F1のグリッドガール廃止。日本の「レースクイーン」への影響を考える

clicccar

2018/2/2 08:03


すでにお伝えしたとおり1月31日にモータースポーツの最高峰であるフォーミュラー1(以下F1)は、公式サイトで「グリッドガールの廃止を決定する」というオフィシャルコメントを発表しましたが、日本への影響はあるのでしょうか。

F1が発表したグリッドガールの廃止ですが、多くの報道ではあたかも日本におけるレースクイーンと同じものだといわれていますが、実際は全くの別物であるといえます。

グリッドガールはF1を開催する現地プロモーターが選出もしくは採用する「スターティンググリッドにおいてチーム名、ゼッケン、選手名を書いたボードを掲出する」女性人員となります。

このプロモーターが選出もしくは採用し、ボード掲出を行う人員という名目のグリッドガールは、現在の日本の国内レースでは存在しません。同じ役割をする人員はグリッドキッズとしてレースに観戦に来た子供たちのうちの希望者から抽選などで選出され、スターティンググリッドでのボード掲出を行います。

国内のレースで唯一女性がグリッドボードを掲出するカテゴリーにSUPER GTがありますが、これもプロモーターやレース主催者が選出しているわけではなく、チームもしくはチームのスポンサーが選出し採用しているので、F1で言うところのグリッドガールとはカテゴリーそのものが違います。

日本で言うところの「レースクイーン」はスポンサー企業のロゴが入った衣装を身にまとって笑顔を振りまいて立っているだけ、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、そうではありません。

まず第一の業務としてスターティンググリッドに並ぶマシンのドライバーを直射日光や雨から守る、ということが上げられます。上の写真にしても麗しいポージングをしながらもドライバーを完璧に直射日光から守っています。

特にフォーミュラーカーは屋根が無いので雨ともなればドライバーはずぶ濡れになります。身を挺してその雨からドライバーを守るのがレースクイーンです。自分は雨に濡れてもドライバーは濡らさない、というところにプロ意識を持つレースクイーンは大変に数多いのです。だからこそレースクイーンは傘が必須アイテムなのです。

また、レース終了後にパルクフェルメにドライバーを迎えに行き、ドリンクを渡したり脱いだヘルメットを受け取るというのもレースクイーンの大事な仕事。

レースクイーンの発祥は日本だといわれており、鈴鹿8耐もしくは富士グランドチャンピオンシリーズのどちらかが始祖という説もあります。今までお伝えした内容の業務を行っていた女性スタッフにスポンサーロゴの衣装を着せてみたら大人気となったことが始まりで、そこから専任の女性スタッフがレースクイーンになっていったというのが定説です。

F1で言うところのグリッドガールとは全く違うもので、チームスタッフからの派生で誕生したものであるということはお解かりいただけたと思います。そして現在のレースクイーンの仕事には、上記業務のほかにスポンサーの商品やサービスをアピールするという広告宣伝業務も加わっています。

スーパーフォーミュラーやスーパー耐久などののスタート進行では、コントロールライン上に集合してセレモニーに参加するなどしてスポンサーのアピールを行います。またスーパー耐久のD-Station Fresh Angelsのように、参戦チームが大会スポンサーとなることでチーム所属のレースクイーンが大会のイメージガールと兼任になることもあります。

WEC世界耐久選手権などグリッドガールがはじめからいないカテゴリーの国際レースでは、開催国のアピールのためにセレモニーイベントを行いますが、そこに登場するキャストはレースクイーンとは別の存在となります。

これらを踏まえて今回のF1グリッドガール廃止の件を考えてみると、選出採用の手順や業務の内容などの違いから日本のレースクイーンに直ちに影響があるとは考えにくいと思います。

そして一説にある性差別問題でも、F1グリッドガール廃止の件が発表されてから多くの現役レースクイーンやレースクイーン経験者がtwitterなどのSNSで「差別を感じない」といい、また「レースクイーンという仕事に誇りを持っている」と発言しています。









この発表があってからさまざまな議論が起こっていますが、誇りが持てる仕事と胸を張って言える方々がいるのだ、ということは念頭においていただきたいと思います。

(写真・文:松永和浩)

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https://clicccar.com/2018/02/01/555659/

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