アニメも自作に乗り出した! 西武鉄道が目指すのは“秩父=アニメの聖地”の延命工作か

日刊サイゾー

2018/2/6 22:30


 西武鉄道が、秩父を舞台としたオリジナルアニメ『ちちぶでぶちち』を制作すると発表し、注目を集めている。秩父市出身の声優、黒沢ともよをヒロイン役に起用したこの作品は、約20分のショートムービー。3月公開予定で、順次情報を公開していくとしている。

この作品の特徴は、西武鉄道とトムス・エンタテインメントが制作する本気度の高い作品だというのに、目的が秩父の観光PRということ。現在、明らかになっている情報では、お見合いをすることになったヒロイン・薫子が、幼い頃に出会った名前も知らない少年との再会を願い、かつて訪れた秩父の名所を旅するという物語。

作中には、西武鉄道の運行する「西武 旅するレストラン『52席の至福』」のほか、長瀞や秩父神社など景勝地や名所が次々と登場。英語や中国語などの字幕も作成し、秩父の魅力を発信していく予定とされている。

秩父といえば『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』で、一躍大勢の観光客が集まるようになった「アニメツーリズム」の先進地域。『あの花』は劇場版が2013年。『ここさけ』も15年と、公開から少し時間が過ぎてしまったが、いまだに現地ではイベントが開催され観光客を集めている。

とはいえ、作品が終われば新規の客が見込めなくなるのが、アニメの聖地巡礼の宿命。

「いまだにイベントが開催されるから、なんとなく訪問はしていますけれど、自分自身の熱は下がってますね。これからも、秩父をずっと訪問するかは、わかりません」(アニメファン)

今回、西武鉄道が自らアニメ制作に乗り出した背景には、次のコンテンツを創出できない状況に切迫感があるように思える。

また、アニメに外国語字幕をつける戦略からは、リピーターに頼るだけでは限界だという意識も見える。

アニメの聖地巡礼で、成功している地域は、どこも名所や旧跡だけでなく、街並みが面白かったり、個性豊かな味のある店や人がそろっているところばかり。それでも、次第に人は減っていくもの。最盛期を維持するのは、ほぼ不可能であろう。

今回の西武鉄道の戦略には、秩父を常にアニメの聖地だと考えて訪れる観光客がいる土地にしたいという意志すら見え隠れしている。

果たして、そんなことは可能なのか。まずは、アニメの出来に注目したい。
(文=是枝了以)

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