森三中・黒沢の“エピソードトーク”がホラーと紙一重! 「中1まで朝食を知らなかった」という告白は星新一ばりだ

日刊サイゾー

2018/2/21 18:00


 笑福亭鶴瓶は、大阪~東京間の新幹線の中でネタになりそうな面白い人を絶えず探しているらしい。『鶴瓶上岡パペポTV』(日本テレビ系)や『きらきらアフロ』(テレビ東京系)でエピソードトークし続けてきた彼が己に課した、芸人としての努力だ。

とはいえ、“鶴瓶話”の中で特に面白いのは、学生時代や下積み時代のエピソードだったりする。

「探そう」と思い発見したものより、日々の生活や環境で身に付いたネタの方が強いのは、当然か。

■「朝ごはんなんて食べてるの!?」と、同級生を軽蔑した黒沢



激レアな体験をした人の実体験話を聞くバラエティ『激レアさんを連れてきた。』(テレビ朝日系)。毎週、さまざまな一般人を「激レアさん」と称して紹介する同番組に、森三中の黒沢かずこが出演した。ゲストとしてではない。「激レアさん」としてである。

今回、彼女が披露した激レア体験は「朝ごはんを中1まで知らずに育った」だ。いきなり、意味がわからない。だからこそ、激レアなのだろうけど。

まず、彼女が育った環境を確認したい。黒沢家は茨城県で食堂喫茶を営んでいる。お店でモーニングを出しているような家庭が、実の娘に朝ごはんを出していなかった事実が衝撃だ。

では、朝に黒沢家はどうしていたのか? 両親はコーヒー1杯、黒沢はスポロン(グリコが発売する幼児向け飲料)1本で済ましていたという。幼き日の黒沢は、お昼の給食と晩ごはんの1日2食で大丈夫だった。

中学に進み、朝練ありのソフトボール部へ入部した黒沢。この頃も、まだ彼女は朝食という概念を知らなかった。当然、お腹は空く。給食までガマンするのは辛い。しかし、思春期の女の子特有の“乙女マインド”により、周囲に「お腹空いた」なんて言えなかった。

「給食までガマンしてたんで、4時間目くらいには机をグッと動かしながら、お腹の鳴る音をごまかしてました」(黒沢)

しかし、ガマンにも限度がある。ついに、同級生のちーちゃんに彼女は打ち明けた。

黒沢 ねえ、ちーちゃん。お腹空かない?

ちーちゃん 朝ごはん食べてきたから空かないよ!

黒沢 アサ……ゴ……ハン?

中学1年になり、初めて「朝ごはん」という言葉を黒沢は耳にした。戸惑いは隠せない。そして彼女、朝にごはんを食べてきたちーちゃんに対し「いやしい人間」「情けない人間」「なんて欲深い人間!」と、軽蔑の感情を抱いてしまう。

「食べ物=性っていうイメージが強いんです。言うなれば、私からしたら性欲むき出しなわけですよ。それで、普通に1時間目から授業を受けてるわけじゃないですか。『朝ごはん食べてきてるのに、必死~!』って(笑)」(黒沢)

“朝食とる派”を見下す黒沢であったが、朝ごはんの概念を知らない黒沢の方がマイノリティなのは当然。ある日、クラスメイトから「朝ごはん、食べてきてないの?」とツッコまれ、クラスじゅうが朝ごはんを知らない黒沢にざわついた。彼女の中で価値観の逆転現象が起こった瞬間だ。

「『朝ごはんなんて食べてるの!?』って、最初は私の方が上に立った人間だったのに、急にざわざわして1人になったような感じで、あの時はすごく怖かったです」(黒沢)

帰宅後、黒沢は母親に直談判する。

黒沢 お母さん、“朝ごはん”っていうのが食べたい!

お母さん バレた(笑)?

■「お笑いとホラーは紙一重」を具体化した思春期を過ごした黒沢



楳図かずおは「追いかけられるとホラーで、それを傍から見ているとギャグになり得る」という表現で、お笑いとホラーは紙一重だと論じた。

創作やフィクションではなく、現実世界における「お笑いとホラーは紙一重」を、今回の黒沢のエピソードトークは具体化している。実の子に「朝ごはん」という存在そのものを教えず、中学入学までその状態のまま育てることに成功した黒沢家。星新一のショートショートのような話だが、あくまでこれは現実のエピソードなのだ。

リアルに体験した、体験せざるを得なかった境遇だからこそ恐ろしい。ネタ探しの末ではなく、ナチュラルに出来上がってしまったエピソードトーク。なんたる破壊力か。

やはり、異常な人間こそネタの宝庫なのだ。
(文=寺西ジャジューカ)

当記事は日刊サイゾーの提供記事です。

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