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必要なのは、言葉? キャリア? 文化? スウェーデンに家族で移住したエンジニアに聞く、ビジネスパーソンが海外へ転職する方法とは

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転職、独立、結婚、妊娠・出産に移住など……。人生には幾度もライフステージが変化する場面があります。仕事もプライベートも、ライフステージをどう変化させるかによって、その後の人生は大きく変わるでしょう。

ライフハッカー[日本版]は、そんなライフステージの変化を応援、後押し、サポートしていきたいと考えています。その一環としてはじまったのが「Lifestage Hackers」というイベントです。

さまざまなライフステージの変化を先人の経験から学ぶ本イベント。第1回目のテーマは『スウェーデンへ家族と移住したエンジニアが語る、サラリーマンが海外へ転職する方法』です。今回はライフハッカー[日本版]にも寄稿いただいている、スウェーデン在住のエンジニア・吉澤智哉さんにご登壇いただき、海外移住と海外転職のリアルを伺いました。

スウェーデンでは珍しい、家族4人での移住

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Photo: 小山和之

イベントは吉澤さんの自己紹介と、現在お住まいのスウェーデンのお話からスタート。吉澤さんは現在36歳。奥様と4歳と5カ月のお子さんの4人暮らしです。吉澤さんが移住したのは昨年の3月のことでした。

吉澤「スウェーデンには1500~3000人ほどの日本人が住んでいるそうですが、その大多数はスウェーデンの人と結婚した日本人の女性のようです。私たちのように家族で移住してきた人はかなり珍しく、大使館の方にも驚かれました」

吉澤さんは、自動車産業でキャリアを歩んでおり、日本ではホンダ、BMWとキャリアを重ね、現在はスウェーデンに本社を置く自動車部品メーカーOHLINSオーリンズ)に勤めています。

吉澤「OHLINSは自動車業界では知られている部品メーカーです。ただ業界内ではかなり珍しい小規模な会社で、全世界で300人ほどしか社員がいません。私は現在VOLVOの新しいEVブランド「ポールスター」へ供給する部品に携わっています」

妻と子どものために選んだスウェーデン暮らし

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Photo: 小山和之

続けて、移住したきっかけをお話しいただきます。吉澤さんがスウェーデンへ移住するきっかけとなったのは、ある1通のLINEでした。

吉澤「タイトルも本文もない。URLだけが書かれたLINEが突然送られてきたんです。送り主は日本に住むスウェーデン人の友人。そのURLをクリックするとOHLINSの求人票だったんです」

友人は、その求人票に載っていたキャリアが吉澤さんにぴったりだと思い送ってくれたそう。ただ、吉澤さんはこの時点で移住を考えていたというわけでは無かったといいます。

もともと吉澤さんはスウェーデン人の友人がおり、彼の話を聞く中でスウェーデンの暮らしに家族共々興味は持っていたそう。送られてきた求人票を目にし、吉澤さんはあらためて移住を検討。2つの理由から移住の道を選んだといいます。
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Photo: 小山和之

吉澤「1つは子どものためです。子どもを育てるのに自然がある場所に行きたかった。また将来を考えたときにスウェーデンであれば女性として豊富な選択肢があります。出産などで離職した場合でも当然復職できますし、女性管理職の数も多い。加えて教育費も無料なので、何の心配もなくよい教育を提供できると考えました。

もう1つは妻のためです。妻は保険会社に勤めていましたが、復職後に『子どもとの時間』が充分にとれないと思い退職しました。その後、大学の通信課程で児童学を学び始めましたが、ここでも卒業後の働き方に疑問が残っていたようです。そこでワークライフバランスが整っているスウェーデンで職を得ることの方が、妻の望むようなキャリアになるだろうと話し合い、移住することを決めました」

吉澤さん自身は、当時働いていたBMWの仕事が楽しくなってきたタイミングで、仕事の内容を理由に辞めるつもりは無かったそう。ただ妻と娘の幸せを考え、最適な選択肢をとることを決意したといいます。

乗り越えるべきは言葉の壁ではなく、文化の壁

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Photo: 小山和之

ここからは、吉澤さんから移住を検討している人に向けてのアドバイスをいただきました。はじめにお話しいただいたのは、移住に向けてのハードル。真っ先に思い浮かぶのは言葉の壁かと思いきや、考えるべきは文化の違いにあると吉澤さんはいいます。

吉澤「まず考えるべきは文化の違いです。もちろんよい面もたくさんあります。たとえば、働き方。スウェーデンはほぼ残業をしません。さらに有給は年6週間育児休暇もとても長く、休みが多すぎてすべてを消化するのが大変なほどです。

一方で驚くような違いもあります。日本では死刑が当たり前ですが、欧州ではまったく逆です。双方の違いを客観的に捉え、自分の意見を持つことが求められます。日々の生活で何かの違いに直面した時に、それが文化的な違いなのか、それともただ単に自分が無知なだけなのかを問われるシーンも出てきたりします」

文化の違いを受け入れ、さらに自分の意見を持てるかが鍵になると吉澤さんは考えているんです。一方、言語はどうなのでしょうか。とりあえず英語を勉強しておけばよいと思いがちですが、吉澤さんは「とりあえずの英語はいらない」といいます。

吉澤「とりあえずで英語を勉強するくらいであれば、しなくていいと思います。自分が何語をやるべきなのか、それをまずじっくりと考えてから取り組むべき言語をやった方がいい。学ぶべき言語が決まったら、その国の友人を見つけましょう。友人がいた方が圧倒的に学べることが多いです。私がスウェーデン人の友人がいて、彼と遊ぶなかで学んだことがたくさんありました。

私は現在スウェーデン語の習得に苦労しています。いくらスウェーデン人が英語に堪能とはいえ、彼らの社会に完璧に溶け込むにはやはり彼らの母国語を話さないといけません。彼らスウェーデン人にとっても英語は外国語であり、所詮”とりあえず”の位置付けなのです。私は普段の仕事は英語でやっている故、なかなかスウェーデン語が上達しません。一方で、英語が得意でない妻は、既にスウェーデン語の方が上手く話せます。といったように、英語が必ずしも常に良い方向に作用するとは限らず、諸刃の剣とも言えます」

一貫性と説得力のあるストーリーが必須

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Photo: 小山和之

言葉、文化の壁をクリアすれば、あとは実際に海外企業への転職へ向けた活動を進めるだけ。とはいえ、日本とは勝手が異なる海外企業への就職活動。吉澤さんからは各ステップでアドバイスをいただきました。

吉澤「まずは職務経歴書を用意しましょう。私は今も月に一度はアップデートし、常に最新の状態で手元に持っています。というのも、グローバルで募集をかけている企業は『明日送ろう』『整理してから送ろう』と思っている間に世界中から何十件もの応募があるからです。少しでも興味を持ったらすぐに応募し、悩むのはオファーをもらってからにしましょう」

職務経歴書が準備できたら、続けて求人を探します。吉澤さんがオススメするのは、グローバルで展開する人材会社のサイトで国名を表すドメイン(.com/.jp/.cnなど)を変えて検索すること。すると各国の募集が簡単に見られるので、気になる国をドメインを変えながらみていくとよいとアドバイスいただきました。

次はいよいよ、正念場となる面接。海外から移住して転職するには、明確な理由を説明できなければいけないと吉澤さんは語ります。

吉澤「一貫性と説得力のあるストーリーが必要です。私も先ほど理由を簡単に説明しましたが、ああいった説明が面接でも必要となります。移住して転職する人を受け入れようとすると、企業側も面倒な手続きが必要です。

『そこまでしたのにすぐ辞めて日本に帰ってしまわないか』と海外企業の人事は考えています。それは本人だけの問題ではありません。配偶者の問題で帰国してしまう人も少なくないので、家族を含めて検討することが必要です。実際、面接の半分は妻や家族の話をしていました」

質疑応答

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Photo: 小山和之

イベント後半には質疑応答の時間が設けられました。今回の参加者は、約半数が吉澤さんと同様にエンジニアリングに携わるお仕事をされていらっしゃる方。また、7割弱の方が配偶者が、4割近くの方はお子さんがいらっしゃるという、境遇の近い方が多い印象でした。

Q1:OHLINSを選んだ理由は?

吉澤「私のキャリアとぴったりだったからです。OHLINSが募集していたのは、品質を理解した上で設計ができる人だったのですが、私はホンダで設計を行い、BMWでは品質保証を担当していました。よくいわれることですが、キャリアはかけ算した方が強い。同じ所にこだわりすぎなかったのが功を奏しました」

Q2:なぜ北欧の人はそこまで休めるのか? 日本の会社とヨーロッパの会社で何が違うのか?

吉澤「ひとことで言えば、社会のスピードが異なるからでしょう。体調を崩したら休みますし、子どもが小さいうちはあまり働けないのは当たり前。それを社会全体として理解しています。スローライフという言葉がありますが、彼らは普通に歩いているだけ。日本人は走りすぎているのだと思います」

Q3:とはいえ、国際社会で競争が生じると走らざるを得なくなるのではないでしょうか?

吉澤「その代わり効率化するという考えなのだと思います。日本でムダだと思うことはたいてい海外で行われていません。決断も早いですし、承認のようなものもほぼなく、効率がいい。日本でも働き方改革が叫ばれていますが、根本的に社会の速度をもう少しスローにすることが必要だと思いますね」

海外移住のハードルを高く持ちすぎないこと

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Photo: 小山和之

転職のきっかけから、具体的なステップ、海外での暮らしまで幅広く移住についてのお話を聞かせていただいた今回。吉澤さんの経験を自分事にし、具体的なステップに踏み出せるよう、移住を考える人へ吉澤さんからエールをいただき、会の締めとなりました。

吉澤「海外移住というと、ハードルを高く考えがちですが、実際はそんなことありません。私も、妻も娘も順応していますし、人間の環境適応能力は尋常ではないと実感しています。ですからとりあえず応募してみましょう。他の国の人たちはもっと気軽に転職していますから」

ライフハッカー[日本版]では今後も、ライフステージの変化を応援するイベント「Lifestage Hackers」を開催していきます。1月に開催した「男性の育児休業」をテーマにした第2弾イベントの模様も、近々お届けいたします。

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ライフハッカー[日本版]を運営する株式会社メディアジーンでは、多様性や働き方に焦点を当てたイベント「MASHING UP」を2月に開催いたします。

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