会社を辞めて、こうなった。【第66話】 大学院への道、途絶える。ヴィパッサナー瞑想合宿で、人生の袋小路と向き合う(前編)。

ananweb

2018/2/14 21:00



大学院への道は途絶え、研究インターンはお役御免に。”40歳で新しいチャレンジは、やはり無謀?”と袋小路な状況のなか、かねてから予定していた二度目のヴィパッサナー瞑想合宿へと向かいます。

写真/文・土居彩

【土居彩の会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。】vol. 66

■ 大学院への道、途絶える…。

先日アカデミックディレクターの人に「大学院への進学はどうするのか」とたずねられ、朝の8時キャンパス近くのコーヒーショップ『Café Strada』で話をしたんです。この店はサードウェイヴコーヒーショップ的なオシャレさは微塵もありませんが、朝6時からオープンで無料Wifi・電源完備。テラス席もあり、リーズナブルな値段でドリンクを提供してくれるうえ、どんなに長居をしても迷惑がられないとあって、学生や教師の憩いの場となっています。ちなみにカフェで見かける使い古されたツイードのジャケットに丸メガネの着こなしが素敵なダンディな教授陣は私のバークレーにおけるファッションアイコンでした。

通い詰めて顔なじみになると、こんな不思議なラテアート(※そういう店では無いのです)をにこりとも笑わないメキシカンのおじさんがそっとやってくれたりして……。ここ最近は学校にいく用事が無いので全く足が遠のいていましたが。

さて爽やかな朝、『Café Strada』のテラス席で「私には確かめたい仮説があって、会社を辞めてアメリカに来てからずっと自分を治験者に見立てて実験・観察しています。でもそれが大学院の研究室でなければできないことなのかが、よくわからなくなっちゃって。例えば “慈悲の心” について研究している研究者たちよりも、私にとって思いやり深く接してくれた大学中退のインターン先の社長や、私財を投じてギフトの世界で生きている人たちから学ぶことのほうが今は大きく感じるんです。なので、今のところ大学院を目指す気はありません」と爆弾発言を投じました。

すると彼女から「わかるわ…」と言われた後に、彼女自身大学の教授や講師陣たちと友人になろうとアカデミックディレクター、そして講師として奮闘していたことを打ち明けられます。「キャンパス内で真の友だちを作りたいとある教授に相談したの。そうしたらなんて言われたと思う? 『だったら子どもを早く作って、子どもがいる教授と交流を深めることだね』って……」。それに対して思わず、「Disgusting!(気持ち悪っ)」と叫んでしまいました。彼女は私とちょうど同年代の独身女性だからです。

はい、ここでバークレーへの道は完全終了!

その後、日系人を治験者とした体内感覚と感情についての研究インターンへ。年明けランチミーティングがあると教授に招かれて向かったのです。某名門大学心理学部博士課程在籍の台湾系日米バイリンガル学生が自身の卒業論文のテーマにするため、教授の研究を無償で手伝いたいという話で。「では私は今後どう関わりましょうか?」とたずねると、特にやることが無い様子。お役御免です。入館証を眺めながら、これを使うことももう無いのか……。結局私がこの研究で行ったこととは、治験者募集のための広告を作ってこちらにあるタブロイド誌と料金・スペース交渉をして掲載すること。電話でスクリーニングをして研究に最適な治験者を選ぶこと。座談会への参加とテキスト起こしされたものを編集して、日本独自の考えや文化について補足説明を加えることのみでした。

でもこれは今までやってきた編集や広告の仕事の延長上で、私はその先の研究結果をどう分析していくのかを学びたいとこのポジションに昨年6月から無償でお手伝いしていたのですが。それが、タダでもできないのか。”タダ!(いくぶんか使えます)” と書かれて道端に放出されていたライトのことをふと思い出しました。ところであれは無事に拾われたのだろうか……。

■ 40歳で新しいことに挑戦するなんて、やっぱり無謀?

というような袋小路な現状を友だちに打ち明けると、「最近採用する側になったんだけど、みなシビアよ。コスト削減を強いられているから育つまでなんて待てない。そういえばこのあいだ面接していてキツかった35歳の女性がいたなぁ……」と言われて落ち込みます。35歳って私よりも5歳も歳下じゃないの……。やはりこの歳になって全く新しいことをやろうとするなんて無謀だったのかな。自分がハマらないところにしがみつこうとしているのカモ!? 人生の方位磁石が狂ったようなズッコケ続ける日々を過ごしながら、かねてから予定していた2度目のヴィッパサナー瞑想合宿に向かうことになったのです。

※ヴィパッサナー瞑想合宿・初体験記事は、こちらをどうぞ。 http://ananweb.jp/column/sanfrancisco/148719/

■ 2度目の瞑想合宿。ライドが5時間経ってもやって来ず。

今回向かったのはバークレーから車で片道4時間半のノースフォークという街にある、California Vipassana Center。ライドを提供してくれたのは、39歳の歯科衛生士の女性、ピィーでした。ところが待ち合わせ時間30分前に「急用ができてどうしてもまだ出発できない」とのテキストメッセージを受信し、ガーン! 偶然目にしたドアに日本語の “天使” と書かれていたので(笑)「これこそ “気づき” と “平穏な心” を培うヴィパッサナー瞑想の実践だ」と気を取り直して、コーヒーショップで待機。

待ち合わせ時間から5時間が経って到着した彼女にまずはカフェモカを振る舞いました。ちなみにオシャレ サードウェーブコーヒーショップ『Algorithm Coffee』だとラテアートはこんなふうになりますね。その後の車内ではピィーの “40歳を目前とした不安” (ねぇ、ケンカ売ってる? 苦笑)について延々と耳を傾け、ついにセンターに到着したのは受付時間を大幅に過ぎた午後7時30分。もう外は真っ暗です。

ボランティアのサーバースタッフのみなさんに「申し訳ありません」と平謝りしながら、なぜ私が謝らないといけない? と割り切れない気持ちにも。乗せてくれたピィーに感謝こそしないといけないのに、こんなに釈然としないのはナゼ? 心が狭いですね。あぁ、車を持っていない私が悪い。社会的に安定していないのがいけないんだと思って、今度はモヤモヤ。これまでの経験から外側で起きることは心の内側の反映なんだとわかりつつも、ザワザワした気持ちを収められず就寝しました。

翌日からいよいよ朝4時から夜9時までのヴィパッサナー瞑想合宿が再び始まります。今回は図らずとも相当やさぐれた気持ちで臨むことになりましたが、いったいどんな体験が待っているというのでしょうか(第67話へ続く……)。

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