欲しかったのはライバルに負けない個性。スズキ・スペーシアが踏み出した新デザイン

clicccar

2018/2/7 17:33


王者NーBOXや、トールワゴンの代名詞であるタントといった、強力なライバル達に対抗できる個性を打ち出したい。いままでの延長ではダメだ、と考えたデザインは一体どのように発想されたのか。さっそくチーフデザイナー氏に聞いてみました。

── 本日はよろしくお願いします。まず、基本骨格の話からお聞きします。新型は先代に比べてピラーを立て、ベルトラインを高くしましたが、これは当初から決めていた要件なのですか?

「はい、かなり早い段階ですね。当初は、先代モデルに準じたフローティングルーフのイメージで先行モデルを数台作ったんです。そこで、どうしたら存在感のあるクルマを作れのるかを検討する中、こうしたキーワードが出てきました」

── そこから、初期案となるスケッチは数多くあったのですか?

「先代のイメージを継承しつつ、立体を組み合わせたモダン建築的な提案と採用案の2つがメインでした。前者は都会的ではあるものの、機能的過ぎて遊び心が足りなかった。一方、後者のスーツケース案は当初から手応えがありましたね」

── 早い段階から、そうした「コレ」という案があるのはよくあることですか?

「以前は複数案を比較検討しながら1次、2次案と進めることが多かったのですが、当初イメージから徐々に離れてしまう傾向がありました。なので、最近はできるだけ初期スケッチのイメージをそのまま残すパターンが増えていますね」

── 新型の特徴として、フロントフェイスを「より四角く、厚みを持たせた」とありますが、その意図は何ですか?

「今回は全高も上げているのですが、そこでフードの高さをどうするかを何度も調整したんです。で、この全高でフードを先代並にすると、たとえばワゴンRの背をそのまま高くしたようなアンバランス感が出てしまう。先代も若干その傾向があったので、そこは修正したかった」

── 特徴的なビード(スーツケース特有のライン)の表現ですが、ボディサイドに比較的太めの線を1本のみとしました。これはどうやって決めたのですか?

「スーツケースのイメージではあるんですけど、ビードを2本、3本にしてしまうとトラックというか、商用車っぽくなってしまうんですね。太さや高さについてはいろいろトライして、ドアハンドルを収める位置がもっともいいだろうと」

── そのスーツケースの取っ手がモチーフという特徴的なピラーですが、それこそ商用車的になる心配はありませんでしたか?

「これはもう賛否両論で。とくに、単色ならともかく2トーンになると違和感が大き過ぎると(笑) ただ、今回は他社のライバルに負けない個性を与える狙いがありましたので、そこは押しとおした格好です。で、実車を見てもらうと意外にいいね、と」

── ボディ色ですが、比較的彩度を低くした渋めの色が多いですね

「先代は若いママさんがメインでしたが、新型は男性もターゲットにしていますので、たとえば金属の道具箱のようなイメージを出したかった。女性を意識したピンクにしても、あまりテカテカさせていません」

── 最後にカスタムについて。正直、標準モデルのデザイン意図と新型のカスタムの顔はちょっと合致しないような気がしますが……

「いや、実際にはいろいろな提案があったんです(笑) その中には標準モデルの特徴を生かした新しい見せ方もあったのですが、一方ではカスタムに対する動かし難いニーズもあるんですね。その点は今後の課題です」

── そこは、カスタムを置く意味がどこにあるかということですね。しかし、今後はもっとユニークなカスタムも見てみたいです。本日はありがとうございました。

(語る人)
スズキ株式会社
四輪商品・原価企画本部 四輪デザイン部 エクステリア課
課長代理 塚原 聖 氏

(インタビュー・すぎもと たかよし)

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