どこからが「不倫」ですか?夫はいるけれどまだ恋をしたい【♯婚外恋愛1】

OTONA SALONE

2018/2/14 17:30



どれだけバッシングされても、決してこの世から消え去らない不倫。

お互い籍を入れないままの恋愛。パートナーが複数存在する恋愛。

恋愛相談家・ひろたかおりが従来の「婚姻」の外にある恋愛と、その心理を傾聴する。

肉体関係はないけれど「彼氏」




— キャリアウーマンらしい、と思う。A子(40歳)は約束の時間に遅れない。いつも10分前にはカフェのテーブルに座り、すでに飲み物を用意して待っていてくれる。

「カフェオレ。砂糖抜き」

にっこりと笑ってこちらにドリンクのカップを差し出すA子は、今日もきっちりとメイクした顔にオレンジのニットを着ていて、綺麗にネイルの施された指には結婚指輪が光っていた。

いつもありがとう、と答えながら彼女の前に座ると、A子はすぐに口調を変えて話し始めた。

「ねぇ、彼がさ、今度ふたりで旅行に行こうよって言うんだけど」

言葉の内容に反して、彼女の表情は曇っていた。「いいじゃないの」と返すと、ちらりと視線を寄越し、

「ちょっと、簡単に言わないでよ。わかってるくせに」

とため息をつく。

「まさか、行った先で寝ちゃうとか?」冗談半分で口にした言葉だったが、それには答えずにA子は

「これ以上仲良くなりたくないんだよね」

と細い声でつぶやいた。

「彼」は、A子と同じく既婚者だった。肉体関係を持たないプラトニックなつながりは、もう半年になろうとしている。

「仲良くなりたくないって……」

カフェオレを一口飲んでから、思わず呆れた声が出た。

「そんなの、思ってるのA子だけなんじゃないの?」


認めたくなかった「欲望」




A子は誰でも名を知るIT企業に勤めている。役職も高く、部下を抱えながら仕事に精を出す彼女は毎日をアクティブに過ごしていて、約束のできる日は何週間か先になることもある。だが、決してドタキャンしない、遅刻しないところが友人の間でも信頼の置ける存在として通っていた。

結婚15年、同じくIT関係の会社で働く夫は、ひとり娘を可愛がることも忘れない。A子の家庭は、外から見れば理想的な一家だった。年収は800万を超えるし、休みは暦通りで年に一度は海外旅行に行ける暮らし。夫は物静かな人で彼女の仕事に口は出さない。

「まさに『勝ち組』って感じだよね」とささやかれることも多かったが、いつもA子は「努力したんだもの、当然よ」と答えていた。

だが、A子に異変が起こったのは、そんな「努力」を続けている最中だった。

「家庭が物足りないわけじゃないんだけど……」

そう前置きして、以前A子は「彼」とのことを打ち明けてくれた。

彼とは、会社の取引先で出会い、仕事を通じて仲良くなった。お互いに既婚者であることがかえって安心を呼び、A子は業務の話以外にも家庭のことなど気さくに打ち明け、彼の家族の話もまじえて盛り上がることが多くなった。

A子に不倫を求める気持ちは欠片もなかっただろう。それは会社の中でA子の立場を危うくするものであり、まして取引先の人間など、危険でしかない。それを十分に理解していて、彼との付き合いも一線を引いて常識的なものに留まっていた。

「不倫なんて、相手に対して失礼でしょ」と繰り返しA子は語った。それは彼にも伝わっていただろうが、ある日

「何もしないって約束で食事に行くのはどう?」

と彼に切り込まれてしまう。

(うわ、いかにもって感じ……)

A子はがっかりした。一生懸命、夫や子どもが大事だと伝えていたのに、この男は何を聞いていたのだろうか。

「わざわざ『何もしない』とか口にする男に、ロクなやつがいないじゃない」

私は今の生活に満足している。仕事は楽しいし、家庭も落ち着いている。物足りないわけじゃないけど、壊す気はさらさらない。

だが、A子の口から出たのは

「いいですよ。今晩?」

という、気持ちと正反対の言葉だったのだ。

物足りないわけじゃない。だけど、求めようと思えば、求めることができるもの。

夫以外の男性とふたりで食事に行くなど、本来の彼女ならしない。それでも誘いに乗ったのは、彼が既婚者だからこそ、「一線を超えない言い訳」が通用するからだ。

「何もしないって約束」を盾に。



「要は、恋愛してみたかったんでしょ? 旦那さん以外の人と」

既婚という立場を有利に利用し、面倒な身体の関係なく、ただ恋愛感情だけを無尽蔵に与えさせる恋愛。

それが手に入るものである、とA子は本当は知っていた。

今の生活を失いたくない気持ちと、それでも手にしてみたかった新しい「欲望」。

結局、A子は彼と肉体関係なしで過ごすうちに、恋に落ちてしまったのだった。

アンバランスな付き合い方




仕事でもプライベートでも、約束は遂行するべきと当然のように考えているA子は、彼の「約束」が翻らないことを願っている。

最初からプラトニックを前提に始まった恋なのだから、それを通して欲しい。

これ以上求めないで欲しい。

「ふたりで旅行なんて、もう不倫と変わらないじゃない」

そう言って、A子は頭を抱えた。

何を今さら、と言おうとして、ふと気づく。

A子は「肉体関係を持たないなら不倫ではない」という第三者の言質を取りたいだけだ。ならば答えは簡単。

「それなら、関係を切るしかないんじゃないの?」



A子は変わっていない。夫も子どもも相変わらず大切にするし、家庭を差し置いてまで彼との時間を持っている様子はない。

それがA子なりの「これは不倫じゃない」という誠意であって、彼とはあくまでも「婚外恋愛」で済ませたいのだ。

だが、相手も同じとは限らない。プラトニックな関係のままふたりきりの旅行を求めることに、下心がないとは言い切れない。

むしろ、関係の変化を願っての提案ではないかと、「もっと仲良くなりたい」というアピールなのだと、感じざるをえない。

このアンバランスな関係は、いつまで彼女の願い通りに続くのだろうか。

不安げな表情とは裏腹に、熱を帯びた瞳が見つめる先にはまた、「新しい欲望」が眠っているのではないだろうか。

「カラダの関係がなければセーフ」。

こんな気持ちで、配偶者以外の異性を好きになる人は多い。それはカジュアルに恋愛を楽しみたいという純粋な下心であって、実際に不倫まで進むことはないのかもしれないが、そんな「約束」はないのが現実だ。

A子のように、いざ始めてみたものの、相手の気持ちとのバランスが取れずに揺れる女性は多いだろう。その「隙間」が、新しい欲につながらないとは、決して言い切れないのだ。

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