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入居者募集中。死なないための家・三鷹天命反転住宅を内見してみた

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ライフハッカー[日本版]新生活特集では、これまでにも引っ越しにまつわるテクニックやアイデア・アイテムを紹介。「自分にとってなにが必要で、なにがいらないものなのか」、部屋探しは自分自身を見つめ直す良い機会、そして部屋は自分を映す鏡だということを学びました。世の中的には「大切」だとされているものでも、自分には当てはまらない場合もあります。

利便性、周囲の環境、部屋のグレード。あなたが部屋選びで一番重要視しているものは何でしょうか? いろいろな物件を見たけれど、いまいちどれもピンとこなかった…なんて人は、自分が一番大切にしたいと思っているものが実は意外なところにあるのかもしれません。

たとえば、こんな部屋ならどうでしょう?

JR中央線武蔵境駅からバスで8分、3LDK

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Image: Ryuichiro Suzuki

JR中央線武蔵境駅からバスで8分。住宅地のなか、その鮮やかなカラーリングがひときわ目をひく「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」は、美術家で建築家である荒川修作+マドリン・ギンズ設計の集合住宅。住宅街といっても大学が近いこともあり、コンビニや商業施設が多くあって利便性は高そうです。

2005年に完成してから常に賑わってきたこの物件。これまでの入居者には、スマートニュース創業者の鈴木健さん、独立研究者の森田真生さん、映画監督の山岡信貴さん、そのほかミュージシャン、建築家など各界で活躍する人たちが名前を連ねます。この建物には部屋ごとに内外装ともにカラーリングが全く違う9戸あり、現在は2部屋で入居者を募集しています。
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Image: Ryuichiro Suzuki
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Image: Ryuichiro Suzuki

現在空室のルームNo. 301、103。スペックはそれぞれ以下の通り。

バイオ・トポロジカルの部屋

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Image: Ryuichiro Suzuki
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Image: 三鷹反転住宅

3Fの「バイオ・トポロジカルの部屋」は、最上階ということもあり日当たり良好。天井がほかのフロアの部屋より高く開放感があります。

気配コーディネーティングの部屋

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Image: Ryuichiro Suzuki
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Image: 三鷹反転住宅

1Fの「気配コーディネーティングの部屋」。専有面積は「バイオ・トポロジカルの部屋」とあまり変わりませんが、こちらは天井が低い分よりコンパクトに要素が密集しているような印象を受けました。天井の色が違うだけでも、部屋の表情がかなり違います。

天命反転住宅に住むということ

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晩年の荒川+ギンズ両氏による美術館構想を語る松田さん
Image: Ryuichiro Suzuki

現代美術の巨匠マルセル・デュシャンに出会い、彼によって精神領域がすでに体現されていると知ったことでフィジカルを強く意識したという荒川+ギンズのふたり。「養老天命反転地」など彼のほかの建造物と同じく、この住宅でも「身体性」が強く打ち出されているのだそう。「三鷹天命反転住宅」支配人の松田剛佳さんに、この家のコンセプトを伺いました。

この家は、シンプルにいうなら「身体を中心に設計された家」。我々が持っているこの身体を中心に環境をつくってみようというのが、大きなコンセプトです。名前の通り、ヘレン・ケラーに捧げられて、彼女が住むとしたらどんな部屋だろうというのもテーマのひとつになっています。

この家は、日常のなかで私たちが当たり前だと思っている知覚や感覚が、実は身体と環境の関係性でたやすく変わっていくということを教えてくれます。

与えられた環境や身体的な条件をすこし疑ってみるだけで、今まで不可能と思われていたことが可能になるかもしれない。 本能や五感を研ぎ澄まして、天から授かった命、すなわち天命を反転させるのが目的の「死なないための家」なんです。

「死なないための家」の住み心地は?

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Image: Ryuichiro Suzuki

本能や五感で天命を反転させる…。わかったような、わからないような。「身体を中心に設計された家」とは、具体的にいうと? 一見、ランダムなようにも思えるこの建物の設計ですが、実は、あらゆるところに知覚にまつわる仕掛けが散りばめられています。

たとえば、この家に入って一番初めに目に飛び込んでくるのは、その印象的な造形カラーリング。この中で暮らすとなると色がたくさんで落ち着かないんじゃないか、と思う人も多そうですが、入ってみると、意外と景観として馴染むような…。この感覚は、荒川+ギンズによる認知科学的な理論に基づくものだと松田さんは言います。
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Image: Ryuichiro Suzuki

「三鷹天命反転住宅」の内外装に施されている色の種類は、全部で14色。一見無秩序で、ともすれば暴力的な印象を受ける人もいるかもしれませんが、実は、部屋のどこから見ても一度に6色以上視界に入るように計算されてカラーリングされています。

その理由は、人は一度に6色以上の見ると、視覚が色彩をそれぞれ単体としてではなく環境として認識するからだと荒川+ギンズは言います。それは、自然の場所に身を置いた時の認識に近いもので、果樹園農家の方が見学にいらっしゃった際には「うちの畑みたい」という言葉をいただきました(笑)。

以前の取材では、床が水平でないと、平衡感覚に影響して、めまいや吐き気など車酔いに近い症状を引き起こすと学びました。傾きをチェックするためにビー玉やゴルフボールなどの球を転がせばいいとよく言われますが、この部屋で球を転がしてもあまり意味はなさそう…。この床が原因で、酔ったり気持ち悪くなったりすることはないのでしょうか?

諸説ありますが、人は床や梁の平行ではなく、柱や壁の垂直部分で視覚的に平衡を認識すると言われています。ですので、この部屋に入って酔うという印象はあまりないのではないでしょうか。

リビング部分の端と端に立ってみればわかるのですが、同じ部屋の中でも天井の高さは一定ではありません。今まで最長7年間その事実に気づかなかったという人もいます。

実際は自分の視覚には入っているけれど見てないんですね。でも、なんとなく不思議だという感覚はある。そういう風にして自分たちがこぼれ落ちている感覚みたいなものを総動員して、環境側からどんどん身体を変えていこうというのがこの住宅です。
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Image: Ryuichiro Suzuki

天井だけではなく、特徴的に波打った床にも作り手の意図があるようです。

このでこぼこの床にはちょっとした仕掛けがあるんです。試しに部屋の中を少し歩いて回ってみてください。

そう言われて、部屋のなかをぐるっと一周することに。実際に歩いてみると、でっぱった部分を足踏まずで踏む感覚がおもしろくて凸の部分を飛び石のように渡り歩いていることに気がつきました。
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Image: Ryuichiro Suzuki

いま踏んでいるでっぱりの部分の大きさが2種類あることに気がつきましたか? 子どもは小さいでっぱりを、大人は大きいでっぱりを無意識のうちに踏むんです。

このように、言葉でガイドしなくても、この部屋の使い方を身体が先に知っているんです。先ほど、身体を中心に設計されていると言いましたが、言い方を変えると、家や環境が、身体の使い方や可能性を切り開いていくんです。

環境から変化していく身体


視覚に触覚。身体を意識させられるような仕掛けは、これだけに留まりません。
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Image: Ryuichiro Suzuki

この球体はスタディルームと名付けられていますが、リビングとしてテレビをおいて寛ぐ人もいれば、瞑想するための場所にする人も。ネーミングによって用途を限定している訳ではありません。

声を出してみればわかりますが、自分のいる場所によって声の反響の仕方が変わるんですよ。この部屋も、身体と環境の関係性が変わることで、思いもよらなかった感覚に出会えるということを伝えています。
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Image: Ryuichiro Suzuki

たしかに、こちらの部屋では自分の声が場所によって違った風に反響するのが面白くて、いろんなやり方で声を出して確かめたくなります。聴覚の違和感が体が動かしていると言えるでしょう。
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Image: Ryuichiro Suzuki
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Image: Ryuichiro Suzuki

天命反転住宅に暮らしてみたら?


「身体を中心とした家」というコンセプトはよくわかりましたが、気になるのが実際の住み心地です。以前、内見時のにその部屋での生活動線や、実際に暮らしているところを想像してみるのが、引っ越しで失敗しないためのポイントだと学びました。荒川+ギンズ氏が「この作品は、人が住んで初めて完成する」という「三鷹天命反転住宅」での暮らしを想像してみるべく、事務所として使っている一室も見せてもらいました。
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Image: Ryuichiro Suzuki

雑貨やキッチン用品、生活の跡があるだけで、そこでの暮らしが一気に想像しやすくなります。
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Image: Ryuichiro Suzuki

他の部屋の内見で収納が多めなのには気がついていましたが、その他にも天井のフックやキッチン周り、フロアの作り付け棚でかなり工夫が出来そうです。
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Image: Ryuichiro Suzuki

天井に無数についているフックは装飾の一部と思いきや、かなり実用性がありそうです。1つのフックにつき、約100kgのの耐久性があるので、複数のフックを使えば、普通の賃貸物件では難しいハンモックハギングチェアブランコ吊るすタイプの収納も実現できます。
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Image: Ryuichiro Suzuki
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Image: Ryuichiro Suzuki
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Image: Ryuichiro Suzuki

できれば事前に聞いておきたいと学んだのが、住居人たちの属性や生活リズムのこと。歴代の住人たちのお話は先ほど伺いましたが、近所付き合いについてはいかがでしょう?

人付き合いは人それぞれなので、もちろん強制ではありませんが、ここで生まれた「天命反転住宅ネイティブ」な子どもに天命反転住宅グッズのロゴをデザインしてもらったり、毎年、忘年会を開催したりしています。管理人としては、何か住人の方にトラブルがあった際にはできる限りの対応をさせてもらえればという思いから住宅内に事務所を設けています。

竣工10周年の際には、当時お住まいの方の許可を得て全部屋を解放してのイベントを行ったそう。当日はあいにくの雨だったにもかかわらず、見学に訪れる人の列が絶えなかったと言います。また、住人たちのやりとりから仕事が生まれるなんてことも少なくないそうです。
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Image: Ryuichiro Suzuki

ある種のチャレンジだとは思いますが、ぜひ楽しんで住んでいただければと思っています。

と松田さん。必要としているものは、日常を疑うことなのか、身体性の強い実感なのか、コミュニティか。いまの自分にとって足りないものがこの部屋で満たされるという人がいるかもしれません。

長期の滞在が難しい人には、4日間から体験できるショートステイプログラムもあるので、一度体験してみてはいかがでしょう?

Photo: 鈴木竜一朗

Source: 三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller

Reversible Destiny Lofts Mitaka – In Memory of Helen Keller, created in 2005 by Arakawa and Madeline Gins, (C) 2005 Estate of Madeline Gins.

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