「わろてんか」128話。劣情を催させる恋愛映画はもってのほか「親孝行」や「忠義」を描けというご時勢

エキレビ!

2018/3/6 08:30

連続テレビ小説「わろてんか」(NHK 総合 月~土 朝8時~、BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~)
第23週「わろてんか隊がゆく」第128回 3月5日(月)放送より。 
脚本:吉田智子 演出:川野秀昭


128話はこんな話
昭和14年(1939年)、12年にはじまった支那事変が続くなか、北村笑店は、芸人たちを戦場へ慰問に出すことにする。

隼也のその後
戦争の時代になって来て、笑いをはじめとした娯楽文化を取り巻く状況に変化がやって来た。
だがまずは、つばき(水上京香)と駆け落ちした隼也(成田凌)の近況から。

川崎で工場づとめをしていて、子ども・藤一郎(当然ながら藤吉から文字を頂いたのだろう)がハイハイできるくらい成長したらしいことが、風太(濱田岳)に無署名で送られてくる手紙でわかるという寸法。
お坊ちゃん育ちの隼也が、妻と子どもを養うために工場勤務で汗を流している(肉体労働)、暮らしぶりはそれほど楽ではないであろうが、それでも笑って生きている・・・と思うと、たくましく成長したんだなあと感慨深い。
隼也だけでなく、つばきもお嬢様育ち。アメリカで何度も見たマーチン・ショウの素晴らしさについて洒落たカフェで語っていたふたりが・・・。現実的に言ったら絶対、愛だけじゃやっていけないと思うけれど、月曜からぼやいている場合ではない。世の中は(ドラマの中の)、戦争の話題でもちきりだ。

国が勧める親孝行や忠義もの
軍の人(佐藤少佐〈佐渡山順久〉)が北村笑店に来て、演芸を通じて民心をまとめるように要請する。
伝統文化の力をもって忠義や親を思う心を尊ぶ日本精神が発揮されるようにと。
昔は、芸人といえばお上に睨まれる存在だったのに、立場が変わったと喜ぶアサリ(前野朋哉)に対して、楓(岡本玲)は、利用されているだけはないかと疑念を抱く。さすが、楓、元ジャーナリスト。
あとで「親孝行は大切ですけど芸人は受けてなんぼ」とも楓は言うのであった。

とにもかくにも「おもろかったらなんでもいい時代やのうなってきたんやな」(風太)。
「聖戦完遂」「挙国一致」「国民精神の総動員」「高座即戦場の心構え」とやたら堅苦しい言葉が出て来た。

恋愛映画や洋画はもってのほか。
少佐が目をつけたのは、笑いの世界だけではない。映画もターゲットだ。
栞(高橋一生)の会社に来て、「劣情を催させる恋愛映画や英米の思想にかぶれた映画はもってのほか」と釘を刺す。
少佐の話にあからさまにそっぽを向いている栞が可笑しい。
そして、少佐の話に合わせて、親孝行や忠義を描く娯楽が流行っていると言う社員・山下(玉置孝匡)の名前が、やけに印象的な「勝利」であることもいつも気になってならない。そして、余計な情報ではあるが、玉置孝匡は、高橋一生と同じ事務所(舞プロモーション)である。

「経営者としては、国や軍の顔を建てるギリギリの選択をしないといけない」ことはわかりながらも、
「恋愛映画まで目の敵にされるような世の中がまともなわけがない」「こういうときこそ、愛や自由を謳った映画をつくるべきなんだよ」とてんにこぼす栞。

愛や自由を大事にしてきた栞と、笑いを大事にしてきたてん。
「わろてんか」のテーマ「ラブ&笑い」はふたりが担っている。
以前レビューで取り上げた、NHKが昔制作した山崎豊子原作の「横堀川」(1966~67年)は、ヒロイン(南田洋子)と彼女の家の奉公人だった男(長門裕之)が成長して、それぞれ寄席と昆布商とジャンルは違えど同じ商売人として同志のように生きていく骨太なドラマで、てんと栞が少しだけ、そのふたりのように見えた。少しだけだが。

と、ここで、わかったことがある。
「わろてんか」で、てんと藤吉、隼也とつばきなどの駆け落ちするような激しい愛が、あまり美化されていないわけは、「劣情を催させる恋愛映画はもってのほか」だからに違いない。

慰問団結成
楓の知り合い毎報新聞の人が来て、共に戦地に慰問団をつくっていこうと誘う。
前線から離れた安全なところばかりというが、戦地は戦地。
北村笑店の宣伝にもなると風太が芸人を連れていくというが、トキは心配でならない。
この慰問団が、サブタイトルになっている「わろてんか隊」。
モチーフになっているのは、吉本興業が朝日新聞の要請に乗って共につくった慰問団「わらわし隊」である。当時の日本軍の航空隊「荒鷲隊」と「笑わしたい」をもじったもので、「わろてんか」は何かと鳥の名前を使っているので、こここそ、そのまま「わら“鷲”隊」なんじゃないかと思うし、このためにも鳥の名前を積み重ねてきた(てんの家にも鳥の置物がたくさん置いてある)んじゃないの? と、ずっこけた。

それはそうと、登場人物がだいぶ老けてきた。
てんは、草笛光子みたいな年齢を経ても若くてきれいでいられそうな顔立ちをしている。
(木俣冬)

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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