“AはアルマーニのA”? 服をめぐる世界の“騒ぎ”

OVO

2018/2/9 16:22


 知育、徳育、体育、食育、そして今度は“服育”らしい。東京都の中央区立泰明小学校が、新年度からイタリアの高級ブランド、アルマーニがデザインを監修した制服を採用したことが話題になっている。読み書きの第一歩がABCの言語圏では、「AはアルマーニのA」と報じられ、「アルマーニからの献金があるか調べたら?」など冗談半分のコメントで沸いている。一方フランスでは、衣料品店が大量に“処分”した未使用衣類が問題になるなど、あちこち“服”周辺が騒がしい毎日だ。

モネが連作の題材として描いた大聖堂で有名なフランス・ノルマンディーの都市ルーアン。大聖堂から歴史的な時計台まで、旧市街の真ん中をまっすぐ伸びる石畳の通りにある衣料品店、Celioの店の前は、“モダンアート”で話題だ。同店が“切り裂き”処分にしてゴミ箱に入れた衣類を、誰かが夜の間に店のシャッターに次々に吊るしたものだ。「Celioのゴミの展覧会」と命名された写真は、2万4千件以上シェアされ、「路上で寒さに震えている人たちに顔向けできない」「寄付でなく、処分を定める法律を何とかしなきゃ」といったコメントがあふれた。

店側はこれらの抗議に対し翌朝、メディアの取材やツイッター上で「処分したものは穴やシミがあるなど、着られないものだった」と回答したが、実際にこの写真をアップしたナタリー・ボーヴァルさんは「店がカッターで切り裂いた部分をのぞけば、着られる状態のものが多かった。その“ゴミ”の中から一着持ってくるのをためらうほどだった」と話している。

パリでも久方ぶり、10センチ以上の積雪と極寒の冬を過ごしているフランスでは、路上生活者の“越冬”は想像以上に厳しく、マイナス7度の路上で暮らす人々に赤十字のスタッフが温かいスープを配るなど、毎夜必死の活動が続いている。凍死と隣り合わせの現代生活、「遠隔地の難民に送る予算がなくても、目の前にいる路上生活者に着せてあげるのはすぐにできること」という意見に多くの人が賛同。未使用であっても処分が必要な場合があるアパレル業界の事情を考慮してもなお、“一般人の感覚”として居心地の悪さが拭えない、迷いのあるコメントも多い。昨年、スウェーデンのファッションブランドH&Mが、売れ残りの衣類を毎年12トン分焼却処分していたことが報道された際も、そうしなければならない業界内の事情が説明されたが、一方で同じH&Mが「古着回収でクーポン券をくれるのに…」「古着はリサイクルできるのに、新品は?」と首をかしげた消費者が多かったことも事実だ。

“普通の感覚“を定義することはもちろんできないが、泰明小学校の決断が話題になったこと自体、「子どもの6人に1人が貧困」と言われる日本の公立小学校で、8万円以上する制服に違和感を持つ人が多いことの証左。全員が買えるか否かという「平等」の問題を脇に置いても、”何かおかしい…“という感覚を、あちこちで多くの人が共有しているようだ。

text by coco.g

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