コロチキ・ナダルの“テレビ的”じゃないリアクション イジられることを「仕事」と思わないから成立する仕事

日刊サイゾー

2018/2/6 18:00


 稀にバラエティ番組で「テレビ的なリアクション」なるワードを耳にするが、どういう意味だろう?

例えば、さして熱くない熱湯に入り、火傷したかのようにのたうち回る。大して痛手じゃない秘密を暴露され、焦って狼狽する。作り手の意図に率先して乗っかる芸人らの忖度した態度を指しているように思う。

揶揄しているわけではない。ガチとは異なる大向こう受けを意識したリアクションで笑いが発生。これが“芸”というものだ。

一方で、本気の感情が敬遠されているわけでもない。ガチで痛がり、ガチで嫌がる。そんな姿は希少なだけに、バラエティでは際立つ。

■イジられるナダルの狼狽に嘘はない



コロコロチキチキペッパーズのナダルは際立っている。彼はイジられると本気で嫌がり、本気で拗ねる。イジりを「仕事」とわきまえる芸人が多い中、彼の取るリアクションは新鮮だ。

1月31日に放送された『有田ジェネレーション』(TBS系)にて「芸人ディスり合いバトル」が行われた。普段言えない相方への不満を、ビートに乗りながら言い合う企画だが、ここにコロチキの2人が登場。

二人三脚で芸能界を戦うお笑いコンビは、他者が知り得ない相方の秘密を把握しているはず。今回のコロチキによるバトルは、秘密の暴露合戦という様相を呈した。

まず、西野は「4日連続風呂入ってなかった」と、相方の不潔さを指摘してナダルをディス。すると、ナダルは「彼女にションベンかけられて手錠かけられとった。俺より汚いって!」と、西野の性癖を公開する。

バトルが進むにしたがい、知られたくない秘密が多いのはナダルの方だと明らかになっていった。「お前の父さん、イナバ物置に何隠してんねん!」と西野に口撃されるや「それ言うんやったら解散やで!」と、彼はあからさまに狼狽するのだ。

かねてから言われているが、ナダルの父親は“何か”を収集し、イナバ物置に隠しているらしい。その“何か”を明かそうとすると、彼は頑なに嫌がる。他の芸人なら、嫌がりながら「おいしい」とこっそりほくそ笑みそうなものだが、ナダルはガチ。解散を匂わせてまで、秘密の公開を阻止するのだ。

それでいて、合間に「お前の家族は全員、自己破産!」と西野の恥部を堂々と公開するのはどういうことか? 抗いたい必死さの表れなのか。

それほどまで、ナダルにとって「イナバ物置」の話はNGらしい。ならば、他の話題はどうか。西野が「流れるプールの話はいい?」と確認を取ると、やはりナダルは「それアカンって」「(俺が)刑務所にぶち込まれるやんけ!」「ここから飛び降りて死ぬ」と断固拒否の構えを取る。

ナダルの嫌がりようは、さすがに異常だ。くりぃむしちゅーの有田哲平は「最近はヤバイと思わせる詐欺が多い」と彼の態度に疑問を呈したが、ナダルは「カメラを止めてもらったら大丈夫」と芸人魂のカケラも感じさせない折衷案を提示した。やはり、ナダルは本気だ。

■イジられたり意地悪されるのが大嫌いなナダル



2月1日放送『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で行われたのは「ひんしゅく体験! ナダル・アンビリバボー」。

ナダルを徹底的にイジり倒す恒例企画だが、本人は本気で嫌がっている。人気番組に1時間まるまる特集してもらう、芸人にとってこの上ないチャンスのはずだが、ナダルはそう受け取らない。彼はイジられるのが大嫌いなのだ。

事実、同番組で取り上げられることにより、ナダルは世間から不本意な対応を受けている。

「『キングオブコント』を獲ったときは“子どもたちのヒーロー”みたいな感じがきてましたよ。でも『アメトーーク!』出てから“お前、ヤバイな”って。年齢聞いたら、5歳ですよ!?」(ナダル)

「ナダル・アンビリバボー」以降、彼は5歳児からもイジられるようになってしまった。知名度は確実に上がっているが、こんな上がり方は本意じゃない。

FUJIWARAの藤本敏史から「アメトーーク! で実家にロケ行こうや」と提案されても、「アカンって!」とナダルは頑なに拒否している。イジられたくないのだ。とはいえ、『内村てらす』(日本テレビ系)には実家ロケを許可しているが……。

「『内村てらす』は正直、ほっこりした番組です。『アメトーーク!』はちょっとね、意地悪もあるかな。僕んちの親は意地悪NGなんすよ」(ナダル)

「意地悪されたらおいしい」と、計算を働かせないナダル。だが、嫌がれば嫌がるほど盛り上がる悪循環が起こってしまっている。

また、ナダルは『アメトーーク!』でも「イナバ物置」と「流れるプール」の件をイジられてしまった。この話題が出るたび、奇声を上げて中断させ、ついには帰ろうとまでしてしまう彼。「絶対に暴露してほしくない!」。ナダルの“本気”はもうわかった。しかし、その狼狽っぷりが面白くて仕方ない。

「ひんしゅく体験! ナダル・アンビリバボー」は人気企画だ。恐らく、今後も続いていくに違いない。しかし「この企画はおいしい」と彼が自覚したら、視聴者は即座に察知し、興ざめするだろう。

芸人としてのメリットを優先せず、嫌がる感情を露骨に出す。イジられることを「仕事」とわきまえないからこそ、成立する仕事。

テレビ界にありふれた打算には染まらず、ナダルにはそのままでいてほしい。
(文=寺西ジャジューカ)

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