山崎育三郎、古川雄大らがWキャストで演じる人気ミュージカル『モーツァルト!』製作発表会見レポート

SPICE

2018/2/15 17:15



“音楽の天才”モーツァルトが駆け抜けた歓喜と苦悩の35年の生涯を描いたミュージカル『モーツァルト!』。2002年に初演され、これまで全国で500回以上の上演を重ねてきた人気作が、2018年5月から4年ぶりに再演されることになった。2月15日に東京都内で行われた製作発表会見と囲み取材の様子を写真とともに伝える。
古川雄大
古川雄大

この日は、ヴォルフガング・モーツァルトを演じる山崎育三郎と古川雄大(Wキャスト)、モーツァルトの妻・コンスタンツェを演じる平野綾、生田絵梨花、木下晴香(トリプルキャスト)が出席。会見の冒頭、一般オーディエンス約200名と報道陣の前で、3曲を披露した。
生田絵梨花
生田絵梨花
木下晴香
木下晴香
平野綾と山崎育三郎(左から)
平野綾と山崎育三郎(左から)

古川雄大が「僕こそ音楽」を披露。ヴォルフガングが音楽が好きでたまらない事を歌うナンバーだ。かなりの難曲だが、メリハリよく堂々と歌い上げた。次に、木下晴香と生田絵梨花による「ダンスはやめられない」。それぞれ長めのソロパート、終盤でデュエットするスタイルでの発表。コンスタンツェの心情をボロボロと吐き出していくナンバーで、木下も生田も『モーツァルト!』は初参加だが、それぞれのコンスタンツェ像がすでにあるようだった。最後は、平野綾と山崎育三郎が「愛していれば分かり合える」を歌った。前回すでに共演した二人なので、信頼関係や貫禄は十分。お互いを見つめ合いながら愛を込めて歌い上げた。
山崎育三郎
山崎育三郎

今回3度目となるヴォルフガング役を演じる山崎は、自身が初めてヴォルフガングを演じた2010年を回顧する。「本当に初日の公演がすぐに思い出されます。緊張しすぎて、袖で足が震えてしまいました。スタッフの方に背中を思い切り叩いてもらって舞台に上がったことを思い出しました。本当にこの作品自体がヴォルフガングにしてくれるというか、一歩この舞台に立ったら、最後のシーンまで波に乗っていくというか、そんな気持ちでやった気がします」

そして、「30代に入り、今の自分がどういう風にヴォルフガングと向き合えるかなと今は色々考えています。新しいメンバーも加わり、演出もまた新しく変わるようなので、もう一回役とゼロから向き合って、新しいヴォルフガングに出会いたいなぁと思います」と意気込んだ。
古川雄大
古川雄大

山崎とWキャストとなる古川は、帝劇初主演でもある。「僕はこの作品の存在をずっと知っていたんですが、実際観たのがちょうど前回の山崎育三郎さんの回でした。育三郎さんのパフォーマンスもそうですし、ストーリーも、他の出演者の皆さんにも、ナンバーにも、色々圧倒されました。僕はいつかこういう大きな作品でこういう役ができるようになりたいなと目標になったんですが、まさかこんな早くチャンスを頂けるとは思っていなくて、正直びっくりした気持ちです」と素直な心境を語った。

これまで、井上芳雄、中川晃教、山崎育三郎という錚々たるメンバーがヴォルフガングを演じてきたことから、「今自分にできることを全部やって、がむしゃらに稽古に挑んできます。目標としては4人目のヴォルフガングを作るという目標を自分の中に作りました。なのでがむしゃらに稽古をして、育三郎さんにも色々アドバイスをいただいて頑張っていきたいと思います」
平野綾
平野綾

平野は14年公演に引き続き、モーツァルトの妻のコンスタンツェを演じる。「前回の2014年公演の時は『レディ・ベス』の公演が直前にあって、そこからスライドして『モーツァルト!』のお稽古が始まって。ずっと緊張感が絶えずに、本当にいっぱいいっぱい、精一杯やらせていただきました。まだ余裕がなかったので、今回は4年経っていろんな経験をさせていただいて、30代に突入したコンスタンツェを見られればいいなと思っています」と話す。

共演者の印象については、「山崎さんはずっと、本当にたくさんの作品で相手役をやらせていただいていますが、4年ぶりに「愛していれば分かり合える」を歌っても、息があって嬉しいなと思いました。古川さんは『レディ・ベス』でご一緒させていただいたんですが、まさか恋人役になるとは思っていなくて今からどういうお芝居ができるか楽しみ」と語る。

トリプルキャストの2人については「とても若いので、この若いエネルギーをいただきながら、一緒に素敵な役を作り上げられたらいいなと思っています」
生田絵梨花
生田絵梨花

初参加となる生田は「11年前の10歳の時にこの作品を観ていました。その時はまさか自分が将来コンスタンツェを演じるとは思ってもいず、子役のアマデをやりたいなと思っていた年頃だったので(笑)、あの時の自分に告げたら本当にびっくりすると思います」と思い出を語った。

そして、「オーディションの時、自分とはタイプが違うんじゃないかとも思いましたが、それでも自分なりにできる限り精一杯やらせていただきました。自分にとってもお客様にとっても想像できない役かもしれませんが、選んでいただいたので、自分にしかできないコンスタンツェを探し出して、皆様と協力していい作品をお届けできるように努めてまいりたいと思います」と話した。
木下晴香
木下晴香

2017年のミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(小池修一郎演出)のジュリエット役にオーディションで抜擢されデビューしたばかりの木下。「私はこの作品のオーディションを受けさせていただく時に、絶対この役に挑戦したいなという思いもあった反面、今の私には難しい役かなという思いもありました。こうして出演が決まって、歌唱披露やヴィジュアル撮影を通して、少しずつコンスタンツェという女性に触れていく中で、今はすごくワクワクした気持ちでいっぱいです」と初々しく話す。

「コンスタンツェという女性をどこまで深く演じられるかっていうのは本当に大きな難しい挑戦になると思うのですが、初めての帝国劇場で自分なりの思い切ったコンスタンツェを務められるよう、精一杯、体当たりで頑張りたいと思います」と語った。
生田絵梨花
生田絵梨花

演出を務める小池修一郎からのビデオメッセージも放映された。

小池氏は「具体的な演出プランはこれから練り上げていきますが、ハンガリー版が上演される際につくられた曲に、コロレド大司教とヴォルフガングの男性同士の対決のデュエットがあります。曲名は直訳すると「楽な道はいつも間違った道」となります。この曲は、ヴォルフガングが『魔笛』をつくろうとしている時にコロレド大司教に再会して、そこでたしなめられる場面で歌われるものです。今回はそういった新しい曲を入れたり、少し過剰であると思われるところは圧縮するなどして、新たな『モーツァルト!』をお届けしたいと思っています」と語った。新生『モーツァルト!』の誕生を予感させる発言だった。
山崎育三郎
山崎育三郎

続いて囲み取材が行われた。(平野は『ブロードウェイと銃弾』の公演のため退場した)

−−山崎さんは3度目の挑戦です。これまでで大変だったこと、新しく挑戦したいことを教えてください。

山崎 役自体はすごく大変なんですけど、初演の時に僕がヴォルフガングとして入った年は、ほとんどのキャストの皆さんが再演だったんです。稽古の進み方も「思い出し稽古」。再演の前回やったものを思い出しながら進めていくような形で、稽古のテンポがものすごく早かった。僕はゼロからヴォルフガングを作っていかなくてはいけなくて、もう誰とも会話した記憶がありません。Wキャストの(井上)芳雄さんともほぼ会話がゼロの状況で、台本と楽譜と歌唱指導の先生と小池先生のところを往復しながらずっとやっていました。

初めての通し稽古の1幕終わった段階で立てなくなりまして。「僕、できない」と思うぐらい、本当にしんどくて。全部終わった後に小池先生から「イクロー、市村正親さん(モーツァルトの父レオポルド役)の主演のミュージカルにしか見えないんだよ」(モノマネをしながら)とダメだしされました(笑)。愕然として、本当にどん底まで落ちました。そういう時にも(山口)祐一郎さんが優しくて「いいよ、格好いいよ、大丈夫だよ~」(モノマネをしながら)。いつも祐一郎さんをはじめ、皆さんに支えてもらいながら乗り越えました。(自分の)初演の時は皆さんと会話した記憶もないぐらい一人でがむしゃらにやっていた記憶があります。

本当に、今の自分の全てを出し切らないとできない役なので、前回・前々回をなぞるのではなく、今の自分がこの役にどういう風に向き合っていくか、どのようなことを自分が感じるかということを稽古場で探しながらやっていきたいと思います。
古川雄大
古川雄大

−−初参加のお三方にお願いします。人気作に挑む意気込みをお願いします。

古川 ナンバーが多いことと、曲が全て難しいので、そういった部分で課題はたくさんあります。歌唱指導の方にお世話になりながら頑張っていきたいと思います。あとは舞台にずっと出ずっぱりで、そういう面でどう体力をコントロールするのかが挑戦だと思います。

小池先生から常日頃言われているんですけど「君は……」(モノマネをしようとして)、あ、僕モノマネはできないんですけど、すみません(笑)、「君はちょっと悲劇なんです」と言われて。「モーツァルトは天真爛漫でとても明るいキャラクターなので、そこまでどう持っていくかが勝負だよ」と言われております。表現の部分でもたくさん課題があるので、がむしゃらにぶつかっていきたいと思います。

生田 コンスタンツェは悪妻と呼ばれてはいるんですけれど、悪いところというよりかは妻として、女性としての葛藤や、人間らしい感情を大切にしたいなと思います。何よりもこの作品はモーツァルトの生き様そのものが見所だと思っているので、そこに寄り添ったり、ぶつかったり、妻としてできるようにできたらと思っています。愛する気持ちを第一に頑張れたらと思っています。

木下 コンスタンツェは実在した人物ということで、いろんなことをまずを調べて、自分の中に深く落とし込んでという作業が必要なので、そこをしっかりとやりたいです。役柄的に一度、今の自分の限界を突破しないと演じられない役なのかなという思いがあるので、稽古場から本当にトライして、失敗を恐れず、挑戦しながら天才を支えて愛した妻を演じられるように頑張りたいと思います。
山崎育三郎
山崎育三郎

−−ヴォルフガング役のお二人にお尋ねします。お互いの印象は?

古川 常にオンのイメージがあります。オフの姿を見たことがないというか、常にスイッチが入っている方だなと思います。バックステージでも、プライベートでも、常に山崎育三郎というスイッチが入っている方なんだなって……。

山崎 僕はね、(古川に対して)常にオフの印象がある(笑)。雄大はあまりご飯も来てくれないんですよ。「ちょっと、自分、大丈夫っす」って(笑)。でもすごく、秘めたエネルギーを持っている印象ですね。すごくストイックというか、発声とか筋トレとかずっと一人でこもってやっている姿を見ていますし、いつも舞台で、自分のシーンが終わると舞台袖を走っていくんですね。自分の声を録音しているんです。それを取りに行く時、なぜか猛ダッシュをする(笑)。自分の声を確認している。ストイックで、真面目な印象です。

古川 ありがとうございます。上手く言えなくてゴメンなさい。常に輝いている……というか……。

山崎 もういいよ(笑)。オンとオフで!(笑)

古川 オンでいることって本当に難しい。オフの人間なので、僕は。どれだけ神経使って、集中力使うかを分かっているので。常にそうやって居られることが……。

山崎:うーん、オンなのかなぁ? あんまり意識していないんだけど。

古川:本当ですか。オンですよ……。

−−ヴォルフガングという人物の魅力と、たった35年の生涯にもしキャッチフレーズをつけるとしたら?

古川 モーツァルトの魅力は、天真爛漫で、すごく無邪気で、ふとした瞬間に爆弾発言みたいなことをして周りの空気を変えるような、読めない部分が彼の魅力なのかなと思っています。天才って言われる人って、そういう人が多かったりするじゃないですか。芝居のスイッチが入ったらすごく天才だけど、バックステージではほんわかしているみたいな。その天才に通ずる、彼の普段の様子とか人柄とかが今回その舞台ではいろんな角度で出ていると思うんですよ。そこが魅力だと思いますし、演じる上でヒントになると思います。

キャッチフレーズは稽古に入ってから聞いて欲しかったですけど(笑)、とにかく突き詰めて、追い求めた35年間なのかなと思っています。自分の音楽というものを。

山崎 ヴォルフガンクは子供の頃から天才と呼ばれました。大人になっていくと、いろんなことが起こっていく中で、やっぱり自分自身の信念や、自分が本当にしたいということがブレてしまう瞬間が誰でもあると思うんですけど、彼はそこがなかった。自分は自分なんだ、ありのままの僕を見て欲しいんだという、自分の信念、生き方を貫き通したというのが、この作品でのヴォルフガングの魅力じゃないかなと思います。キャッチフレーズは「ありのまま、そのまま」。
木下晴香
木下晴香

−−古川さんは帝劇初主演ですが、どんな気持ちですか?

古川 それを意識してしまうと、すごく固くなりそうなので、ヴォルフガンク役をやるんだという意識ではあるのですが、なるべく考えないようにしています。とても貴重な経験だと思いますし、とても大きな挑戦であると思います。

山崎 何年も前に、雄大がまだヴォルフガングをやると決まる前に、僕は雄大がなるんじゃないかなという話を本人にしているんですよ。だから、決まった日はやっぱり、と思いました。

−−どこかモーツァルトっぽいところがあるんでしょうか?

山崎 客席から見ていても、華がある。普段はすごく小さい声で喋ったり、オフな感じだけど(笑)、舞台の上で輝く姿にはすごくエネルギーを感じたので。雄大に絶対指名が来るんじゃないかなと思っていたんですよ。

−−古川さん、生田さん、木下さんは『ロミオ&ジュリエッと』で共演されているので、チームワークはいいのでは?

古川 そうですね。一度愛した二人なので、チームワークはバッチリだと思います。

生田 ロミオとジュリエットの関係性とはまた違うと思うので、また、新たに作っていくような気持ちで、山崎さんとも古川さんとも接していけたらなと思うっています。

−−木下さんは去年デビューされたばかりですが、帝劇の大役を手にします。お気持ちは?

木下 ミュージカルをやられているほとんどの方は帝国劇場にいつか立ちたいと思われるので、初めての帝国劇場で『モーツァルト!』に出演させて頂くのは、貴重で幸せな経験です。身の引き締まる思いでいます。
平野綾
平野綾

−−ヴォルフガングはWキャスト、コンスタンツェはトリプルキャストですが、同じ役をする相手に負けないところ、相手が素敵だなと思うところを教えてください。

山崎 ……自分と向き合っていくことが一番だと思います。僕はデビューが『レ・ミゼラブル』。4人同じ役がいたんです。演出のジョン・ケアードさんに「他人の芝居を見なくていい。自分ととにかく向き合え」とずっと言われてきました。気になるところはみんなあると思うけど、とにかく自分がどう演じたいかどういう風に向き合うかを一番大事にしてやってほしいなと思いますね。

古川 山崎さんはミュージカルブームの最前線にいる人だと思います。僕はその次世代にいる人間で、僕からしたら憧れの存在。だから、全てにおいて劣っていると思います。ただ、ここは負けないぞと言うのは、こもってストイックに頑張れるところ。そこは、いっくんと同じぐらいなのかなと思います。

生田 平野さんは前回からコンスタンツェを演じているので、貫禄があります。私には全然出せないと思うんですが、その分フレッシュな勢いを出せたらなと思います。晴香ちゃんは年下なんですが、歌声や普段の性格も落ち着いて大人っぽい感じですよね。映画の『アマデウス』を見たときに、コンスタンツェを結構可愛らしい方がやっていて、それがすごく斬新な感じがしたので、もちろん大人っぽいとか落ち着いているとか、ちょっと影を持っているというのはそうかもしれないけれど、愛らしい部分も見つけながら、いろんな角度からコンスタンツェを表現できたらなと思います。

木下 平野さんは、客席から舞台に立たれているのを見ていたので、同じ稽古場で同じ役を演じる身として、いろんなことを勉強させてもらいたいなと思います。貫禄や表現の仕方をたくさん学びたいなぁと思います。いくちゃんは前回の『ロミオ&ジュリエット』の時から話しやすいお姉さんで、いつも支えてもらっているので、今回もたくさん相談すると思いますが、よろしくお願いします。

−−最後に一言お願いします!

山崎 今年のミュージカル『モーツァルト!』は三大都市をまわる予定です。今回、新しいキャストも加わりまして、新しい演出、セット、そして楽曲も加わるということで、僕自身もゼロからヴォルフガングと向き合って、新しい『モーツァルト!』をみんなで力合わせて作っていきたいと思います。2018年はミュージカル『モーツァルト!』の年にしたいと思っています。楽曲がとても素晴らしいですし、若い方から年配の方まで幅広い方にも共感してもらえる曲が詰まっています。今、これだけミュージカルのスターが集まるのは他にないと思います。ぜひ劇場に足をお運びください!

取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報 ミュージカル『モーツァルト!』

■脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
■音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
■演出・訳詞:小池修一郎

■出演:
ヴォルフガング・モーツァルト:山崎育三郎、古川雄大(Wキャスト)
コンスタンツェ:平野綾、生田絵梨花、木下晴香(トリプルキャスト)
ナンネール:和音美桜
ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世、香寿たつき(Wキャスト)
コロレド大司教:山口祐一郎
レオポルト:市村正親   
ほか

【東京公演】
■日時:2018年5月26日(土)~6月28日(木)
■場所:帝国劇場

【大阪公演】
■日時:2018年6月30日(木)~7月18日(水)
■場所:梅田芸術劇場メインホール

【名古屋公演】
■日時:2018年8月1日(水)~8月19日(日)
■場所:御園座

■公式サイト:http://www.tohostage.com/mozart/​

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