【比較】“赤文字系”の10年前とイマはこんなに違う!変わる「コンサバ女子」の価値観 



■“赤文字系”雑誌に異変……!?

かつて、女子ファッションを二分するものとして語られた、“赤文字系”“青文字系”
自分がそのどちらに属するかは、長い間女子たちのアイデンティティを語る上で重要なテーマになっていました。

ものすごく簡単にいえば、赤文字系は『JJ』や『CanCam』などのコンサバ系ファッションを。
青文字系は、『Zipper』や『CUTiE』などの個性派ファッションを指したワードです。

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しかし今、この2つのジャンルの境目は非常に曖昧なものになってきています。
とりわけ、“赤文字系”にいたっては、“異変”とも呼ぶべき大きな変化が起こっているのです……!
これは単なるトレンドの移り変わりというだけでなく、現代女性の価値観の変化が如実に表れていると思えてなりません。

そこでこの記事では、赤文字系雑誌の代表格『CanCam』の10年前と今を比較しながら、20代女性トレンドと価値観の変遷についてまとめてみます。

■『CanCam』の10年前と今を比べてみた

赤文字系雑誌がイケイケ(死語)だった10年前当時を知る現在30歳の筆者は、『CanCam』2018年2月号を本屋で見かけ、驚愕しました。

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……パンダ!!!

そう、これが今の“赤文字系”の実態なのです。

表紙にパンダの着ぐるみファッションを持ってくるって、個性派以外の何物でもないのでは……!?
何が言いたいかというと、『CanCam』という雑誌名を見つけるまで、パンダのインパクトといい、カバーガール・松村沙友理さんのメイクや表情といい、「パッと見、青文字系の雑誌かと思った」ということです。

一方、こちらが10年前、2007年11月号の『CanCam』。

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本当に同じ雑誌?と疑ってしまうレベルです。
強いて共通点を挙げるなら、エビちゃんの着ているモノトーンコーデが、パンダの着ぐるみと色合い的に遠からず、ということくらいでしょうか……。
10年という時間は、ここまで雑誌の印象をガラリと変えてしまうものなのかと、時の流れの影響度を実感させられます(ツライ)。

中身について、細かく違いをピックアップしていきます。

■専属モデル

■2007年

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蛯原友里、山田優、西山茉希ら、『CanCam』黄金期を支えたメンバーは正統派のモデル揃い。
一般読者が登場するページもあるものの、専属モデルでほとんどの企画が構成されています。

■2018年

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堀田茜、松村沙友理(乃木坂46)、中条あやみ他。
モデル1本というよりも、タレント、アイドル、女優など、それぞれメインとなる活躍の場を持っているのが、2007年と違っています。

また、10年前と比べると専属モデルの登場ページがかなり少なくなっているのも印象的です。
例えば2月号では『乃木坂46』やK-popアイドルの『Apink』 などのアイドルグループや、人気インスタグラマーの特集が大々的に組まれています。
このことから、『CanCam』専属モデルのステータスが、10年前と今では違っているといえそうです。

■よく使われるキーワード

■2007年

・愛され○○
・モテ○○
・本命○○
・売れてる○○
・マストバイ


紙面にはこれらのフレーズが多く飛び交っていました。
当時の『CanCam』は「世の大多数が選ぶ正解」を指南してくれる雑誌であり、『CanCam』読者もそれを求めていたということがうかがえます。
かわいい系の「エビちゃんOL」、キレイ系の「優OL」といったオフィスカジュアル特集が頻繁に組まれていました。

■2018年

インスタ映え

とにかくこれに尽きる!といった感じです。
インスタ映えするポーズやコーデなど、ざっとカウントしただけでも“インスタ映え”の企画で約60ページ!
10年前、あれだけ使われていた「モテ」や「OL」といったワードはほぼ登場しませんでした。
他に目立ったのは、くどいくらい繰り返される「かわいい」というワード。
女性の呼び方も、かつては「レディ」だったのに対し、今は「女の子」が主流になっているのもポイントです。

■ファッション

■2007年

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この時の赤文字系冬ファッションの定番といえば、「ミニスカート×ロングブーツ」
特に黒のロングブーツは、オフィスでもデートでも使えるテッパンアイテムとして、街行く女性の大半が履いていたといっても過言ではありませんでした。
全体的にモノトーンコーデが主流で、足をシュッと見せるファッションが人気であったとうかがえます。

■2018年

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10年前と対象的に、今は「ロングスカート×ショートブーツ」のスタイルが多め。
なぜか?
ふわりと動きが出せて、インスタ映えするから。これが大きな理由になっていそうです。
パステルカラーのアイテムが多く、ファンシーでふわふわした女の子らしいコーディネートが人気な模様。

■ヘアメイク

■2007年

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アイラインでしっかり目元を囲み、マスカラ命!!といったシャープなメイクです。
まゆげもしっかり“への字”を描き、どのモデルもキリッとした印象。
肌色は健康的で、シェーディングもばっちり入っていそう。リップはヌーディーカラーが主流です。
そして皆、髪はガッツリ茶髪の巻髪! これぞ、赤文字系といった王道のヘアスタイルでした。

■2018年

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なんと、そもそもメイクの特集ページが存在していませんでした
かつては10ページ以上割かれていたのに……!
“インスタ映え”を最重要目的とする今の『CanCam』読者にとっては、「リアルの世界でどんなメイクをするか」よりも、ポージングやロケーション含め、「写真でどういう印象を与えるか」が大事ということなのかもしれません(今どき、メイクはアプリでどうとでも加工できるのもあり)。

登場モデルたちのヘアメイクの傾向としては、髪のカラーは全体的にくすみがかったアッシュ系で、黒髪も多し。
そして10年前と圧倒的に違うのが、巻髪スタイルがほぼいないということ。ゆるふわなウェーブにウェッティなスタイリング……という抜け感が今のトレンドです。
まゆげはふんわり太めで並行が当たり前だし、お肌はとにかく色白で、そこにパッと目を引く赤リップ……といった具合に、この10年で女の子たちのおしゃれの方向性はかなり変化しています。

■その他

■2007年

分厚く、中身もレイアウトが細かいページが多い作りになっていました。
人気モデルが編集部ピックアップのアイテム紹介をするのがメインの雑誌だったと言えます。

■2018年

メイクやファッションの変化よりも衝撃的だったのは、16ページにおよぶ“パンダ特集”が組まれていたこと
上野動物園のジャイアントパンダ・シャンシャンのグラビアページに実に7ページも割いています。
これもひとえに、今の女の子の“かわいい”を刺激するために必要な企画なのでしょう。

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(写真はシャンシャンではありません)シャンシャン繋がり(※)で宝塚特集までもが組まれていたことで、わたしの中の“赤文字系”イメージは完全に崩壊しました。(かつての『CanCam』に、このようなカルチャー要素は一切感じなかった)

※宝塚歌劇団の舞台フィナーレで全員が手に持つ小道具の呼称。■コンサバの価値観が変わった

ということで、『CanCam』の10年前と今の比較をまとめると、下記のようになります。

・専属モデルだけが神格化されているわけではなくなった。
・SNSなど雑誌の“外”で活躍している人が大きく扱われるように。
・モテやOLという概念は薄れつつある。
・同性ウケしやすい「かわいい」を追求するようになった。
・とにかく「インスタ映え」を目的としたおしゃれが大きなテーマになっている。
・アイテムよりも演出方法を。“モノ”ではなく“コト”を中心に紹介している。


こうしてみると、『CanCam』はそもそものコンセプトを変えたのか?という気もしますが、そういうわけでもありません。

■10年前のコンサバは、結婚したがっていた

“赤文字系”とは、単なる雑誌のジャンルという意味ではなく、エビちゃんOLのようなファッションを好む女性たちの「コンサバティブ(保守的)」な価値観そのものを表していました。
つまり、「その時代のマジョリティ」であり、「悪目立ちしたくない」女性たちの好むファッションが、“赤文字系”なのです。

10年前のマジョリティが、エビちゃんOLであり、モテや女子力だったというだけ。
なぜならばあの時代はまだ今よりも、“結婚”が女性の人生で大きな目的になっていたからでしょう。
2007年11月号では、「新郎の職業別 恋を呼び込む♡HAPPYブライダルゲスト服」なんて特集も組まれているほどです。

■今のコンサバは、もっと広くモテたい

では今はどうかというと、昨年話題になったゼクシィのCMのように、「結婚しなくても幸せになれる」という価値観がずいぶん浸透してきました。
SNSの日常使いは当たり前で、10代20代のSNS利用率はほぼ100%近いとも言われています。

※総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」よりそんな世代にとっては、きっと、「男性からのモテ」だけではもの足りないのです
もっともっと、いろんな人たちから愛されたい。
そのために、できるだけ“正解に近い方法”を知りたい。
それが今のマジョリティな価値観だからこそ、「女性ウケなかわいい」や「インスタ映え」が、コンサバな赤文字系雑誌に反映されているのでしょう。

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赤文字系が変わったというよりも、世の中の根底にある価値観が大きく変わったことで、コンサバの見え方もそれに伴って変化した、ということではないでしょうか。

■赤文字系の根本は変わっていない

今の女子たちは、かつてのように赤文字系・青文字系と、わかりやすく分けられるわけではありません。
1つの雑誌に絶大な信頼を寄せているわけでもありません。
性別や年齢にとらわれなくなってきて、多様な生き方やスタイルを選択できる世界だからこそ、「自分で決めなくてはいけない」プレッシャーもあります。

こういった価値観や現状を理解したうえで“正解っぽいもの”を提示してくれる存在というのは、中々ありがたいのかもしれません。
10年前の『CanCam』が当時の「世の大多数が選ぶ正解」を指南してくれる雑誌であったことを考えると、根本的なコンセプトはブレていないように思います。

■かつてのコンサバ系は、逆に強い意志の表れ?

そして最後に。かつて世間の大多数が支持し、コンサバ系と謳われた「エビちゃんOL」のようなスタイルが絶滅したかと言われれば、そんなことはありません。
そういったスタイルを好む女性はもちろん今もいます。
男性からのウケも、相変わらずいいでしょう。

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ただ今は、「SNSではなく、リアルで男性にモテるファッション」を、意志を持って選択できる女性の方が、すっかりマイノリティな存在になったといえそうです。

今回紹介した“赤文字系”の変化は、「女性のファッションはその時代の流れを色濃く反映している」ということが、あらためてわかる一例でした。

(文・イラスト:佐藤由紀奈)

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