病気の息子に付き添ってあげて…社員らが3,264.5時間の残業をし、父親に有給休暇を与える(独)

幼い息子の病が発覚して間もなく、最愛の妻までも病で失ってしまった男性。治療を続ける息子のそばに少しでも付き添ってあげたいと仕事を休む決意をしたものの、一方で解雇されることを恐れていた。しかしそんな男性に助け船を出したのは、会社の仲間たちだった。『BBC News』『Mirror』『Metro』などが伝えている。

ドイツのヘッセン州フロンハウゼンに暮らすアンドレアス・グラフさん(36歳)は、マールブルク近郊にあるデザイン会社に勤務しており、組み立て作業員として働いていた。2017年1月、息子のユリウス君が4歳になる直前で白血病という診断を受け、迷うことなく会社の有給休暇を息子の付き添い時間に充てた。

病院で入院しながら治療を続けているユリウス君を見て、アンドレアスさんは我が子の病が回復するまでどれぐらいかかるのかと心配する一方で、自身の仕事を休み続けることにも不安を抱えていた。病気の息子と一緒にいるために使えるだけの有給休暇を全て消化してしまったアンドレアスさんは、このまま息子と一緒に過ごすことになると仕事を解雇されてしまうのではという不安があった。

そんなアンドレアスさんの事情を知って救いの手を差し伸べたのが、会社の人事マネージャーであるピア・マイヤーさんだった。ピアさんはアンドレアスさんの同僚たちと子会社の社員らに、取得予定の休暇期間や残業時間をアンドレアスさんの有給休暇に充ててほしいと呼びかけた。するとアンドレアスさんのことを知らない社員までもがこの取り組みに同意し、呼びかけから2週間でおよそ650人の社員らが募集リストに署名した。これにより、アンドレアスさんには社員一人あたり平均5時間の残業、合計にして3264.5時間がプレゼントされた。この時間はおよそ1年半以上の労働時間に値し、アンドレアスさんは皆の協力によりこの時間分の有給休暇が与えられることになったのである。

これを聞いたアンドレアスさんは号泣し、「彼らの助けがなければ、私は今頃仕事をクビになっていたでしょう」と協力してくれた社員らに感謝の気持ちを露わにした。ピアさん自身もこれほどの反応があると思っていなかったようだが、「社員全員が、アンドレアスさんのために無給で残業してくれました」と喜んだ。

しかし、ユリウス君が化学治療後の9か月間の入院を終えて家に帰れるようになった頃、更なる悲劇が一家を襲った。昨年10月、アンドレアスさんの妻が心臓の病で亡くなったのである。2月末に5歳になったユリウス君は、現在は自宅で治療を行っているが、母親を失った悲しみはいかばかりであろうか。またアンドレアスさんも困難な状況の最中に妻を亡くし、その辛さは計り知れない。しかし今は、ユリウス君が元気になって保育園にも通うことができるようになることをひたすら願っているという。

このニュースを知った人からは「心が温まるとてもいい話」「世の中にはこんなふうにいい人もいるんだってことを知ることが嬉しい」「奥さんも亡くして子供が病気だなんて本当に大変だろうけど、周りが良くしてくれてよかったね」「なんで彼の会社がもっと有給休暇を提供してあげなかったんだろう」「1年以上もの有給を取らせる会社がどこにある? 会社は慈善団体ではないのに」といった声があがっている。

画像は『Metro 2018年3月8日付「Man’s colleagues work 3,300 hours overtime so he could look after son with leukaemia」(Picture: CEN)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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