奈良ってそんなに魅力的なの? 大宮エリーが語る神秘体験に驚き、僧侶たちの声明に心揺さぶられた一夜

OVO

2018/3/9 16:40


 奈良といえば、あなたは何を思い浮かべる? 大仏で知られる東大寺、鹿で知られる春日大社、鑑真が建立した唐招提寺、蘇我馬子の墓といわれる石舞台古墳などなど、有名な寺社仏閣や史跡には事欠かない奈良。ぼんやり旅行しても楽しい場所ではあるけれど、知っておくとより楽しめる奈良の魅力を、作家・演出家・画家として知られる大宮エリーさんが語るイベントが2月28日、東京・銀座で開催された。近鉄グループホールディングスが主催したそのイベント「奈良大和路を識(し)る~大宮エリーの神秘の旅 奥大和 大和國 長谷寺~」では、大宮エリーさんの興味深いエピソードを交えたトークに加え、長谷寺の僧侶たちによる声明(しょうみょう)も披露され、参加した人には貴重な一夜となった。

大宮さんが最初に語り始めたのは、縁あって奈良・大神(おおみわ)神社に行くことになったときの不思議な体験から。

ーー大神神社での不思議なできごと
 大神神社は、天照大御神が伊勢に行く前に滞在したといわれるほど由緒のある場所で、パワースポットとしても知られる。姓の「大宮」と「大神」は関係があるのではないかと主張する知人に勧められ、釈然としないながらも大神神社へ向かった大宮さん。参拝を終えてぶらぶらしていると、なんと神社の方から「実は神社ではなく、山がご神体なのです」と言われてしまう。それを聞いてすぐさま山登りを開始。頂上に着き、一息つこうと石に座ったところ、うとうとしてしまった大宮さん。

ふと目がさめると、後ろから突然声をかけられた。「ここの石は全てご神体なんだ。君が座っているのもね」と話す作業着姿のおじいさん。大宮さんが驚いて平謝りすると、「神域の中に入って大きな石に触ってきなさい。ここで見ててあげるから」と勧められる。大宮さんは「くぐった瞬間に捕まってしまうのでは・・・?」と思いつつも恐る恐る神域に入り、石の周りをぐるりと一周。だが、戻ったらもう、おじいさんはいなくなっていた。大宮さんは怖くなり、急いで山を下り三輪そうめんのお店に駆け込んだそうだ。

その時の体験を、神社本庁総長との対談の際に話したところ、「それは神様ですね」と断言されたそうだ。確かに、古今東西の民話で神様が動物に姿を変えて現れるという話は多いけれど、「作業着のおじいさんとして現れるの?」と大宮さんは半信半疑の様子。とはいえ大宮さんはこれをきっかけに、奈良に引かれていったのだそうだ。

ーー奈良のおおらかさ
 その後、仕事でも奈良に行くことが増えた大宮さん。平城京に行った際、城の跡地に立ち「ここは城のどの辺りなのですか」と聞くと、「そこは帝のお座りになった玉座の場所です」と案内人。大宮さんは「京都ならそんな場所にはロープでも張っていると思うけど、奈良はおおらかなんだな・・・!」と驚いたのだそうだ。それから「奈良の大仏」のある東大寺へ。「奈良の大仏の柱の穴を通ると無病息災の御利益がある」という都市伝説があり、たまに無理やり通ろうとする人もいるのだが、そこに特に警備の人を配置している様子もなく、「大丈夫なのかな・・・?」と心配になった大宮さん。こういう場面にも、奈良のおおらかさを感じたのだそう。

ーー天川の魅力
 またある時は、星空や温泉などで有名な天川村へ。その中に位置する天河大弁財天社は、芸能の神様を祀っていることでも知られる。同社に収められている「五十鈴(いすず)」は、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が岩屋戸の前で舞った際に使った鈴と同様のものであるといい、そのご利益にあやかりたい芸能関係者が多く訪れるのだそうだ。大宮さんが同社を訪れた際には、宮司さんに「天川にはご縁のある人しか来られない」と言われたという。遠さ故にそう言ったのかもしれないが、古来より修験道として栄えてきた天川の歴史の重みを感じさせる言葉だ。

また、天川村は名水百選にも選ばれた「ごろごろ水」でも有名で、名水を使ったさまざまな食事が楽しめる。加えて、「奈良の野菜は土くささが私好み。『風の森』とか『春鹿』とか、日本酒もすごくおいしい。神社の周りには、小皿などを売っている雑貨屋さんもあって、買い物も楽しめます」と、大宮さん。寺社仏閣や史跡だけではない奈良の魅力を語ってくれた。

ーー古典の「聖地」、長谷寺
 長谷寺(桜井市)についての話も面白い。長谷寺は真言宗豊山派の総本山で、平安時代の人気スポットでもあったという由緒あるお寺。源氏物語「玉鬘」の舞台のひとつでもあり、更級日記や蜻蛉日記にも登場するなど、その人気は当時すさまじく、恋愛成就祈願のために何日も滞在する女性が多かったのだそうだ。時代が下ってからも、小林一茶や松尾芭蕉、高浜虚子が歌を詠むなど、文化人に愛され、その人気は今も健在だ。

ーーオペラみたい? 声明を初体験!
 では、その長谷寺の声明(しょうみょう)とはどういったものなのだろうか。筆者は20代で声明は初体験。「一体どんなものかしら…?」と楽しみ半分・不安半分であったのだが、全くの杞憂で、非常に興味深い体験ができた。声明とは、経典にメロディーをつけて唱える法会(ほうえ)のこと。法会と聞いて勝手に静的なイメージを抱いていたのだが、少なくともここ長谷寺の声明「大般若転読会(だいはんにゃてんどくえ)」は、読む・語る・歌うという三種の声明曲で構成され、動的で、起伏に富み、聴衆を飽きさせないものだった。譜面を使い、楽器を使い、僧侶の皆さんが会場をぐるぐる動き回り、大宮さんが「オペラみたい」と話すのも納得の内容である。

この声明では、「西遊記」で知られる玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が漢訳した「大般若波羅蜜多経(だいはんにゃはらみたきょう)」を転読。転読とは、経題・役号・品号といった経典の最初の部分のみを唱え、あとは経本を高く掲げて繰り広げることで一巻を読誦したことに代えること。転読はそれを聴く人にもさまざまなご利益をもたらし、経典をぱらぱらとめくる時に起こる「転読の風」は人々に幸せをもたらすという。

写真では音や動きが伝わらないのが残念だが、転読の際の経典のめくれる勢い、僧侶たちの経題を唱える大音声は、まさに圧巻だ。筆者も突然の大音声にびっくりしたのだが、長谷寺の方いわく、この驚きが各人の心の中の仏を呼び覚ますのだそうだ。僧侶たちと近い最前列が大人気で、この日のイベントでは最前列はもとより、一階席はほぼ満席、二階席も目一杯の人が押し寄せる盛況ぶり。また、今回は観客側に本尊が置いてあったため、通常はご本尊の方を向いて行われる法会が、観客の方を向いて行われるという貴重な体験ができた。

ーー長谷寺の本尊が公開
 長い歴史を持ち、躍動感あふれる声明も体験できる長谷寺。現在、ご本尊の大画軸「十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)」が5月31日まで公開中だ。日本最大の軸全長16メートル46センチ6ミリ、奈良県指定文化財でもある大画軸は迫力満点である。また、公開期間中のみ同画軸デザインの御朱印を頂けるので、御朱印集めが好きな人には見逃せない機会だ。
 古典にもたびたび登場するまさに「聖地」。同寺が気になった人は、この機会に一度巡礼してみても良いだろう。

ーー終わりに
 奈良の歴史、神秘性、そしてそれらを包み込むおおらかさ・・・、ここで紹介したのは奈良のほんの一部にすぎない。気になった人は奈良に行って、その魅力を体験してみよう。もしかしたら、あなたも不思議な体験ができる・・・かも。

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