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『隣の家族は青く見える』アウティング上等? “オープンゲイ”北村匠海のキーマンっぷり

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 ある集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、そこに住む4組の「家族」の価値観の違いを軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。人工授精をめぐる激論や、広瀬(眞島秀和)がゲイだとバレる第4話は6.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、前回の5.9%から横ばい。振り返ります。

■人工授精を嫌がる人々



主治医(伊藤かずえ)に人工授精を勧められた奈々(深田恭子)は「すごく人工的なものを想像しちゃうけど、実際には自然妊娠に近い治療法」と前向きに取り組もうとするが、拒否反応を示す人々も。

夫の大器(松山ケンイチ)は「第3者の手が加わるっていうのがなあ」「理屈ではわかってるけどなんか抵抗ある」と割り切れない。

職場の商品会議で「世の中、人工的なモノで溢れてるから、天然素材にこだわりたい」と、世に溢れる「自然」信仰「人工」否定論を口にしており、この悪意なき思考が人工授精への拒否反応に根底でつながっているのだろう。

そして初登場の奈々の実母・春枝(原日出子)。当初は親子仲睦まじい雰囲気だったが、不妊治療、人工授精と聞いた瞬間に顔を歪める。

「子どもは自然に任せるのがいいに決まってる」というだけでなく、話を先に進め、「うちの子は体外授精で生まれましたって人に言える?」「自然に生まれたんじゃないことを理由にいじめられたらどうする?」と詰め寄る。

偏見だと言い返す奈々に「偏見があるのが世の中ってもんなの」という考え方。実際、ありがちな意見を元にしてるのだろう。

しかし、終盤「親は自分の子どもが苦しんでる姿を見るのが一番つらい」と不妊の身体に産んだことを詫びる母を見て、意見は違えど実際そうやって自分を想い育ててくれたことを実感し奈々は涙する。

大器の人工授精に対する抵抗感を取り払ったのは、妹の琴音(伊藤沙莉)。

「自然分娩じゃないと子どもに愛情が湧かないんじゃ?」と夫に言われた琴音は、母乳や自然妊娠にこだわりたくても、それぞれの事情でそうできない人々がいることに触れ、「そういう人たちの気持ち全く考えないで自然自然って言うのも、どうかと思う」と「自然神話に取り憑かれれてる人」を斬る。

帝王切開にはなんの偏見もないのに、自然妊娠にはこだわってた自分にふと気づく大器。その瞬間、注文してた「オーガニック」ドリンクが届くという皮肉が綺麗。

■ゲイを公表すべきか



好意を寄せる同僚・長谷部留美(橋本マナミ)に対し曖昧な態度を続ける広瀬を快く思わない広瀬のパートナー・青木朔(北村匠海)は「女性の好意を利用して自分のセクシュアリティをカモフラージュするなんて、最低の人間のやること」と詰め寄る。

「たった一度の人生なのに自分を偽って生きるのは虚しくない?」

「親が生きているうちはカミングアウトしないことが、せめてもの親孝行だと思ってる」

ゲイであることをオープンにする朔と、オープンにできない広瀬の対比が今回も軸だ。おそらく広瀬は朔のようになりたいが、そもそもの性格もあるだろうが、親だったり職場だったり、さまざまななしがらみを気にしてそうなれない。だから奔放に振る舞う朔に惹かれてるのか。

「世の中のほとんどの人が、ゲイっていう存在を、自分とはまったく関係のないファンタジーか何かかと思っている」という朔の言葉が我々に突き刺さる。

前妻との子どもを引き取ることにした川村亮司(平山浩行)は、子どもを作らないと約束してた杉崎ちひろ(高橋メアリージュン)との同棲を解消することに。子どものベッドや勉強机の購入を笑顔でアドバイスするちひろがけなげだ。幼い子どものために余裕がない亮司を理解しようとはするが、どこかないがしろにされたと感じているちひろ。それでも双方、別れたくない気持ちが垣間見える。

■家の入口にヘイトな貼り紙が



ある日、コーポの入口に「広瀬渉は同性愛者」「ゲイカップルの家」と中傷ビラが貼り付けられる事件が。専業主婦・深雪(真飛聖)は広瀬がゲイである事に嫌悪感を爆発させる。

コーポ中にゲイであることを知られてしまった広瀬は、大器と奈々に相談。自分が気にしすぎてるだけで、朔のようにオープンにすべきかと思い始めていただけに「一瞬にして現実に引き戻されました」と落ち込む。

「知らないから怖いんじゃないでしょうか? 知ってしまえばなんてないことを知らないからって敬遠するってことあると思うんです」と奈々は言うが、「本音を言えばほっといて欲しいんですよ。別に受け入れてくれなくていいからそっとしといてくれ、と」と、とことん参っている広瀬。

犯人に怒りつつ「あー気分悪いお風呂入ってくる」と切り替える奈々が、ちょっと面白い。

しかも広瀬を中傷するビラは、職場にまでばら撒かれており、同僚・長谷部は「みんなも気にしてない」と励ますが、職場の雰囲気はおかしいし、まわり以上に本人がやりきれないだろう。

家に帰ると、さらに「心の優しいゲイカップルの家です」と貼り紙が。しかしこれだけは「攻撃は最大の防御」が持論の朔がやったもの。オープンにすることで広瀬のように焦燥しきってしまうことから身を守るという朔の考え方はシンプルな分、強い。

誰にも知られたくないなら近所付き合いのない家に住めばいいのに? という朔の問いに広瀬は言う。

「そんなことしたら本当に自分の世界だけに閉じこもってしまう気がして」

「世間にばれたくないからこそ、世間とつながってなきゃと思ってた」

「矛盾してるけど、それが俺なりのバランスの取り方だった」

しっかり者に見える広瀬の弱さが暴かれるたびに、いたたまれなくなる。

■キレる深雪とキーマン・朔



自分から娘の誕生会をやるからと人を集めておいて、そんな場合じゃないからと、「嘘をついていた」「詐欺にあったのと同じ」と広瀬らを問い詰める会議に切り替える女傑・深雪(真飛聖)。自分以外の住人すべてからその意見を否定されるも「あなたたちには子どもがいないからわからない」と、またしても子どもを盾に。子どもを持ちたくても持てない奈々のことは見えていない。もはや独走の浮き具合で逆に痛々しいほどだ。

小学生の子どもの教育上よくないから対処(=出てけ)という深雪と、それに抗わず自分のような性的少数派はひっそり暮らすべきだと謝る広瀬。ここで奈々が立ち上がる。

「みんな同じ人間なのに、堂々と暮らせる人間とそうでない人がいるなんておかしい」

「人は誰だって自分が望む幸せを手に入れようとする権利があるはず」

すっごく正論だし、すっごく同意なのだが、なぜだろう、この深キョンに必死に球を集めてシュートさせてる感じが少々気になる。テトリスの赤い棒を譲ってる感じ。主役だから仕方ないのかもしれないが、無理に演説みたい言っちゃうシステムにせず、自然解決するのも見てみたい。

ここで、奈々に感動した朔が、「奈々に抱きついたら大器が発狂しちゃうから」との独自の理由で大器をハグするという珍行動。これに、全員笑ってしまい、ぎゅっと距離が縮まる(深雪以外)。退去間際なのに「だんだん、ここの人たち好きになってきちゃった」と、ちひろに思わせるなんて、やはり朔はキーマンだ。都合いい展開だが、朔の力で深雪を溶かしてあげてほしい。

翌朝、奈々が図書館で借りてきていた人工授精に関する本やネットなどで勉強した大器はまとめた資料を、奈々の母・春枝に手渡す。自分も反対だったが、調べてみたと。

奈々がやってることは不幸になるためじゃなく、幸せになるためにやっていることだと知ってほしいと。大器が夜通し勉強していたことを知り、沁み入る奈々。

次回、人工授精に挑むのか? そして最初のビラの犯人は?

話の合わなそうな人物同士がだんだん交わる感じが心地よく、くせになる展開。そして今回も大器の母を演じる高畑淳子の演技が見事。失礼ながら、こんなに目で笑わせられる方なんですね。高畑淳子主演のド・コメディが見たいです。次週も期待してます。
(文=柿田太郎)

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