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ダウンタウン黒塗り論争でタレ流された「日本に黒人差別はない」は嘘だ! 青山テルマやオコエ瑠偉が受けた差別

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 本サイトでも何度も取り上げている「黒塗り」問題。ご存知の通り、昨年大晦日に放送された『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時!』(日本テレビ)にて、浜田雅功が『ビバリーヒルズ・コップ』のエディ・マーフィーのコスプレという設定で顔を黒塗りにしたことが、日本のみならず、イギリスBBCやアメリカのニューヨークタイムズも報じるなど、国際的な問題となった。さらに渦中の6日に放送された同番組の完全版でも、問題の「黒塗りメイク」部分はそのまま再放送が強行され、テレビ局側の意識の低さが改めて浮き彫りとなった。

この問題について、1月14日放送『ワイドナショー』(フジテレビ)で騒動後初めて松本人志がコメントしたが、そこで松本は、謝罪するわけでも、正当性を主張するわけでもなく逃げのコメントを重ねた。そして挙げ句の果てには、「じゃあ、今後どうすんのかなって。僕らはモノマネタレントではないので、別にもういいんですけど、この後、モノマネとかいろいろバラエティ(番組)で、じゃあ、今後黒塗りはなしでいくんですね。はっきりルールブックを設けてほしい」と発言。指摘されている問題を丁寧に検証することも、今回の騒動を今後の番組づくりに活かすための努力も完全に放棄した「思考停止」の宣言までする始末であった。

エディ・マーフィーのコスプレと称した黒塗りのなにが問題なのかについては、本サイトでも検証した記事を配信しているが(http://lite-ra.com/2018/01/post-3718.html)、この騒動を受けてさらに頭が痛くなったのは、「黒塗りのなにが問題なのかさっぱりわからない」「日本には黒人差別はないから問題ない」といった意見が少なくない数聞かれたことだ。

日本には黒人差別がない? 本気でそのようなことを言っているのなら、その人の見識の狭さを疑わざるを得ない。

なぜなら、日本国内においても黒人差別の問題は星の数ほど転がっているからだ。それを端的に示すのが、アフリカ系をはじめとする非白人のハーフやクォーターをめぐる問題だろう。

たとえば、トリニダード・トバゴ人の祖父をもつ青山テルマは、昨年2月に放送された『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ)で、幼稚園のときに受けたいじめをこのように語っていた。

「小さいときはもう、辛かったけどね。『あの子、肌の色が違う!』みたいな。『何だ、アイツ』みたいな。『黒人だ!』みたいなとかさ。なんか、『ゴリラ! ゴリラ!』とか、超近所の子に言われたりとかさ。『テルマって黒人だから将来心配だよね』とか。『ホント、テルマちゃんってブサイクだよね』とか普通に言われてた」

いくら子どもの言うこととはいえ、あまりにひどすぎる。もちろんこれが単なる子どもの戯れ言などではなく、日本社会の差別意識を反映したものであることは言うまでもない。そして、このような構図は、ハーフやクォーターの子どもたちが大人になってからも続くのだ。

●学校生活、職探し、恋愛......、アントニーが語るアフリカ系ハーフの苦労

そういった差別をめぐる問題は、たとえば、職を探すときなどに表面化する。お笑いコンビ・マテンロウのアントニー(本名・堀田世紀アントニー)は、アフリカ系アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれたハーフだが、「女性自身」(光文社)2014年4月15日号に掲載された、植野行雄(デニス)と春香クリスティーンとのハーフ芸能人座談会のなかでこのように語っていた。

「ハーフって名前で驚かれるよね。アルバイト応募の電話をかけて「堀田世紀です」って、流ちょうな日本語で言っても、相手は何も感じない。ところが、いざ面接に行くと、キョトンとされるの。しかも、受からない!」

アントニーといえば、「中学生のとき英検5級に落ちたことが学級新聞の1面になって号外まで配られた」などの「ハーフあるある」を面白おかしく語る芸風で知られるが、この英検をめぐる鉄板ネタも、そもそも一般の生徒なら英検5級に落ちただけのことでそんな騒ぎにはならないし、芸人らしく笑いにつながるように語ってはいるがこれ自体がひどい差別被害エピソードである。

また、アントニーは同座談会のなかで、恋愛をめぐる話もこのように語っている。

「もし僕らが英語を話せたら、恋愛の可能性も無限に広がってたと思わない? この小さな島国で生まれ育って、日本人と恋愛しようとしても、相思相愛になる確率ってとんでもなく低い」

ここでアントニーは「恋愛」とだけ言っているが、この発言の言外に、結婚しようとした際に婚約者の親族との間に生じる軋轢やそもそも外国人(のように見える外見)を恋愛対象から除外する日本人の差別意識をにおわせていることは間違いないだろう。

こういった事情があるのにも関わらず、なお「日本には黒人差別はない」などと言えるだろうか。

今回の『笑ってはいけない』は、全国放送される大晦日の目玉番組で差別につながる表現が無自覚に垂れ流しにされたから海外をも巻き込んだ大炎上となったわけだが、残念なことにこういった差別表現がメディアを通して広く発信されることは日常茶飯事で起きていることである。

●オコエ瑠偉に対するスポーツ新聞の記事が差別的であると炎上したことも

その典型例が、15年の夏の甲子園で起きた騒動だろう。この大会では、関東第一高等学校(当時。現在は東北楽天ゴールデンイーグルス所属)のオコエ瑠偉選手の活躍が大きな注目を集めていた。

オコエ選手はナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれたハーフだが、そんな彼の甲子園における活躍を報じた8月12日付スポーツ報知の記事が偏見と差別を助長する表現を用いたとして問題視された。スポーツ報知はオコエ選手をアフリカの野生動物に喩えて、このように書いたのだ。

〈真夏の甲子園が、サバンナと化した。オコエは本能をむき出しにして、黒土を駆け回った〉
〈野性味を全開〉
〈味方まで獲物のように追いかけた〉
〈ヤクルト・小川シニアディレクターは「本能を思い切り出す野獣のようだ」。ロッテ・諸積スカウトは「ストライドが長い。ヒョウみたい」。スカウト陣からは野性的な賛辞が続出した〉
〈飢えたオコエが、浜風をワイルドに切り裂く〉

明らかにオコエ選手の活躍とアフリカ系の出自とを結びつける記事に、ネットでは「アフリカ出身の父を持つだけで動物扱いかよ」「レイシズムの見本市」「気が利いたこと言おうとして無自覚な差別意識がダダ漏れ」と批判が続出。報知新聞社は、こうした声を受けてウェブ版の該当記事を取り消している。

ガキ使の黒塗り擁護派が"差別の意図ではなくリスペクト"などと主張していたように、この記事を書いた記者も明確な悪意はなく褒めたつもりなのだろう。しかし、「黒人の血をひく人は運動能力が高い。ワイルドである」といったように、人を定型の鋳型にあてはめることこそが差別であるということを知っておかなければ、このような事態は繰り返されるのだ。

また、さらに問題なのは、この記事が世に出るまでの間、編集長をはじめ複数の人の目に触れているはずなのにも関わらず、このような表現は差別的なものとして受け止められるという指摘が誰からも出されなかったというところである。

以上述べてきたことからわかる通り、日本において「黒人差別」は確実に存在する。アフリカ系に対する差別だけでなく、在日差別も熾烈を極めており、人種差別・民族差別は対岸の火事などではまったくない。むしろ「日本に差別はない」という認識そのものが、差別問題に対するに問題意識の低さを表している。

だからこそ、差別をなくすためにも、メディアは差別問題をスルーせず報道することがとても重要なのだが、肝心のメディアの差別に関する意識やリテラシーが現在のような惨憺たる状況ではお話にならない。

「日本には黒人差別はないから問題ない」などといった意見が流布される状況になった責任の一端は、間違いなくメディアの意識の低さにある。

今回の『笑ってはいけない』騒動は、ある意味では学びの機会にしなくてはいけない。日本のメディアは、差別をないものとして見て見ぬふりをするのでなく、思考停止するのでもなく、正面から差別問題と向き合うべきだろう。
(編集部)

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