深キョンついに妊娠!『隣の家族は青く見える』第8話は高橋メアリージュンの強い芝居に涙させられる神回

日刊サイゾー

2018/3/9 22:30


 コーポラティブハウスを舞台に、4組の「家族」の価値観を描く『隣の家族は青く見える』。第8話は、視聴者も知らぬいくつかの「理由」があかされ視聴率は6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや上昇。

(前回までのレビューはこちらから)

■『毒親』に悩まされてきた2人



今回まず目立ったのは、ずっと仲違いしてきたちひろ(高橋メアリージュン)と深雪(真飛聖)の関係の変化。

亮太(和田庵)の死んだ母親の言葉「人間いつ死ぬかわかないから、やりたいことやっとけ」という言葉に触発され優香(安藤美優)は、受験を辞めて公立中に進み、ダンスを続けたいと母・深雪(真飛聖)に告白。「ママの言う通りにして後悔するのが嫌なの」と言われ、激怒し手を上げかけた深雪のその手を、ちひろが掴む。「子どもをストレスのはけ口にしないで」と語るちひろには、何か理由がありそう。

後日、亮太の誕生日が近いことを知り、ケーキ作りの手伝いを奈々に頼むちひろだが、奈々(深田恭子)はお菓子作りの腕が「プロ級」だという深雪を連れてくる。ギクシャクしつつも、距離が縮まりだす。

ここで深雪は、自身が小・中と受験に失敗し、母親に褒められずに育ったという過去を明かす。確かに前回「あなたは受験に失敗したとこから人生狂ってしまった」と、いまだ年老いた実母に圧をかけられていた。

「でもね、子どもができた時、初めて喜んでくれて、ようやく両親に認めてもらえたって思った」という深雪は、子どもの存在を「両親と私をつないでくれた魔法の架け橋」だと言い、だから他人にもつい「子どもを作れ」と勧めてしまう、と。

深雪も内側に、いわゆるインナーチャイルドを抱える弱い人間なのだ。初めて深雪の弱さを知ったちひろも、母親にいつも殴られていたという自身の過去を明かす。

確かにちひろは前回「みんながみんな子ども時代が幸せだとは限らないからね」と朔(北村匠海)と共感していた。

「こんな親にだけはなりたくないと思ってて、ある日、気づいたんだよね。そっか、子どもを産まなきゃいいんだって」
「私みたいな育てられ方した人間がいい母親になんかなれるわけないから」
「産んだはいいけど愛してあげられませんでしたじゃ、子どもがかわいそう」

反目していた2人には『毒親』によって苦しんだという共通する子ども時代があったのだ。深雪は子どもを育てることで、ちひろは子どもを持たないことで、当時のことに折り合いをつけているのだ。

自分と同じく母親を「失った」亮太がSOSを発した時には必ずそばにいてあげたいと語るちひろの思いを知り、何かが溶けるような表情を見せた深雪が印象的。

深雪はまだ自身の『毒親』に対し希望を持っているかもしれないが、ちひろは切り捨てているようだ。もし優香をあそこで叩いてしまっていたら、自分が優香に「切り捨て」られていたかもしれない。実際そんなことはないかもしれないが、深雪が、気まずい中、お菓子作りに来たのは、優香との関係を守ってくれたちひろに対する感謝があったのかもしれない。

この物語では無理だろうが、いつかちひろが(勝手な推測だが)「切り捨て」た母親とまた通じ合い、亮太らを紹介できる、そんな日がきたらいいなと思った。

そして、こういう場をちゃんとセッティングする奈々、頼もしい。

■死んだ母に「許された」亮太



そして誕生日当日。ちひろは完成したケーキをうれしそうに差し出すも、亮太はいきなりそれを床に叩き落とし、「今日はお母さんが死んだ日だ」と外へ飛び出す。

「悪かった、私が! 知らなかったの! 今日がお母さんの命日だなんて知らなかったの」
「亮太ごめん、亮太を傷つけるつもりなんかなかったの! 本当にごめん、ごめんなさい、ごめんなさい!」

正直知らなかったちひろに落ち度はないし、それはそれとしてケーキを叩き落とした亮太も幼いのだが、ちひろはすぐさま全力で亮太に飛び込んだ。本気で向き合おうとするちひろの思いが亮太に届く。

「仕事で(誕生日)一緒にいられないって言うから『お母さんなんか別にいらない』って言っちゃったんだ」
「でももう謝れない、お母さんのこと傷つけたの」

あれから1年間、誰にも言えず、ずっと小さな身体で抱えていたのだろう。実父・亮司(平山浩行)にも言えなかった気持ちをちひろに向けて語ったのは、亮太もちひろに心から向き合おうとしているからだろう。

「2人とも亮太と暮らしたくて何年も親の権利を争ったんだよ? そうやって、やっと亮太と暮らす権利を手に入れたお母さんが、寂しさの裏返しで言った言葉を本気にするわけないじゃんか」
「悔しかったと思うよ、亮太を残して死ぬの、無念だったと思う。最後の最後まで亮太を残して死ぬの心配で心配で仕方なかったと思う」

亮太はこの言葉がなかったら大人になっても後悔でずっと前を向けなかったかもしれない。死者は何も語れないが、亮太は初めて『許された』気持ちになったのではないか。高橋は強く気持ちを吐き出す芝居がよくハマる。筆者的にはこのドラマで一番のシーン。

■別れを切り出される深雪



いつの間にか定期預金を解約していたことを知り、インスタ映えなど虚栄心を満たすために散財してるのでは? と深雪を責める真一郎(野間口徹)。しかし、夫のみならず子どもにまで裏切られたと思い込む深雪はもう限界を迎えており、「私はずっと後悔の連続」「私の人生は一体どこにあるのよ」と気持ちを吐き出すが、真一郎は「君一人に子育てをさせてしまったツケだな。済まない」と謝りつつも、離婚しようと告げる。

争いを避けようとする彼らしい選択だが、今までと違い深雪の根底にある弱さを知った我々には、キレる深雪に、真一郎には届いていない彼女なりのSOSに感じる。子どもも引き取ると言われ、「魔法の架け橋」を奪われた深雪のこの先が心配だ。

■それぞれの「理由」



今回、深雪やちひろの他にも、我々が初めて知る「理由」があった。

子どもが1歳になったら仕事復帰したいという大器(松山ケンイチ)の妹・琴音(伊藤沙莉)と母親・聡子(高畑淳子)の対立。当初、早急な仕事復帰に反対してした聡子だが、「好きな仕事に汗水垂らして働いてるお母さんとお父さん見て育ったから、そんな姿を私も真奈(娘)に見せたい」という琴音の気持ちを知り、涙する。

また奈々の上司・倉持(寿大聡)は奈々の不妊治療告白以後、やけに強く理解を示していたが、実は倉持にも7年間ずっと治療をして、やっと子を授かったという過去が。それゆえ「文句を言うとこっちが悪者みたくなる」と奈々への陰口をたたく他の部下に対し、「想像力が足りない」「人生には他人の協力がないとできないことがある」と理解を求める。

それぞれ人には表面上ではわからない過去や背景がある。そんな当たり前のことに気付かせてくれ、他人に対する態度が短絡的な感情によるものではないか? と見ている我々にも自問させてくれる回だった。

聡子は「自分と違う立場の人や違う事情を抱えた人のことも理解して思いやることができたら理想的だけど、実際はその立場になってみたり事情を聞いてみないとわからないことだらけ」と語っていたが、これが今回の主題だろう。

厚生労働省とタイアップしてるだけに教訓めいたことをスローガンのように語ったり、言いたいことを言葉のみでつらつら語らせるシーンがときおり見られるのだが(言ってる内容は実に正論)、高畑が絡むと、演技が上手すぎて、その違和感がまったく気にならなくなるのが凄い。

伊藤沙莉との親子ゲンカのシーンは毎回達者同士で見応えあるし、正直あまり上手い方ではない深田も高畑と絡むと見事に引っ張られているように見える。細かいが「二度見」の上手さなどは志村けんレベルだし、しつこいようだが高畑敦子、凄い。

■奈々が妊娠! だが……



排卵を誘発する注射を自分で打ったり、一人で採卵の処置を受ける奈々の不安な様子も丁寧に描かれた。いよいよ体外受精、そしてついに妊娠。ここまで大器と苦労した回想が流れる。

しかし、もちろん妊娠して終わりではないし、まだまだ不安定だ。この結末をどうもっていくのか。安易かもしれないが、無事出産してほしいと思う。しかし、実際悩んでいる人々は、あまりにご都合主義では冷めてしまう。もちろんその後の子育ても大変だし苦労は続く。

残り2回。それぞれが腹を割り出してから面白さが加速している。次回が待ちきれない。
(文=柿田太郎)

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