セピア色の世界で躍動する好奇心!シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』公演レポート

エンタステージ

2018/2/13 15:05


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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

いつも人間離れしたパフォーマンスと想像力を刺激する見事なセットで観客を楽しませてくれるシルク・ドゥ・ソレイユ。その最新作となる『キュリオス』日本公演が、2018年2月7日(水)に東京・お台場ビッグトップにて開幕した。初日前日に行われた公開ゲネプロの模様より、舞台写真と共にレポートをお届けする。

シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』舞台写真_2
Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

今回のお題「キュリオス(Kurios)」は、好奇心・骨董品を意味する「Curiosity」からの造語だそうだ。舞台のカラーはセピア調で、昔々の写真や映画のようでもあり、そんな昔のSF作家たちが夢見た未来のような、何だか訳がわからなくて好奇心をそそられる・・・不思議なモノたちの溢れているスチームパンクな世界。小道具はシルク史上最多の426個も使用されているという。

シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』舞台写真_3
Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』舞台写真_4
Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

主人公は「シーカー」、つまり「探し求める者」。様々な骨董品を収集し、おかしな研究をしているらしい彼が11時11分に巨大な椅子に乗ってスイッチを入れると、観客はファンタジーの世界に引き込まれる。11時11分は、時計に1ばかりが4つ現れる不思議な時間。欧米では、この時に願い事をすれば願いが叶うと言われ、「Make a wish!」と唱えて願いごとをするというジンクスがあるらしい。だからこの「キュリオス」は、シーカーの願いが叶った“夢の時間”なのだ。

シルク・ドゥ・ソレイユ『キュリオス』舞台写真_5
Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

最初の大きなアクトは、巨大なスーツケースのような箱から出てきた男女による「ロシアン・クレードル」。ピカソの絵画やフェリーニの映画を連想させるようなレトロな軽業師風の衣裳をまとった大柄な男性と、小柄な女性が現れた。男性は高い2本の柱の間に立ち、小柄な女性の両手を持って振り回し、投げ上げる。女性は空中でクルクル回って、男性の元に戻る。つまりは、人間空中ブランコなのだが、手が滑ったら、足が滑ったら、息が合わなかったらどうしよう・・・と見ている方はドキドキ。もちろんそんなことはなく、軽々とやり遂げた二人は喝采を浴びていた。

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Photo: Pierre Manning / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

「エアリアル・バイシクル」では、天井からぶら下がった自転車に乗った女性が、自転車に足を絡めて腕を伸ばしたり、腕を絡めて足を伸ばしたり、揚句に逆さまになった自転車を平然とこいで見せたり。「透明サーカス」ではひょうきんなリングマスターが透明なパフォーマーに綱渡りをさせたり空中ブランコをさせ、しまいには透明な猛獣を客席に逃がしてしまう。

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

続いて、巨大な機械の手に乗って色鮮やかな深海の軟体生物が現れた。軟体生物は、縞や水玉柄の入ったカラフルな全身タイツを身にまとった4人の女性が演じているのだが、とても人間とは思えないようなウネウネした動きはまるでウミウシ。このウミウシ的パフォーマンスに目を奪われるのはもちろんだが、彼女たちが乗っている巨大な機械の手も、中にいるたった二人のアーティストが、一人は漕ぎ、一人は指の動きを操り、表現しているそうだ。

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

いくつもの円筒を縦横に組み合わせ、グラグラする上でバランスを取る「ローラ・ボーラ」は、地上でやっても難しそうなその技を、パフォーマーが天井から吊り下げた大きなブランコのような装置の上という、はるか上空でやってのける。頭上のパフォーマーは、観衆が「椅子がずれたらどうしよう」とハラハラするのをよそに、のんびり倒立して脚を広げ、足首を曲げ伸ばし。

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

ステージ全体を覆うぐらい大きなネットをトランポリンのように使ってパフォーマーたちが天井近くまで飛び上がり、回転したり空中でポーズを取ったり、海の中の魚のように自由に動き回る「アクロネット」では、跳ね回るパフォーマーたちがすばらしいのはもちろんだが、ネットの下を駆け回る「おサカナ」たちもかわいい。

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

観客たちの緊張がピークに達した頃に、笑わせ役が観客を舞台に上げるパフォーマンスを行う。彼は観客に近づこうとするが、なかなかうまくいかない。途中で彼はなぜか猫になってしまうのだが、これがなかなか見事な猫っぷり。床に転がらせてお腹をなでてやったらどうなるだろう、などと妄想が沸き、ほっと気持ちがほぐれた。

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Photo: Pierre Manning / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

胸を撫でおろすのもつかの間、天井からリボンにぶら下がった二人の男性が登場する。ハラハラする大胆な動きで、縦横無尽に空を行きかうのは「エアリアル・ストラップ」。ニつのヨーヨーを前に後ろに右に左にと、自在に操るのは“時の案内人”。ヨーヨーは懐中時計で、ヨーヨーを操ることで時間を操っているという設定だそうだ。

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

「シアター・オブ・ハンズ」は、その名の通り、手と指で演じる劇場。舞台の上で演じられるこの小さなシアターが、その上に浮かんだ熱気球に大きく映し出される。その素朴さとセピアの色の温もりに、何とも言えない懐かしさをかきたてられた。

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

そして10人を超えるアクロバット・パフォーマーたちが現れ、何人も肩に乗せた上にさらに飛び上がったりと、華やかなアクロバットを繰り広げる。舞台上が盛り上がるにつれて、「ああ、もうこれで最後なんだ」と急に気づく。まだ終わって欲しくない、ずっとずっと続いていて欲しい・・・。しかし、時計の針は11時12分へと進み、夢の時間は終わりを告げる。名残惜しいけれど、とてもとても長く、楽しくて満足できる“1分間”だった。

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

シルク・ドゥ・ソレイユ『ダイハツ キュリオス』日本公演は4月8日(日)まで、東京・お台場ビッグトップにて上演。その後、大阪・愛知・福岡・宮城を巡演する。日程の詳細は、以下のとおり。

【東京公演】2月7日(水)~2018年7月8日(日) お台場ビッグトップ
【大阪公演】7月26日(木)~10月29日(月) 中之島ビッグトップ(特設会場)
【愛知公演】11月22日(木)~2019年1月27日(日) 名古屋ビッグトップ(ナゴヤドーム北)
【福岡公演】2019年2月15日(金)~3月31日(日) 福岡ビッグトップ
【宮城公演】2019年4月~ 仙台ビッグトップ

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Photo: Martin Girard / shootstudio.ca (C)2014 Cirque du Soleil

(取材・文/月島ゆみ、写真/オフィシャル提供)

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