が、金子茂樹脚本により、巧みに計算されているからだ。

さらに、主演・山田涼介の俳優としての新たな顔を引き出した意義もある。山田は数々のドラマや映画に主演し、観客動員数においてもジャニーズの若手エースポジションにあるが、俳優としての将来性においては「小柄」「童顔」に加え、「顔が整いすぎていること」がネックとされ続けてきた。

しかし、『もみ冬』の末っ子・秀作は、弱く、情けなく、小動物のように愛らしい。その「不憫可愛さ」を醸し出すうえで、小柄であること、童顔であることは間違いなく大きな武器になっている。さらに、「顔が整いすぎている」弱点は、くるくる変わる劇画タッチの変顔連発により、打ち砕かれた。

最初は、オーバーな表情、くどい語り口、そしてBGMと、見ていてやや引く面もあったが、途中からは劇画タッチのギャグマンガを見るような気分になっている。山田は、瞬時に涙を流せることから、映画『鋼の錬金術師』『ナミヤ雑貨店の奇跡』など、さまざまな作品でシリアスな泣きの演技を求められることが多いが、今作では「泣き笑い」や「安堵の泣き」「小さな幸せ泣き」「成長の泣き」など、バカバカしくも複雑な感情が涙となってあふれ出している。こんなにも多彩な泣き顔ができるとは、ちょっとした驚きだった。

『理想の息子』(同)のときから思っていたが、やはり山田はコメディが良い。共演者と呼吸を合わせるテンポの良さは、バラエティ番組『スクール革命!』(同)などで培われた部分もあるかもしれない。そもそも、山田の「普通の男」「ちょっと残念で、不憫可愛い」といったイメージも、『スクール革命!』が長年温め、育んできたものである。

ついでに、山田の意外な力が発揮されたのは、『もみ冬』3月10日放送回だ。

赤ん坊時代に、山田と加藤諒が「取り違え」てそれぞれの家庭に引き取られていた過去が発覚。1週間、本来の家で生活を入れ替えることになり、最初はパリッとしたスーツ姿で庶民の家のこたつにあたっていた山田だが、家庭の温かさに触れるうち、その生活に馴染んでいく。そして、最終場面で現れたのは、前髪をちょんまげにし、半纏姿で寝ころんで漫画を読み、煎餅を食べる姿。

この「ちょんまげ+半纏」は、まさしく『理想の息子』で演じていた姿ではないか。と思ったら、Twitterのトレンド上位には山田の役名「秀作」がランクイン。

「前髪を結った山田涼介の破壊力がすごい」「のびのびしてる山田涼介くん、可愛すぎて無理……」「庶民に馴染んだ山田さん可愛すぎじゃない?」

わずか1~2分のシーンにもかかわらず、こうした絶叫にも近い興奮の呟きは数時間にわたって続出していた。序盤のシャワーシーンなんかよりもよっぽど、ボサボサちょんまげ頭+半纏で女性たちを狂わせる山田。

胸元を大きくはだけたり、口が悪く、ときにオラついてみせるところを見ると、山田自身はおそらく自覚していなさそうだが、実はこうした「無防備さ」こそが山田の真の破壊力だと思う。

残るはあと1話。続きがさほど気になるわけでもない1話完結のおバカドラマなのに、この温度が失われるのは、ちょっぴり寂しい。
(田幸和歌子)

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