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公益財団法人化に向けて、新たなステージを目指す関西フィル! ~手塚裕之楽団長に聞く~

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個性溢れる指揮者3人を擁する大阪4大オーケストラの一つ、関西フィルハーモニー管弦楽団は現在、公益財団法人化に向けた準備の最終段階を迎えている。

認定NPO法人として行政の力に頼ることなく、演奏会の来場者や個人会員、法人会員(後援会企業)そして協賛企業の応援で、1970年の楽団創立からここまでやって来た関西フィル。楽団長として奏者、音楽スタッフ、事務局員を取りまとめている手塚裕之に、楽団の現状、今シーズンの自主公演の狙いや聴きどころについて尋ねた。
3人の指揮者陣が、魅力あふれる音楽を届けてくれる (C)s.yamamoto
3人の指揮者陣が、魅力あふれる音楽を届けてくれる (C)s.yamamoto

--今年のシーズンプログラムには、1月から来年の3月まで15ヵ月で12公演のプログラムが載っています。これは公益財団法人化に伴う事業年度変更に対応するためですか?

はいそうです。公益財団法人になると、従来の1月~12月から、4月~3月に年度が変わります。1月半ばで締め切りましたが、今回の定期会員の募集は、いつもより2公演多い全12公演聴けて料金据え置きと大変お得だったのです(笑)。

--関西フィルがここに来て公益財団法人化を目指す狙いは何でしょう。

税制優遇措置の充実を図る事と、社会的信用力の強化ですね。関西フィルが今以上に上を目指すためには避けて通れない道だと考えています。

--外から見ている関西フィルの印象は、定期演奏会をはじめ自主公演全般に集客は申し分なく、テレビの音楽番組「エンター・ザ・ミュージック」で知名度も確実に上がっているように見えます。経営的にも公益財団法人化を目指されるくらいなので悪くないと思われますし、楽団運営は順調に行っているという事ですね。

いえいえ、内情は大変厳しいです。みんなの頑張りに報いるためには、本当ならもっと待遇面の改善も図りたいですし。そんな中にあっても楽団員一同、お客さまに音楽の力で豊かな心と感動をお届けしようと、感謝の気持ちを忘れずに活動しています。
楽団員のソフトな雰囲気も関西フィルの魅力 (C)s.yamamoto
楽団員のソフトな雰囲気も関西フィルの魅力 (C)s.yamamoto

--楽団内での課題としては、公益化以外何がありますか?

2020年に楽団創立50周年を迎えます。2015年に楽団初の欧州遠征を実施しましたが、これがその後の演奏活動においてメンバーのモチベーションに繋がっています。音楽監督のデュメイ氏は、ぜひ2度目の欧州遠征をやろう!と言ってくれています。その事も含め、50周年を節目として楽団がさらなる飛躍を図るきっかけとなるような事を考えているところです。先ずはこの6月に「“がんばれ!関西フィル”コンサートⅢ 三大テノールをむかえて」を開催します。

--関西フィルといえば充実した指揮者陣を擁している事が他のオーケストラとの差別化になっています。定期演奏会のラインナップを見ていると、そのあたりの強みを十分に生かしたプログラムを作っておられるように思います。
就任8年目のシーズンを迎えるデュメイ音楽監督と関西フィル (C)s.yamamoto
就任8年目のシーズンを迎えるデュメイ音楽監督と関西フィル (C)s.yamamoto

デュメイ監督とは8年目のシーズンです。初めて指揮をして頂いてから既に11年が経っていますが、楽団員との刺激的なリハーサルは何も変わっていません。まだまだデュメイ監督から学ぶべき点は多いように感じます。全11回の定期演奏会のうち、監督には3回指揮していただきます。古典派、ロマン派を中心にしたプログラムですが、ムソルグスキー「展覧会の絵」のような煌びやかな曲は少々意外に思われるかもしれませんね。絢爛豪華なロシア音楽、まさに土着の音楽を、デュメイ監督がどのようなスピリットで指揮するか、ぜひ注目していただきたいです。監督はこれまでにも、聴きなれた「田園」や「運命」、チャイコフスキー交響曲第5番なんかを「おっ、そう来るか!」というふうに変貌させて来ました。
デュメイのヴァイオリンが当たり前に聴ける贅沢と言ったら… (C)s.yamamoto
デュメイのヴァイオリンが当たり前に聴ける贅沢と言ったら… (C)s.yamamoto

今回定期演奏会での弾き振りは予定されていませんが、4月の第291回定期演奏会では、ソリストとしてコルンゴルトのコンチェルトを演奏して頂きます。このところ他のオーケストラでも演奏される機会の多い曲ですが、きっと満足して頂けるはず。素晴らしい色彩感があるデュメイ監督のヴァイオリンが奏でるコルンゴルト、天下一品だと思いますよ。

--首席指揮者の藤岡さんはシベリウスの交響曲第1番とヴェルディの「レクイエム」を取り上げられます。シベリウスのツィクルスが終わるのは淋しい気もしますが、最後に第1番…。東京サントリーホールの圧倒的な名演を思い出します。
テレビで人気は全国区。関西随一の集客力を誇る藤岡幸夫 (C)s.yamamoto
テレビで人気は全国区。関西随一の集客力を誇る藤岡幸夫 (C)s.yamamoto

評判が良かったようですね。私は聴いていなかったのですが、そう言って頂けると嬉しいです。この定期演奏会では、大島ミチルさんの「クラリネットとマリンバのための二重協奏曲」の世界初演も聴き逃せません。邦人作品の紹介を積極的にされている藤岡さんならではのプログラムです。
日本でも人気絶大、リチャード&ミカ・ストルツマン (C)LISA MARIE MAZZUCCO
日本でも人気絶大、リチャード&ミカ・ストルツマン (C)LISA MARIE MAZZUCCO

このために、ストルツマン夫妻がやって来てくださいます。そして翌月にはヴェルディの「レクイエム」。藤岡さんがこの曲を初めて指揮されたのも関西フィルでした。相当思い入れのある曲のようです。壮大なこの曲の持つインパクトの強さと繊細さ、そこに藤岡さんの強い熱情が相俟った、凄い演奏になると思います。充実のソリスト、そして関西フィルハーモニー合唱団にもご期待ください。

--すっかり巨匠としての風格を感じる飯守泰次郎さん。2回の定期演奏会は共にブルックナー。人気のある交響曲からではなく、第1番から順にやって来られた連続演奏会もいよいよ大詰め。交響曲第8番と第9番ですね。
巨匠の貫禄十分、桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎 (C)s.yamamoto
巨匠の貫禄十分、桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎 (C)s.yamamoto

はい。ブルックナーに関してはたいへん耳の肥えたお客様が多い大阪ですが、桂冠名誉指揮者の飯守泰次郎氏のブルックナーも評判は良いですよ。ブルックナーに限りませんが、飯守さんから楽団員への要望はとても厳しく高いものですが、楽団員は大きな共感を持って必死にそれに応えようと努力します。このようなリハーサルの雰囲気は確実に本番のステージに現れます。飯守さんと関西フィルの作り出す集中力溢れる音楽にご期待ください。

実はブルックナーのツィクルスは第9番で終わりではなく、次のシーズンには第0番を演奏して幕を閉じます。2019年に第9番、2020年には第0番と洒落も効いていて、飯守さんらしいです。飯守さんには今年のベートーヴェンの「第九」も指揮していただきます。

--全11回の定期演奏会を、デュメイ氏が3回、藤岡氏が2回、飯守氏が2回。残り4回を指揮するのは全員外国の指揮者なんですね。

はい、先日2月の第289回定期演奏会で指揮していただいた名匠クリストは、皆さまお馴染みだと思いますが、あとの3人は初登場です。それぞれ話題のソリストが花を添えます。
若き実力者、アドリアン・プラバーヴァ (C)Gerd Salhoff
若き実力者、アドリアン・プラバーヴァ (C)Gerd Salhoff

第291回定期演奏会を指揮するアドリアン・プラバーヴァにはデュメイ監督が。第296回定期演奏会の指揮者アンドレイ・フェーヘルには関西フィルファンにはすっかりお馴染みのチェリスト北村陽さん。
関西フィルファンの間ではすっかりおなじみ、チェロの北村陽
関西フィルファンの間ではすっかりおなじみ、チェロの北村陽

そして第298回定期演奏会の指揮者ヤニフ・セガルにはベルリンフィルの首席トランペット奏者ガボール・タルケヴィが登場します。
ベルリンフィルの首席トランペット奏者、ガボール・タルケヴィ
ベルリンフィルの首席トランペット奏者、ガボール・タルケヴィ

若い音楽家との共演では、はっとするような想定外の音楽の魅力に出会うことが多々あります。このような楽団員の精神的変化は本当にオーケストラの音色を変えますからね。こういった新たな出会いも、定期演奏会の楽しみの一つです。

--定期演奏会以外の自主公演では、年2回の「Meet the Classic」と年3回の「いずみホールシリーズ」の会場となるいずみホールが4月から半年間、改装のためにクローズされます。その間はどうされるのでしょう。

「Meet the Classic」は毎年1月と8月に開催するのですが、8月は新しく梅田に出来た常翔ホールで行います。「いずみホールシリーズ」としては、5月に豊中市立文化芸術センター大ホール、9月に兵庫県立芸術文化センター大ホールで、それぞれ「特別演奏会」として開催します。8年続いた奈良での演奏会はいったんお休みとし、大阪狭山市のSAYAKAホールで演奏会を行います。関西には素晴らしいホールがたくさんあります。他にも大阪市中央公会堂、フェニックスホール、文化パルク城陽、京都コンサートホール小ホールなど、大小さまざまなホールで色々な編成の音楽を聴いていただく機会を設けているのも、関西フィルならではだと思います。

--最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

デュメイ音楽監督は2018年度プログラムについて「お馴染みの曲を演奏することは興行的に意味はあるが、リスクを冒してでも新しいプログラム、つまり、楽団が集客のためにやりたい曲や演奏者が好きな曲ではなく、お客さまに好きになっていただける曲を選曲したい。」と述べました。硬軟自在なプログラムと、デュメイ音楽監督、藤岡首席指揮者、飯守桂冠名誉指揮者の3指揮者による円熟の演奏、そして将来有望な若手来日ゲスト指揮者による、クラシック音楽の新たな発見がお楽しみいただけると思います。どうぞご期待ください。
私達の演奏会にお越しください。お待ちしています! (C)飯島隆
私達の演奏会にお越しください。お待ちしています! (C)飯島隆

取材・文=磯島浩彰

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