マンガはれっきとした「本」であると認めよう


マンガは、思考を刺激し、境界を打ち破り、複雑な感情を描き出すなど、読み手に与えられるものは絵のない本と変わりません。『Anya’s Ghost』や『Invisible Emmie』、『A Wrinkle in Time: The Graphic Novel』などのマンガをむさぼるように読んだ経験のある子どもなら誰でも、すでにこのことを知っているでしょう。

けれど、それだけでは納得しない親もいます。マンガは「本物の」文学ではないといった考えが今も根強いのです。でも、マンガはそれよりはるかに大きな存在になりえます。もしもまだ触れたことがないのなら、すべての子どもたちが広大なマンガの世界を探検すべき理由を、これからご説明しましょう。

幅広いテーマを網羅している


マンガはスーパーヒーローだけを扱っているわけではありません。SFやファンタジー、古典、ロマンスなど、さまざまなジャンルで、子どもやヤングアダルト向けのすばらしいグラフィックノベル(長編マンガ)を見つけることができます。最近では、ノンフィクション分野のグラフィックノベルもたくさん出版されていて、子どもたちは量子論から、クィア(セクシャルマイノリティ)思想やLGBTQ+運動の歴史ニーチェの哲学に至るまで、さまざまな題材を読むことができるようになりました。

絵と言葉を組み合わせたストーリーは子どもの記憶に効果的


人間は視覚に頼る生き物です。大脳皮質の50%以上が、視覚情報を処理するのに使用されています。ですから、絵で物語を伝えると、子どもたちはその内容を記憶しやすくなりますある研究によると、睡眠の原理について説明している7ページのマンガを読んだ学生のほうが、同じ内容を文章だけで説明しているものを読んだ学生よりも、本の内容をよく覚えていました。

言葉と絵の関係が美しく複雑


2008年の作品『American Born Chinese』がグラフィックノベルで初めて全米図書賞にノミネートされたGene Luen Yang氏は、Webサイト「Big Think」の動画記事で、マンガの進化について語っています。

Yang氏によると、黎明期のマンガは、いたってシンプルなものでした。絵は主に、言葉がすでに伝えている内容を表すものにすぎなかったのです。「たとえば、『スーパーマンがレックス・ルーサーにパンチを浴びせる』という説明があるとします。その説明には、スーパーマンがレックス・ルーサーを殴っている絵が添えられているのです」と、Yang氏は説明しています。

現在、マンガの言葉と絵の関係は、それ自体が1つの芸術です。ある一節では文章がもっとも重要なメッセージを伝え、次の一節ではイラストがその役割を担っている、といったように。あるいは、言葉と絵が互いに矛盾していて、どちらが本当なのか読者が判断しなくてはいけないこともあるでしょう。コマとコマを区切る空白部分を利用して、読者を立ち止まらせ、そこまでに読んだ内容をじっくり考えるように仕向けることもできます。それらすべてが入念に構成された魅惑的なダンスになっていて、そのダンスは分析しがいのあるものです。

多様性についてのメッセージが込められている


親や教師はふつう、『Maus』(マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語[邦訳:晶文社])や『Fun Home』(ファン・ホーム ある家族の悲喜劇[邦訳:小学館集英社プロダクション])、『American Born Chinese』といった文学性のある名作マンガを問題視することはありませんが、ハーバード教育学大学院のJabari Sellars氏は、子どもたちに昔ながらのスーパーヒーローについても学んでほしいと思っています。スーパーヒーローは、「他者」であることについて多くのことを教えてくれるとの考えからです。

Sellars氏は、ハーバード大学のサイト「Usable Knowledge」に投稿した記事で、『X-メン』シリーズのマンガ作品――Chris Claremontの『X-Men: God Loves, Man Kills』、Joss Whedonの『Astonishing X-Men』(アストニッシングX‐MEN[邦訳:ヴィレッジブックス])、Mark Millarの『Ultimate X-Men』――を教材に授業を行ったことを書いています。授業の冒頭で、Sellars氏は学生に問いかけます。「ミュータント」とは何か、そして、われわれの社会でミュータントと考えられるのは誰だろうかと。Sellars氏の手助けにより、学生たちは次のような驚くべき関連性を見出していきます。

学生たちは、『X-メン』が抑圧的な社会における非主流派――非白人、非男性、非キリスト教徒、非異性愛者――の経験を寓意した作品であることを理解しはじめます。『X-メン』の登場人物と筋書きを掘り下げることで、学生たちはすぐさま現代や過去との類似点に気づくのです

学生たちは、「チャールズ・エグゼビア」と「マグニート」という登場人物の中に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアとマルコムXの社会政治的イデオロギーを見出します。現実世界のストップ・アンド・フリスク(警察官が通行人を呼び止め所持品などを検査する行為)と、マンガに描かれる「反ミュータント」活動との関連性に気づくのです。短気な「クイックシルバー」の気分が変わりやすいのも、単純なところのあるヒーロー「サイクロップス」が状況を深く見通す能力に欠けるのも、けっして偶然ではないことを理解するようになります。

またマンガ業界は、実際に多様性にあふれた分野のようです――マンガ情報ブログThe Beatが2017年のグラフィックノベルの売上トップ20を報じましたが、そのうち17作品の制作チームに女性、アジア系、アフリカ系米国人のメンバーが含まれていました。

ストーリーテリングは変化している


ストーリーテリングはジャンルを問いません。今の子どもたちは、8万語の本からでも、80字のツイートからでも、何かを考えることができるはずです。そして、さまざまな方法で語られる、あらゆる種類の物語を理解するはずです。子どもたちが夢中になる物語こそが、子どもたちにとって最良の物語なのです。

Image: plantic/Shutterstock.com

Source: Amazon(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7), Taylor Francis Online, Big Think, Harvard University, The Beat

Michelle Woo - Lifehacker US[原文

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