あなたや上司はどっちのタイプ?CEO型とCOO型をミルフィーユにせよ|革命を起こすチームの作り方【後編】


さまざまな人材が入り混じる組織で成果を出すには、どんな点に注意すればよいのか。前編では、NECソリューションイノベータ株式会社 イノベーション戦略本部長 八尋美徳さんが考える「CEO(最高経営責任者)型」と「COO(最高執行責任者)型」を紹介しました。引き続き、ハッカソンなどのファシリテーターで活躍する羽渕彰博(ハブチン)さんを聞き手に、その効果と応用方法をうかがいます。
CEO型とCOO型、互いに「不向きな作業」を避ける

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ハブチンさん 前回は、ビジョンを描くのが得意な「CEO型」人材と、プランをきちんと実行するのが得意な「COO型」人材が存在すると教えていただきました。

八尋さん 決まったことを作るだけだったらCOO型の人に設計を任せればいいんですが、何をするかわからない、IT以外の領域でも人やモノをつなげる作業が要るとなると、やはりCEO型が求められます。コネクタ、プロデューサー的な役割の人がいるから大きく改革できるんです。ただし、CEO型の人に「細かい実行プランを立てて、マネジメントもよろしく」と任せるといろいろと漏れが出てきますね。

ハブチンさん だからCOO型の人と組み合わせて、チームにすればいいと。

八尋さん ええ、日本企業にはCOO型人材のほうが多いと思います。プロジェクトマネジメントを学ぶときは「きちんと作る」ことが重視されて、新規事業を創出するよりプランをサポートするスキルが上げられます。COO型の活躍によって既存のプロジェクトがしっかり回っているケースはどの企業にもあるでしょう。ただ、彼らに「新しい発想でビジネスを起こせ、積極的に人をつなげ」と任せても良い結果は得られないと思います。やはり適性と仕事内容が合っていないからです。

ハブチンさん 僕は一人が両方を兼ね備えていないといけないと思っていたので、とてもつらいときがありました。独立したらなおさら「全部自分でやらなきゃいけない」と考えていて。

八尋さん きれいに二分されるわけではないんですが、人はだいたいどちらかの傾向を持っていると思います。私は30年以上九州でいろんなプロジェクトに携わり、数多くのチームを見てきました。その中で「あの人はここが足りない」「この部分はいい」と分析していくと、どうもみんなCEO型とCOO型に分けられるんです。

CEO型の人は細かく管理せず、自由に動いてもらったほうがパフォーマンスが上がる。COO型の人に対しては、実行決定プランのマネジメントに注力してもらったほうが良い結果が出る。この2タイプを組み合わせれば、チームとしてどんどん成長していくのだとわかりました。

ハブチンさん 僕も外からサポートしてくれる人を探して組むようにしたら、新しいプロジェクトがどんどん進むようになりました。面白いのは大きな規模の組織に限らず、僕のような数名の組織でもすぐ応用できるところですよね。

八尋さん 大切なのは、お互いのタイプを理解してリスペクトすることです。COO型からCEO型を見たとき「またあんな大きな話をして」と批判的に見るより「類い稀な発想をする面白い人なんだな」と捉える。逆にCEO型からCOO型を見たときは「いつも細かいことを言われる」と思うのではなく「実現可能な工程に落とし込んでくれる」と捉える。チームの中で相手の役割分担が理解できると、そのプロジェクトはスムーズに進みます。

ハブチンさん 今はCEO型の人が持てはやされて、スポットライトが当たることも多いですよね。でもCOO型にも大切な役割がある。
自分は、上司や部下とミルフィーユになっているか

八尋さん 組織やメンバーの方針によって、成長には2通りあると思うんです。1つは、COO型の延長でも地道に進めた先に大きく伸びるもの。いわゆる「改善」の延長に「改革」があったケースで、多くの企業が実践し実績もあります。もう1つは、CEO型が外からいろんな刺激を受けて、新しいモデルを見つけるもの。CEO型とCOO型、どちらも主導になり得ます。私たちも両方の可能性を模索しながら新規事業の種をまいているところです。

ハブチンさん 自分がどちらのタイプか知るのは大切そうですね。

八尋さん そうですね。「こういうタイプと組まないと進まない」というのは、理解すると仕事がはかどるでしょうね。組織長や社長の立場にある人は、意識しているかどうかわかりませんが自分と反対のタイプを側に置いていると思いますよ。CEO型の人は部下にCOO型の人をつけていたり、COO型の人はCEO型の人と組んでいたり。

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ハブチンさん 自分の上司がどちらなのかも知ったほうがいいですね。「ちゃんとマネジメントしてほしい」という不満があったとしても、実は上司がCEO型だと理解したら納得するかもしれません。だったら自分がCOO型に徹してフォローしたほうがうまくいく。

八尋さん CEO型がCOO型も行うようなマイクロマネジメントまで始めると、誰も刃向かえなくなって言われた通りにやるモデルに落ちると思います。それは部下が成長しにくいし、CEO型の良さを減少してしまいますよね。逆にCOO型が上司だと、細かい実行はできたとしてもベースを広げて展開するのが難しいでしょう。自分がCEO型ならフォローすればいいし、COO型なら別のところからCEO型を見つけて一緒に考えられるようにすればいい。

ハブチンさん システム開発の現場だとCOO型のリーダーにCOO型のマネージャーがついているような気がしますが、どうですか。

八尋さん きちんと作るのをミッションにしている組織はCOO型にCOO型を重ねている場合がありますね。ただ下から見たら、直属上司の細かさともう1つ上の上司の細かさの二重の細かさによって、何も通らないかもしれません。これでは組織が疲弊するので、やはり意識してCEO型とCOO型を混在させたほうがいいと考えます。私はこれを「ミルフィーユ型組織」と呼んでいるんですが。

ハブチンさん CEO型にCOO型を重ねるのがミルフィーユなんですね。考えてみると、このミルフィーユはいろんな場所にありますね。部署のチーム内それぞれにCEO型とCOO型がいるのと同時に、部署自体は旗振り役のCEO型本部長と実行するCOO型メンバーで構成されています。会社の組織で考えたら「イノベーション戦略本部」自体が社内でCEO的な役割を持っていますよね。

八尋さん その役割分担をみんなが認識し合っていれば、組織はうまくいくと思うんですよ。1つの人や組織にCEO型COO型両方を求めるようなことをすると、どちらかが足りないことに対して不満も起こるし、フォローにも漏れが出てしまいます。

ハブチンさん チームリーダーでも組織長でも、編成するときは「いかにミルフィーユを作るか」を考えるといいですね。

八尋さん お客様で一番印象的なのが福井県鯖江市なんですが、ここはCEO型とCOO型のミルフィーユが非常にうまく作られている組織でした。

鯖江市は2015年、民間企業社員を職員に迎えて地域課題をともに解決する「コーポレートフェローシップ」を募集、弊社が選ばれて3カ月間スタッフを派遣しました。ここの市長さんは典型的なCEO型で、どんどん新しいビジョンを出して取り組む方です。それが単なる大風呂敷で終わらないのは、そばに調整力に長けたCOO型の情報統括官がいらっしゃったからでした。それに加えてCTO(最高技術責任者)を担う地元ベンチャー企業の専門家がついていて、お互いに役割がわかって意見をぶつけ合うんです。これも、ベースになる地元愛やお互いのリスペクトがあったから実現できているんでしょうね。

ハブチンさん そうか、ただスキルがある人を連れてくるんじゃダメなんですね。目標を共有して、自分事で考えて動いてくれる人だから信頼するし、つながることができる。

八尋さん 私たちの目標は「社会課題解決で地域が活性化すること」です。これを大きな軸にするとみんなのベクトルが合うのではないかと考えて動いています。

ハブチンさん 1社だけ儲かるのではなく、みんなが儲かる。お客さんというよりパートナーかもしれないですよね。そのために「CEO型とCOO型のミルフィーユで組織を作る」のはとても有効だと思います。今日は詳しく聞けてよかったです、ありがとうございました!

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インタビュー・文:丘村 奈央子 撮影:竹内けい子

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