坂本真綾 「今、唄いたい曲」を詰め込んだ約2年ぶりのライブツアー『ALL CLEAR』が開幕! オフィシャルレポート到着

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2018/3/12 17:24


3月10日、大阪国際会議場にて『坂本真綾LIVE TOUR 2018“ALL CLEAR”』が幕を開けた。全国ツアーとしては『坂本真綾 LIVE TOUR 2015-2016 FOLLOW ME UP』以来となる約2年ぶり。1月31日にリリースされたニューシングル「CLEAR」をひっさげ、デビューから既に200曲以上リリースしてきた楽曲の中から新旧織り交ぜたセットリストを披露した。

ちょっぴりエレガントなムードと美しいライティングによる舞台演出が印象的だったオープニング。「ツアー初日に駆けつけてくださった大阪の皆さん、ありがとうございます!」と笑顔で挨拶した序盤から、久しぶりのツアーの緊張感と、それを上回る再会の喜びがステージと客席の熱気を上げていく。春先をイメージして作られたというシングル「CLEAR」のカップリング曲「レコード」も披露され、まだ少し肌寒いこの季節にぴったりの歌詞世界を洗練されたポップ・サウンドと柔らかな歌声で届けてくれた。

ちなみに今回のバンドのメンバーは、河野伸(Key)をバンマスに、佐野康夫(Dr)、大神田智彦(B)、今堀恒雄(G)、石成正人(G)、稲泉りん(Cho)、高橋あず美(Cho)と、坂本真綾に縁の深い敏腕ミュージシャンが揃った。彼女の両サイドからふたりのギタリストがツインギター編成ならではの立体的かつ華麗なプレイで聴かせてくれるのも、本ツアーのひとつの見どころと言っていいだろう。中盤はアコースティックでしっとりと聴かせながらも、ドラマチックにライブが展開していく。

今回は、坂本曰く「私自身が今、唄いたい曲」を中心に選曲されているのだが(ライブではあまり披露されないレアな曲、懐かしい曲、盛りだくさん!)、約2年ぶりのツアーということで、その間にリリースされた新曲も随所に散りばめられている。特にスマホ向けゲーム『Fate/Grand Order』第2部の主題歌として配信され既に人気を集めている「逆光」の初披露では、凄まじい気迫に満ちたサウンド&渾身の歌唱を響かせた。伊澤一葉が作曲を手掛けた難易度の高いメロディの中で、あらゆる感情を発露させながら無我夢中に歌い上げる様は圧巻で、ここにきてまた新しい坂本真綾の魅力に触れた気がした。

そんな「逆光」のようなエモーショナルかつディープな楽曲も鋭く表現できる今だからこそ、その対極にあるとも言える「CLEAR」の瑞々しくポップでフレッシュな世界観が、このツアー全体のカラーとして大きく印象づけられる。〈透明/何かを達成する〉という意味の言葉をタイトルに冠し、水野良樹(いきものがかり)が作曲を手掛けたこの曲も、今回初披露となった。〈翼がないなら走ってくわ〉というフレーズがピュアな輝きを放っており、唄いながらオーディエンスにマイクを向ける場面もあり、このライブの華やかなハイライトのひとつとなる。

「『ALL CLEAR』というツアータイトルを思いついた時に、スカッと晴れ渡った空とか、停滞していたものがスッと抜けるようなイメージがありました」――ツアー直前にそう語っていた通り、この日のライブでは声や音がキラキラとした透明感を帯びているような美しさを放ち、パフォーマンスにも清々しい熱気を感じた。昨年はゆったりペースで活動し(とはいえ、嚴島神社での世界遺産ライブやミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』の出演など相変わらず多忙だったはずだが)、たっぷりと考える時間を経て心機一転という感覚が今はあるという。そんなエネルギッシュな坂本のライブ・パフォーマンスは終盤に向かって大技を何度も繰り出すかのごとく客席を盛り上げ、ジェットコースター並みの急展開が訪れるので、これから観に行かれる方は乗り遅れないようくれぐれもご注意を。ちなみにこのパートが終わった後、彼女は息を切らし気味に「楽しい……!」とつぶやいた。きっとお客さんたちも同じ気持ちだったことだろう。


更にアンコールでは「ツアー初日に来てくださった大阪の皆さんにおみやげがあります!」と新曲「ハロー、ハロー」を初披露する場面も。この曲は彼女自身が作詞・作曲を手掛けたもので、TVアニメ『あまんちゅ!~あどばんす~』のエンディングテーマに決定したことも併せて発表された。「自分で作詞・作曲をした曲がタイアップになるのはまだ経験が浅いのでドキドキしました。女子高生がスキューバダイビングでがんばる物語なので可愛さや爽やかさは必要なんですけど、そんな中でも、大人目線で聴いても聴けるし、ティーンネイジャー真っ只中にいる人が聴いても“私たちのことだわ”と思いながら聴けるようなものを目指して書きました。例えて言うなら過去の自分から届いたメッセージのようにも読めるし、今の自分が未来に向けて置き手紙するようにも読める、〈ハローハロー〉と呼びかける歌になっています」と、曲に込めた想いを語った。ふんわりと柔らかなサウンドに乗った「ハロー、ハロー」は聴く者の心を素直にさせてくれるような優しさがあり、口ずさみやすいキャッチーな仕上がり。唄う前に「誰にでも覚えられる簡単な音楽なの、私が作ったから(笑)」と言っていたが、サビのフレーズに合わせて上下する左手の動きも、客席のみんながたちまち真似している姿も楽しい光景だった。

「来週からは初の海外公演もあります。初めましての人にも楽しんでもらえる、いいセットリストだったよね?」と問いかけると客席から大歓声が上がった。そう、今回は3月17日の台湾と、3月24日の香港における海外公演も含むツアー。昔からアジア中から彼女のファンがライブのために日本に訪れることも多いだけに、現地でも盛り上がるに違いない。「ALL CLEAR」ツアーならではの澄み渡る新境地をステージから届けてくれた初日はとびきりハッピーなムードで終了。

坂本真綾の今もなお、というよりむしろますますフレッシュな存在感と、力強さと優しさに満ちた音楽は、この場にいる全ての人の明日の活力となったはず。最後に「冒険しつつ、初心に帰りつつ、もっともっと進化していく再始動のツアーにしたい」とこれからの決意も口にした。4月1日のツアー最終日に向けて、そしてその先の未来へと向かって、爽快な離陸感だった。

文:上野三樹

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