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心の病気の回復期に「ポジティブ思考」が重要なワケ

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心の病気からの「回復」は元の日常生活をしっかりと取り戻すことですが、そのために重要なのが前向きな思考です。ポジティブでいることがなぜ重要か、また、その簡単な実践方法について医師が解説します

心の病気からの回復期に重要な「ポジティブ思考」

新しい物事や難しい局面に直面したとき、楽観的な気持ちで臨める人もいれば、悲観的になりがちな人もいます。これは当人の元々のパーソナリティによるもので、どちらがよい結果につながるかも、その時々の状況により変わるものです。

例えば何かの問題に対して思い切った行動を取って、非常に良い結果につながった場合、楽観的な性質が役立ったと思われるかもしれません。しかし反対に、慎重に思いとどまったことで大きな失敗を回避でき、結果的に大事に至らずに乗り越えられた場合、物事を少し悲観的に見る性質が役立ったと思われることもあるでしょう。このように、人は必ずしもいつも楽観的であるべきとは言えないものなのです。

しかし、心の病気の回復時においてはそうではありません。心の病気の快復においては、物事をなるべくよい方向に考えるポジティブ思考が非常に重要です。

今回は心の病気から回復していく過程での重要な要素として、当人だけでなく、ご家族も気持ちを前向きにしていくことの大切さを詳しく解説します。

心の病気治療のゴールは「元の日常生活」を取り戻すこと

心の病気の経過、治療についてお話するにあたり、まずは心の病気治療の「ゴール」が何かを知っておいていただきたいと思います。

心の病気には、うつ病、統合失調症などを始め様々なものがありますが、深刻な症状で入院が必要になったようなケースでも、現在はある程度症状が落ちついた後は自宅で療養し、外来通院で治療にあたるのが一般的です。そして「心の病気から回復する」というゴールの考え方自体も、一昔前とは大きく変わってきています。「心の病気から回復する」ことは、単にその問題症状が落ち着くだけではなく、元の日常に戻ることを指します。元の生活が戻り、初めて回復とみなすようになってきているのです。

そして心の病気で深刻な症状が現われた場合でも、今日では多くの場合は適切な治療を受けることで、元の日常生活に戻ることが充分可能になってきています。

一方で、心の病気の治療期間は、一般に数ヶ月、数年単位になりやすいものです。自宅で療養する方は、家庭環境がある程度整っている方が望ましいことは言うまでもありません。ストレスが少なく、家族間のコミュニケーションが良好な状態が理想です。それらがもたらすメリットは、単に当人の療養生活が楽になるというだけではありません。うつ病、統合失調症など心の病気は、一般にその経過において、生活の場でのストレスがしばしば症状を増悪させる要因になってしまいます。また、生活環境でのストレスが、一度は落ち着いていた症状の再発の引き金になることもあります。

元の生活を取り戻すというゴールを見据えた場合、適切にストレスに対処していく気持ちや環境を整えることは、心の病気の経過を良好にし、再発リスクを減ずるためにも重要な要素だということがお分かりいただけるかと思います。

ネガティブ思考回避の第一歩は「正しい知識を持つこと」

しかし現実に心の病気を発症してしまった場合、当人はもちろんご家族も普段はないようなストレスを感じ、ネガティブ思考に陥りうることは、無理もないことです。そのような状態で、「ストレス対策が大事。ポジティブ思考を大切に」と言われても、どうしていいか分からなくなってしまう……という方もいらっしゃるかもしれません。ですので、まずは当人とご家族がネガティブ思考に陥らないために、最も大切な基本をお伝えしたいと思います。

心の病気に限らず、深刻な病気になってしまうのはやはりショックなものです。そして、うつ病や統合失調症などの心の病気を発症した場合、その疾患特有の症状のために、日常生活にも深刻な問題が現われているケースは多いです。それらの症状が、当人やご家族にも深刻なストレスを与えてしまうこともあります。

例えばうつ病を発症すると、何をやっても楽しく感じられないといった心理傾向になりがちです。塞ぎこんでいる様子を見て、何か気晴らしをさせたいとご家族が楽しいことに誘ってみても、浮かない表情で断られるかもしれません。このような場合、ご家族の方は、それは病気が生み出した症状による問題なのだとしっかり理解しておく必要があります。自分の親切に対して心ない対応ばかり取る、などと相手の気持ちの問題だと誤解してしまうと、より強いストレスにつながりかねません。心の病気から回復する上で、家族を始めとする周りの方のサポートは欠かせないものですので、当然こういった誤解によるストレスや軋轢は、スムーズな回復にプラスにはなりません。

同様に、統合失調症の場合は何らかの妄想観念が頭を占めることも少なくありません。「自分は誰かに狙われている」といった被害妄想が強まることもあります。外へ出るのを極端に怖れ、自分の部屋に閉じこもってしまうこともあるでしょう。こうした場合も、ご家族は必要以上に動揺しないよう、それが病気による精神症状であることと、治療薬で対処できる問題であることを理解し、不要なストレスを抱え込まないようにしたいものです。

もし正しい理解がないままご家族までもがストレスを溜めこんでしまい、病気になってしまった当人の人格を責めるようなことになってしまえば、当人は心が大きく傷つくだけでなく、自分は何をやってもダメなんだといったネガティブ思考を深めてしまうかもしれません。これは病気からの回復はもちろん、症状が治まった後に元の生活に戻っていくというゴールを目指す上でも、大きな障壁になってしまいます。まずは病気についての正しい知識を持ち、ストレスやネガティブ思考を意識的に回避していくことが大切です。

自他ともに具体的に誉めることが、ポジティブ思考の第一歩

病気などで一度自信を失ってしまうと、悪い面ばかりに目が向き、視野が狭まってしまうことは少なくありません。例えば病気の治療中に四肢の協調運動に問題が出てしまい、動作が少しぎこちなくなってしまったとしましょう。こうした不調はごく軽度のものであっても、病気と闘っているご本人にとっては非常に気になるものだと思います。普段通りにできなくなった、もう身体がおかしくなってしまった……とできないことばかりに目を向け、深刻に思い詰めて悩んでしまうと、当然気持ちは前向きになりにくくなります。一旦深刻なネガティブ思考に陥ると、自分が本来得意にしていたことや楽しいことすら、考えづらくなってしまうでしょう。

例えば絵が好きでとても上手かったとしても、深刻なネガティブ思考に陥ると、本来そういった趣味・特技があること自体を忘れてしまったり、趣味を楽しむために回復したいという前向きな気持ちを持てなくなってしまったりする可能性もあります。

症状が落ち着いた後に、元の日常にいかに戻っていくかは心の病気の大きな課題です。その際に大きな力になるのが、当人の趣味や本来得意だったことへの意欲だったりもします。本人がそれを充分意識して、気持ちを前に向けていくことは回復にも少なからず影響するものです。

自分でそういった気持ちを思い出して自信を持つことはもちろん、周りにいる方も、当人の優れた点や元々の特技、よい面などを、具体的に言葉にしてはっきり伝えることは、本人の気持ちを大いに楽にする可能性があります。たとえ誉めた側はすぐに忘れてしまったとしても、誉められた方はずっとそれが頭に残り、これからを頑張る原動力になることがあるのです。ご家族の方が、病気から回復中の当人を誉めることは、回復の大きな要素でもある「自信」を取り戻し、気持ちを前向きにしていく上で大きな力になります。

回復期にポジティブ思考を習慣化する方法

ポジティブ思考を習慣化していくのは時間がかかるかもしれませんが、まずは気持ちを意識的に前向きにすることを心がけるだけでも、変わってきます。辛い状況に「もうだめだ……」と肩を落としそうになったら、「とにかくできるだけやってみよう!」と意識して前向きに踏み出すことで、同じ状況でも、感じるストレスはかなり違ってくるはずです。

ポジティブ思考の実践の方法として、最も簡単で効果的なのは、なるべく具体的に前向きな言葉を口に出すことでしょう。自分自身はもちろん、家族内や仲間内で前向きな言葉を交わすことを、あえて意識することは有効です。

今回はポジティブ思考の重要性と実践法について、詳しく解説しました。冒頭にも述べましたが、「心の病気から回復する」ことは、単にその問題症状が落ち着くだけではありません。ゴールは元の日常に戻ることです。病気の発症前と同じように自分に自信を持つことも回復のために欠かせない要素。それを助ける上で、ポジティブ思考が大きな役割を持つことを、どうか念頭に置いていただければと思います。
(文:中嶋 泰憲)

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