「有馬温泉」が人をひきつける理由/“別格”と呼ばれる温泉地の神髄は宿にあり

Walkerplus

2018/2/7 13:00

関西の奥座敷と謳われる有馬温泉は数ある温泉地のなかでも「別格」の地。多くの人をひき付ける魅力の核心を、老舗宿の宿泊を通して探ってきた。<※情報は関西ウォーカー(2018年1月23日発売号)より>

含鉄ナトリウム塩化物強塩高温泉の金泉は保湿効果があるだけでなく、肌触りがマイルドになり、保温効果もあると言われる。

■ 関西の奥座敷・有馬温泉は昔からこもる場所だった!?

日本三古湯として名高い「有馬温泉」。古くは飛鳥時代から時の天皇が行幸、戦国時代には豊臣秀吉が歴戦の疲れを癒し、その後は関西を中心に上流階級の人々に贔屓にされた、関西の奥座敷。金泉、銀泉という2つの湯は、環境省が療養泉として指定する9つの成分のうち7つの成分を含む、世界的にも珍しい温泉だ。

成分が複合した世界的にも珍しい有馬の温泉。金泉と銀泉があり、「向陽閣」の湯は金泉。

それを楽しみに出かけてみると、街には外湯が2つ、泉源が6つ、みやげ物店や観光施設が並ぶ通りが少しあって…。歓楽街があるわけでなし、見えるのは、街を囲むように立つ多くの宿。はて、多くの人をひき付け続ける魅力はどこに行けばわかるのか?

豊臣秀吉ゆかりの温泉地は、有馬温泉駅から太閤橋を渡って温泉街へ。泉源から上る湯煙が情緒を盛り上げる。

「有馬温泉は昔から、お宿にどっぷりこもって、温泉と料理を楽しむ場所なのですよ」。そう言うのは、「兵衛 向陽閣」の岸本宏史さん。有馬の宿は、元をたどれば12の宿坊に端を発する。それらが明治初期まではいくつかあった湯元の周りに並び、宿泊客は湯を外で、料理を宿で楽しんできた。宿坊はやがて旅館となり、わざわざ訪れる客を多彩な料理でもてなすように。だから今も、有馬温泉を満喫するなら宿を楽しむべし、なのだ。

では、有馬温泉の宿は、ほかとどんな点が違うのだろう。

■ くつろぐために手間を徹底!それが有馬流のおもてなし

「ひと言で言うと、徹底して手間をかけることでしょうか」と岸本さん。客室に入ったらまずお菓子とお茶でもてなし、旅の疲れを取ってもらう、夕食は部屋でくつろぎながら楽しんでもらうため、一度にすべて出すのではなく、食事の進み具合を見ながら供される。

客室に通されるとまず、お茶とお菓子の接待が。旅人をもてなす慣習が息づいている。

さらに「特筆すべきは料理かも知れませんね」と岸本さん。今でこそ地域の食材を使う宿も増えたが、昔から有馬温泉の宿の料理といえば、日本中から上質な旬の食材を集め、それを会席料理として提供してきたそう。

神戸ビーフや山海の幸を、見た目も美しい会席に。名物料理ではなく、上質な食材を各地から仕入れ、料理にすることが有馬としての誇りだ。

「上流階級の方が多かったことも影響しているかも知れませんが、それが有馬流のおもてなしで、“有馬の宿はどこに泊まっても料理が旨い”と昔から言われてきたんですよ」

バイキングプランでは、スイーツバイキングなど若い人が喜ぶメニューを用意し、年代を問わずもてなす。

向陽閣には内湯が3か所あるため、食後はまた金泉を楽しみ、その後は館内の施設でくつろぐ。リラクゼーションに卓球やゲーム、しっとりバーで語らうのもおすすめだ。夕暮れ時にちょっと温泉街を散策することはあれど、その後はチェックアウトまで宿の中で過ごす。そのために多様な施設が用意されているという、有馬はまさに、「おこもり」のための温泉地なのだ。

温泉といえばやはり卓球!予約しておけば利用できるので(1000円/40分)、食事のあとに楽しもう。館内にはカラオケもある。

三の湯の建物にはセラピールームも併設(有料)。金泉でポカポカになったら、アロマテラピーやマッサージで癒されよう。

■ “宿を楽しむために行く”それが有馬温泉の本質

つまり有馬温泉とは、訪れてあれもこれもと出かけるのではなく、「宿に泊まる」ことを目的に行く場所。美肌の湯と季節の料理、それを存分に堪能させてくれるのが温泉地としての有馬の伝統であり、名だたる温泉地のなかでも「別格」と言われる理由にほかならない。

朝、宿の人に見送られて再び温泉街へ。有馬芸妓が小唄や三味線を練習する音が聞こえる路地などを歩き、奥座敷と呼ばれる風情を感じて帰路へつこう。

温泉街散策へ出発!

古い街並みの中にある泉源や足湯、コロッケなどの名物グルメを巡ってみよう。

■ お話を聞いた宿「兵衛 向陽閣」

有馬温泉中心街まで徒歩数分の高台に立ち、創業から700年あまり続く有馬温泉最古の宿の一つ。明治時代に有馬温泉でいち早く内湯を備え、四季折々の食材を使った会席料理と共に、長い歴史の中で関西内外から訪れる人をもてなしてきた。館内に3つある温泉では金泉が堪能でき、趣の異なる湯処で、宿にいながら湯巡りができると好評だ。日常を忘れさせてくれる落ち着いたたたずまいとゆとりを感じさせる雰囲気にも、有馬の上質さを感じる。

スタンダードな客室でも広々としている。

北館から三の湯へ向かう渡り廊下。湯治宿を感じさせる雰囲気がおこもり感を盛り立ててくれる

一の湯。大きな窓から庭園と周辺の山々が見える和風の湯。格子天井が美しい内湯と、露天風呂がある。日替りで二の湯と男女入替。

二の湯。シンメトリーに配された柱や印象的な照明など、ローマ風の大浴場。こちらは露天風呂も洋風のしつらい。泡風呂やサウナも備える。

三の湯。渡り廊下が印象的な、湯治場風の母屋づくり。男女別に湯があり、自然を身近に感じる岩風呂の露天が魅力。内湯からも景色が見える。

2人以上なら食事は部屋食も選べる。おしゃべりも楽しみながら、一つ一つを味わって。

ロビーでは色浴衣のレンタルが男女共に可能(1000円)。館内散策の気分を盛り上げる。

ソファーが並ぶ湯上り処には鯉が泳ぐ場所も!

客室へ向かう廊下に宿の歴史がわかる写真も展示され、見て歩けば気分も盛り上がる。

名物の炭酸煎餅など、有馬土産が館内で買えるのも大旅館ならでは。

広い庭園と東西南北の4棟から成り、有馬最大級の浴場を備える大旅館。エステやバーなど館内施設も充実。

■兵衛 向陽閣<住所:神戸市北区有馬町1904 電話:0120-400-489 時間:IN14:30~、OUT~11:00 料金:2人1室(2食付き)バイキングプラン1人1万9764円~、部屋食プラン1人2万7324円~ ※別途入湯税1人150円必要 部屋数:129室 駐車場:150台(無料) 交通:神戸電鉄有馬温泉駅より徒歩6分>【関西ウォーカー編集部】(関西ウォーカー・編集部)

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