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投資信託の手数料、揺らぐ金額の妥当性

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 今年1月1日より「つみたてNISA」が始まりました(申し込み開始は昨年10月2日)。たび重なる対象商品の増加により、1月18日現在(金融庁のHPでは2018年1月12日時点)138商品でスタートしました。4年前の「NISA」と比較すると静かなスタートのようで、また、どれくらいの口座開設が見込まれるのかは定かではありませんが、これまで投資を行ってこなかった人への浸透度は、NISAと比べてかなり薄いと言わざるを得ません。日本証券業界調べでは、大手証券とネット専業証券の口座開設数は17年12月末時点で19万6000口座の開設があったと公表がありました。

とはいえ、つみたてNISAは投資期間が最長20年間であることから、時の経過とともに浸透度は高くなっていくでしょう。半面、20年の間に株式市場の急落があれば、人々の関心が薄れるかもしれません。貯蓄から資産形成へ山が動くのか(投資が根付くのか)期待したいところですが、一方で、対象商品の決め方に関しては一言もの申し上げたいのです。

つみたてNISAの対象商品は、信託期間が無期限か20年以上、毎月分配型ではない、運用管理費用(信託報酬)が一定の水準以下などの条件を満たした長期分散投資に適した投資信託です。その他、細かな条件は割愛させていただきますが、対象商品が当初のスクリーニングより大幅に増えた背景を考えると、金融庁、運用会社共に襟を正していただきたいと言わざるを得ません。

つみたてNISAの導入が決まった当初、モーニングスター等の投信評価会社が機械的にスクリーニングしたところ、その対象商品は50本前後でした。蓋を開けてみれば、その対象商品は先に述べたように138本と倍増を超えているのです。その理由は、条件を満たすために新規設定された投資信託が59本、確定拠出年金(DC)専用から一般販売へ転用される投資信託が19本、手数料の引き下げ等の商品性の見直しにより、要件を満たすことになった投資信託が16本あるのです。

ちなみに従来より要件を満たしていた投資信託は、上場投資信託(ETF)を含めて44本でした。DC専用からの転用の19本は問題ないと考えられます。なぜなら、DC専用商品は一般販売の商品よりも運用管理費用が低く押さえられているからです。一方、新規設定の59本、手数料等の引き下げの16本は問題ありと思われてならないのです。

●金融庁の“かけ声倒れ”

金融庁は、これまで投資に踏み出せなかった理由のひとつである「商品が多くて選べない」という声を反映して、つみたてNISAでは商品数を絞って選びやすくしたようです。実際、筆者が金融庁にヒアリングで呼ばれた時にも同様のことを統括官から言われました。しかし、駆け込みの新規設定商品も対象としたことから、同じ運用会社で同じ株価指数に連動する商品が複数本存在するのです。これではいたずらに商品数を増やしただけで「商品数を絞って選びやすくした」は、単なるかけ声倒れといえます。

百歩譲って新規設定はまだ許せるとして、手数料等を引き下げた投資信託、なかでも運用管理費用を引き下げた3本は、投資家に手数料引き下げを行った理由について説明責任があります。つみたてNISAが始まる前と始まった後の運用管理費用の違いの理由は何かという点です。

たとえば、純資産総額が大きくなった末の引き下げなら、ボリュームディスカウントというロジックが成り立ちますが、ただ単につみたてNISAの対象商品に認められるために運用管理費用を引き下げたのならば、引き下げ前の手数料率はいったいなんだったのか。本来徴収すべき運用管理費用よりも高い費用を投資家に負担させていたのではないか、と勘ぐりたくなるのです。

運用管理費用が低くなったことは朗報であることは事実ですが、つみたてNISA開始の前と後の費用の違いの理由を投資家にきちんと開示する必要があります。投資信託は個人投資家が「信じて託す商品」であるということを、運用会社には肝に銘じてもらいたいものです。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)

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