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雪深い栃尾の風土が育てた『越の鶴』 長岡藩の兵糧所だった歴史をもつ蔵元に聞く

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(©ニュースサイトしらべぇ)

越後の名峰・守門岳(すもんだけ)は、素盞鳴尊にまつわる伝説を秘めた神の山として中越地方の人々に親しまれている。なだらかなスカイラインを描き、壮大な山容を見せる山肌には、樹齢300年を超えるブナの原生林が広がる。 

■徳川8代将軍吉宗の時代から酒造り


(©ニュースサイトしらべぇ)

この山を源とする刈谷田川の上流、四方を山に囲まれた小さな盆地に位置する栃尾は、長岡市でもとりわけ雪深い里。

日本名水百選の泉が湧き出し、冬はすっぽり雪に覆われる自然環境は、酒造りにこの上ない好条件となっている。 越銘醸はこの栃尾で、江戸幕府8代将軍・徳川吉宗の時代から酒造りをしてきた。

「享保年間(1716~1736年)に創業の山家屋(やまがや)と、弘化2年(1845年)創業の山城屋が合併して、1934年にできたのが越銘醸です。旧栃尾で第1号の株式会社なんですよ」と解説するのは、6代目当主の小林幸久社長。

栃尾の歴史に精通し、この土地への並々ならぬ愛着が、言葉の端々にのぞく。

■戊辰戦争では蔵が長岡藩の兵糧所に


(©ニュースサイトしらべぇ)

栃尾人の誇りは、ここが名将上杉謙信の勉学を修めた地であること。幼少期を栃尾で過ごした長尾景虎は、栃尾から初陣の旗を上げて越後を平定し、上越の春日山城に移っていった。

小林社長はこれに続く栃尾のストーリーを物語る。

「ここは江戸時代、長岡藩栃尾組の代官町でした。1868年の戊辰戦争のとき、長岡藩は栃尾に退くことになり、当社は藩の兵糧所として使われたのです。蒸米用の大きな和釜を使って兵士ヘの炊き出しが行われました。

このとき指揮をとったのは、米沢藩上杉家からの応援隊を率いる青年武将・八木朋直でした。後に第四国立銀行の頭取になり、資金を提供して新潟の初代「萬代橋」建造に一役買うなど、新潟市民の生活向上に貢献。

新潟市長や県議も勤めた人物ですが、若き日、兵糧所を引き上げて米沢へ帰る際には、和歌を一首短冊に記して当社に残していきました」

今も蔵には戊辰戦争に関わった栃尾の歴史の一端が残されている。

■なめらかで丸みのある柔らかな酒が伝統の味


(©ニュースサイトしらべぇ)

こうした長い歴史を持つ越銘醸の酒は、なめらかで、丸みのある柔らかな酒質。寒仕込みと伝統の製法を大切にしているという。

「大雪の年には2~3mも積もり、雪に覆われた土蔵の中は低温で温度が一定しています。これが酒造りにはとてもいい環境なんです。うちの酒は栃尾の風土に育まれたものです」

手間もコストもかかるが、手造りを軸にした伝統の醸造法はこれからも続ける方針と、小林社長。すうっと味わいが膨らみ、後口がきれいな、すっきりした旨口。言わば「淡麗旨口」を目標に造りに取り組んでいる。

代表銘柄は『越の鶴』、1972年にそれまでの『越の川』に代わって誕生した。

「万人に好かれるのは難しいけれど、欠点のない酒が理想です。香りが強すぎてもだめ、個性が強すぎてもだめで、10人中8人が美味いと感じる酒を目指したいです」

そのために低温でコントロールする温度管理と、上槽の粕歩合に注意しているそうだ。

■栃尾の棚田産「越淡麗」100%で造られる『壱醸』


(©ニュースサイトしらべぇ)

また栃尾は県内有数の棚田の里。秋には黄金色に染まる稲穂の波が見られる。しかし中越地震後には、やむなく多くの耕作放棄地が出現した。 そこで立ち上がったのが地元の日本酒小売店有志。

「棚田の生き物を愛する会」を作り、酒米「越淡麗」を育て始めた。 越銘醸でも共に田植え稲刈りに取り組み、その米を使って酒を醸した。

一から育てて醸し上げたので『壱醸』の名を付けて販売。米の収穫量が限られているので、新潟県内限定流通となっている。新酒ができると毎年披露パーティーを開催してきた。

毎回プレミアが付くほど好評で、10年間もイベントは続いた。 栃尾の棚田産「越淡麗」100%で造られる『壱醸』シリーズもまた、この土地の風土か育てた名酒である。

逆に首都圏を対象とした新潟県外限定の銘柄もある。3年前に新しく立ち上げた『山城屋』というブランドだ。

「蔵の裏山には上杉謙信が初陣を飾った栃尾城があったので、山に城で山城屋という屋号で当社では代々お酒を醸してきました。

杜氏を中心とした若手の蔵人たちが、この銘柄をリニューアル。酒質向上に果敢に挑戦し、旨さに磨きをかけています」 同時に、「屋号をブランド名にするのは流行だしね」

と社長は時代を読む目も忘れない。

■歴史的価値や伝統を受け継ぎ良好に維持


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越銘醸の蔵は雪国の知恵・雁木が連なる雁木通りにある。建ててから220年も経っていて、表の外観は明治の頃のまま。

「数年前にリニューアルしようと、建築士に相談したんです。そうしたら、絶対このまま残すべきだと説得されました。補強にも新建材は使わない。えらい時間と費用がかかりましたが、なんとか昔ながらの風情を保つことができました」

この建物は、歴史的価値や伝統を受け継ぎ良好に維持して、地域の景観を造り出すことに貢献した、として2016年「長岡市都市景観賞」に表彰された。

(©ニュースサイトしらべぇ)

最後に、会社の経営で大切にしていることを尋ねると「法令遵守、歴史の尊重、科学の尊重、社員の福祉」との答え。

それは歴史を尊びつつも、科学の目を持って醸造に取り組む小林社長の姿勢を物語っていた。 それでは蔵が勧めるお酒を紹介しよう。

(1) 『こしのつる 大吟醸』


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蔵を代表するお酒で全国新酒鑑評会では3年連続金賞を受賞。フルーツのような華やかな香りが特徴。冷たく冷やしてワイングラスでどうぞ。

(2) 『壱醸 純米大吟21』


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栃尾の酒小売店7軒が地元の棚田で「越淡麗」を育て、その米で醸した純米吟醸酒。21%まで磨き、雑味のない香り華やかな酒に仕上がっている。県内限定流通。

(3) 『山城屋 純米吟醸 山田錦』


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「山田錦」を55%に精米して使い、香り・旨み・酸味のバランスが抜群。穏やかな香りと優しい甘みが心を捕える。首都圏対象の県外限定流通ブランド。

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(取材・文/八田信江

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