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カーペンターズ『クロース・トゥ・ユー』とポリティカル・コレクトネス

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今回ご紹介するカーペンターズの『クロース・トゥ・ユー(邦題:遙かなる影)』はかれこれ半世紀に渡り親しまれてきた曲です。

しかし歌詞をよくみると、今どきであればポリティカル・コレクトネスを迫られかねない部分を含んでいます。

そこでこの曲のカヴァーの歴史を辿ってみると、やはりポリティカル・コレクトネスめいた動きがあったことがわかりました。

カーペンターズ・ヴァージョンの『クロース・トゥ・ユー』







『クロース・トゥ・ユー』の歌詞は、あまりにも魅力的な人物をひたすら讃えるという内容です。

バート・バカラックとハル・デイヴィッドのコンビの手によるこの曲は、1963年にリチャード・チェンバレンの歌唱によって初めて発表されました。

そして1970年、決定版とも言うべきカーペンターズによるヴァージョンが発表されます。

美しくロマンティックな彼らの『クロース・トゥ・ユー』は、同年のビルボードHot1001位となる大ヒットを記録しました。

以降あらゆる国や人種のアーティストがこの曲をカヴァーして現在に至りますが、そのほとんどはカーペンターズ版を原典としています。

『クロース・トゥ・ユー』は白人を讃える歌?



ただ歌詞を追っていくと、敏感な人であれば白人以外は抵抗を感じるのではないかという表現があります。

それは、"you"がなぜそんなに魅力的に生まれたのかを説明する箇所です。





*[]内は、引用元の歌詞では"and golden"ですが上記の聞き取りが一般的。

つまり、魅力的な"you"は金髪に碧眼であることが分かります。

これによって"you"はアングロサクソン系の白人だとみなされても仕方ないと言えるでしょう。

もちろん白人のカレン・カーペンターが歌えば何ら違和感はありません。

しかし白人種以外のシンガーがこのラインを歌えば、ニュアンスがかなり変わってしまう可能性があります。

黒人たちによる『クロース・トゥ・ユー』の歌詞改変



実はカーペンターズがレコーディングする以前に、『クロース・トゥ・ユー』を取り上げた黒人シンガーがいます。

ディオンヌ・ワーウィックは1964年にこの曲を吹き込みました。しかしながら問題の歌詞の部分はカーペンターズと同じように歌っています。

ディオンヌの本当の心情はともかく、白人マーケットを見据えた彼女のシンガーとしての立ち位置ををうかがわせる興味深い事例です。

同じように白人マーケットを無視できない立場に当時いたと考えられるのが、モータウンの歌姫ダイアナ・ロスです。

カーペンターズ版のヒット直後に彼女もこの曲をレコーディングしていますが、例の部分はやはりそのまま歌っていました。

対照的なのが、ダイアナ・ロスとほぼ同時期にこの曲を取り上げた黒人ジャズシンガー、ナンシー・ウィルソンのヴァージョンです。

彼女は例の部分をこう歌っています。





その後のカヴァー・ヴァージョンをいくつか確認したところ、アイザック・ヘイズやジェリー・バトラーなどの黒人シンガーがやはりこの部分を改変していました。

意外だったのは、社会派なスタンスで知られていたボビー・ウォマックが原曲の歌詞で歌っていたことです。

それぞれの思惑を想像すると興味が尽きませんが、最後に女性黒人シンガーのグウェン・ガズリーのヴァージョンを紹介して終えましょう。

1986年発表らしいシンセサウンドに変わり果てていますが、問題の部分も大きく変貌しています。





ここまで来ると、原曲の歌詞を誰しもが知っていることを前提として、あえてなんらかの意図を含めた改変のようにも思えます。

そう考えると一見軽薄なサウンドアレンジすら、アンチメッセージに聴こえて来るのが面白いところです。

TEXT:quenjiro

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