世界も認める“82歳のおばあちゃんプログラマー”に聞いた「楽しく歳をとるための秘訣」&次世代へ伝えたいこと

ウレぴあ総研

2018/1/31 11:30

最近、本屋さんでもよく見かけるようになった「人生論」についての本。

「超高齢化社会」や「人生100年時代」といった言葉が飛び交うなか、老後の生き方に不安を抱える世代の道しるべとして、人生の諸先輩方が綴る「人生論」には勇気がもらえます。

それら多くの「人生論」著者のなかでも、特に異彩を放っているのが “82歳のおばあちゃんプログラマー”若宮正子さん。

60歳で定年したのち出会った、パソコンとインターネット。すっかりハマった若宮さんは、プログラミングを勉強し、81歳でiPhoneのゲームアプリを開発。

2017年6月、米アップル社の「世界開発者会議(WWDC)2017」に招聘されたことをきっかけに、国内外で“コンピューターおばあちゃん”として一躍有名になります。

2017年9月には、安倍政権による「人生100年時代構想会議」の有識者として選出され、シニアが活躍できるような社会づくりを提言。自らも自宅でシニア向けのパソコン教室を開くなど、その活動は多岐にわたります。

年齢や性別にとらわれることなく、自由な発想でいきいきと人生を楽しむ若宮さんのユーモアあふれる言葉には、楽しく歳をとるための秘訣や次世代へつなぐ思いが詰まっていました。

■ 女性が活躍できる時代だからこそ、性別や年齢にとらわれないで!

──WWDC 2017に招聘され、「人生100年時代構想会議」では有識者として参加されている若宮さんですが、昨年末には日経WOMANが選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018」も受賞されたということで。

そうなんです。「人生100年時代のロールモデル賞」をいただきました。恐縮しちゃいますよね。

でも、同じく受賞された方々が、すごく素敵で素晴らしい女性ばかりだったので、「ああ、いまの時代は女性もどんどん活躍する場があるんだなあ」と実感しました。

──女性が活躍できる時代に、なにか若宮さんなりのアドバイスはありますか?

「女性だから」とかって、あんまり考えないほうがいいんじゃないかと思います。

私も「高齢だから」っていうのはあまり考えません。チャレンジがうまくいかないこともありますが、それは年齢のせいではなく、自分の努力や知識が不足しているだけなんですよね。

だから、あんまり性別や年齢を意識しないで、「同じ人間なんだから、私にもできるはず」って考えて、なんでもチャレンジしてみると良いのではないでしょうか。

──若宮さんが未知なるチャレンジをされるときは、どんな気持ちで臨んでいますか?

すべて「80'sの冒険」だと思って挑戦しています。本当に大冒険ですよね。

──冒険をするうえで心がけていることなどはありますか?

『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』にも書いたのですが、「やりたいと思ったことは、とりあえずやってみる」ということですね。

私はいつも「これをやりたい!」と思ったら、それだけに集中して、とりあえずやってみちゃうんです。

そうやってやりたいことをやってきて、82歳になったいまも、やりたいことがたくさんある。でも最近は忙しくて時間が足りないんですよ……1日がもう少し長いといいのに!

──2017年6月のWWDC2017に出席されてからまだ半年ちょっとですが、若宮さんは、ものすごいスピードで駆け抜けていらっしゃる印象があります。

いろんなことがぎゅっと詰まった激動の半年でしたね。80歳で死んでいたら、この……良くも悪くも“騒動”に巻き込まれなかったかなあって思います(笑)。

この間もビックリしちゃったんだけど、テレビを観てたら私が出てきたんですよ(笑)。「人生100年時代構想会議」に出席している映像で、安倍首相の前にちょこんと小さなバアサンが座ってるの。「あ、私だ!」って(笑)。

──(笑)。2月には国連に招聘されて、ニューヨークにも行かれるとか?

そうなんです。「シニアにとって、ICTの活用がどれだけ重要か」といったようなことを、自分の経験をもとにお話しする予定です。下手な英語ですが、スピーチを用意しています。

■年齢や性別に関係なく読んでほしい、“無識者”の人生論

──さきほどお話にも出てきましたが、若宮さんによるメッセージ本『明日のために、心にたくさん木を育てましょう』。どんな本になりましたか?

表紙にも、各章の扉ページにも、私がエクセルで描いた絵(エクセルアート)を使っていただいて、手に取るのが楽しくなるような、ワクワクする本になったと思います。

──本を作るにあたって、いちばん気をつけたところはどこでしょう?

表現方法ですね。私は有識者じゃない人間、すなわち“無識者”ですから(笑)、“上から目線”のような表現にならないように、「ひとつでもふたつでも、読者の方のお心に留まったらいいなあ」という気持ちで作りました。

──「特に、こういう方に読んでいただきたい」というのはありますか?

最初は、50代から60代くらいの方、特に女性を中心に読んでいただくイメージでしたが……いまって、本屋さんでも吉野源三郎さんの『君たちはどう生きるか』が売れているでしょ? 80年前に出版された本なのに、いまの時代にすごく求められている。

人生論のジャンルって、20代や30代の若い人たちのニーズも高いし、男性の関心も高いんだなあと感じたので、年齢や性別に関係なく読んでいただけるものにしたいと思いました。

■ 人生はお芝居じゃないんだから、役割を忠実に演じなくたっていい

──激動の2017年を経て、2018年はどんなことにチャレンジしたいですか?

もう一度、1からプログラミングの勉強をしたいですね。寝る時間を確保するのもやっとなくらいに忙しいので、なかなか難しいんですが。

──おそらく“日本でいちばん忙しい82歳”だと思うのですが、それでも数多くのお仕事をこなしていらっしゃる若宮さん。その秘訣はどこにあるのでしょう?

とにかく「すぐやる」ことですね。頼まれたことがあっても、すぐその場でやれば、メモも書かなくて済むでしょ? メモしたって……ねえ? 自分が書いたことなのに、後で見たら何を言っているのかよくわからないことが多くて(笑)。

だから、その場ですぐやっちゃうのが一番いいんです。できるものは、すぐにやる。

──なるほど。では最後に、「人生100年時代」を生きるこれからの世代に向けて、メッセージをいただけますか?

急に「人生100年時代」なんて言われるようになって、戸惑っていらっしゃる方もたくさんおられると思いますが、「人間をやっている」というのは素晴らしいことだと思うんです。

だから、戸惑ってばかりいないで、みんなで楽しく元気に人間やりましょうよ!

これからの時代、主たる仕事は「人間をやる」こと。サラリーマンをやる、公認会計士をやる、学生をやる、お母さんをやる、娘をやる、嫁をやる、おばあさんをやるとか、そういうのはとにかく後回しで、まずはなにより人間をやりましょう!

──役割にとらわれない生き方ですね。

そうなんです。人生はお芝居じゃないんだから、役割を忠実に演じなくたっていいんです。辛いと思ったら、役割を降りたっていい。お子さんたちにも、そういう視点で接していただけると良いかなあと思います。



多様な生き方や働き方が求められるこれからの時代、若宮さんの「人間をやる」というシンプルな言葉こそがまさに“理想の在り方”ではないでしょうか。

より楽しく、より自由に生きるためには、人生という舞台で役割を演じるのではなく、人生そのものを「人間」として味わい尽くしたい──“82歳のおばあちゃんプログラマー”の大冒険は、まだまだ続きます。

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