なぜ、「日本のテクノロジー×スペインのデザイン」は勝利の方程式なのか?(前篇)

TABILABO

2018/3/8 19:00


私は今、スペインのマドリードにあるErretresという戦略デザインコンサルで「Japanese Technology Meets Spanish Design」というプロジェクトを行なっています。

なぜか?

日本のテクノロジーとスペインのデザインを掛け合わせることで、新しいシナジー効果が生まれるからです。

日本企業は、モノづくりという形ある物の価値を創ることを得意としています。例えば、トヨタ、日産、ソニー、パナソニック、アシックス、TOTOなど、世界的な日本企業はどれも製造業です。

しかし、日本企業は一般的にブランディング、マーケティング、コミュニケーションといった無形の価値創りに課題を抱えています。

一方スペインは、ファッション、アート、観光、ガストロノミー、スポーツ、教育といった無形の価値創りが得意。

ソフィア王妃芸術センター、プラド美術館、グッゲンハイム美術館は、世界を代表する美術館。LOEWEやZARA、CAMPERいったファッションブランド。IE Business School、IESE、ESADEは世界でもトップクラスのビジネススクール。FCバルセロナやレアル・マドリードは世界トップのスポーツクラブ。El Bulli、Etxebarri、DiverXOは予約を取るのがほぼ不可能なほど人気な世界的レストラン。

このように、お互いの例は枚挙にいとまがありません。


残念なことに、世界での日本企業のプレゼンスは徐々に、そして確実に下がっています。

いま世界を賑わせているのは、欧米企業ばかりです。これまで日本のお家芸であったモノづくりでさえ、Apple、Tesla、GoProなど、海外勢の躍進は目覚しいものがあります。

最近、日本の自動車や家電が海外市場で苦戦しているのも周知の事実です。日本経済は2012年から2015年にかけてGDPが大きく下がり、2000年代前半の水準にまで落ち込みました。これは先進国の中で唯一日本だけです。

こうした国内における深刻なイノベーション不足に対して、日本企業による海外企業買収は2015年から2017年で30兆円を越え、1800社以上の海外企業を買収しています。

しかし、ここで一つ根本的な疑問が浮かび上がります。海外の企業を買収することが根本的な解決策になるのでしょうか?

日本企業は既に世界トップレベルのテクノロジーを持っています。しかし、残念なことにこうした企業の多くが、現代の文脈を踏まえてテクノロジーの価値を世界に発信できていないと思います。

これは、ただ単に日本企業がマーケティングやブランディングが不得意だということではなく、テクノロジーの価値を経済的な価値に最大限変換することが出来ていないためです。

例えば、フェラーリ「458 Italia」と日産「GT-R」はほぼ同等のスペックとパフォーマンス(いくつかのスペックではGT-Rのほうが優れている)にも関わらず、価格ではフェラーリが2倍以上もします。

これは日本のテクノロジーがイタリアより劣っているといった次元の話ではありません。日本企業は無形価値を創り出すことが上手く出来ていないために、テクノロジーの価値を経済的な価値に転化しきれていないのです。

そしてこれは、様々な業界で見られます。どれだけ素晴らしいテクノロジーを持っていても、その価値を経済的な価値に転換出来なければ、海外企業を買収したところで日本のテクノロジーが持つ価値は一向に上がりません。

こうした状況を目の前にした時、「Japanese Technology Meets Spanish Design」のアイデアが湧き出てきました。

日本のテクノロジーとスペインのデザインを融合させることで、前者の価値を最大限に引き出し、経済的な価値に大きく転換させることで日本企業の国際的な競争力を高めるという構想です。

新しい技術も当然大切ですが、その価値を最大限に引き出せなければ同じことの繰り返し。だからこそ、今の日本企業に必要なのは新しい技術だけでなく、その価値を引き出す術だと考えています。

※後篇へ続く──。

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