ローソンがファミマを突き放し、セブンをグイグイ追い上げ始めた理由


 ローソンは健康関連商品に特化した実験店舗「ローソンMC FOREST店」を、1月16日から2月24日までの期間限定で、東京・丸の内にある三菱商事ビルの1階にオープンした。

店内には「ブランパン」「グリーンスムージー」「蒸し鶏のサラダ」といった健康関連食品が並び、行動シーンに合わせた9種類のセットメニューを提案している。たとえば、「一日の仕事を活発にがんばりたい人」というシーンに対しては、「ライ麦パンのミックスサンド」「グリーンスムージー」「味付たまご」のセットを、「昼のひと時にデザートも楽しみたい人」には、「鶏ささみとオクラのこんにゃく麺サラダ」「からあげクン」「北海道チーズのふんわりサンド」のセットを提案している。

実験店には管理栄養士の資格を持つ店長を配置しており、客は食生活に関するアドバイスを受けることができるほか、糖質からできる体内の老化物質を測定できる機器も備えている。随時セットメニューの改変や割引販売などを実施し、客の購買データを蓄積したうえで、今後の店づくりに生かす考えだ。

●ローソンの健康志向への取り組み

ローソンの「健康」を軸にした施策の歴史は古い。2001年7月、健康関連食品が充実した「ナチュラルローソン」の出店を開始した。ナチュラルローソンでは商品の原材料にこだわり、医薬品・医薬部外品を除く全商品で合成保存料を使わないようにしているという。また、特定保健用食品を優先的に採用している。

03年12月には、調剤薬局併設型店舗の出店を開始した。一部店舗では薬剤師に24時間相談できるテレビ電話が設置している。また、09年6月に改正薬事法が施行されたのを機に、OTC(一般用)医薬品の販売店舗を拡大。14年6月に薬事法が改正されてからは、すべての店舗でマルチメディア端末からOTC医薬品の取り寄せができるようにしている。

05年5月には、100円の商品が中心の「ローソンストア100」で野菜の取り扱いを開始した。10年6月には店舗向けの野菜を安定供給することを目的として、農業生産法人「ローソンファーム千葉」を設立。ローソンファームは全国に拡大し、17年2月時点で23ファームを展開している。

12年6月には、糖質が少なく食物繊維などの栄養成分を多く含んでいる「ブラン(穀物の外皮)」を使用した「ブランパン」の販売を開始した。ブランシリーズは爆発的な人気を博し、17年10月末時点で累計1億5000万個以上を販売する大ヒット商品となった。また、カロリーが少なく野菜を多く含んでいる「グリーンスムージー」も大ヒット。15年5月より、同商品をはじめとするスムージーシリーズを販売し、17年2月末時点で累計8700万本以上を販売している。

●ミネラル豊富な高品質野菜

食品面でいえば、「健康」を前面に打ち出していくには生鮮品、特にサラダの充実が欠かせない。健康志向の高まりを背景に需要が伸びているためだ。総務省が公表している「家計調査」によると、サラダの世帯支出額(農林漁業を除く2人以上の世帯)は08年から16年の8年間で1.5倍以上増加している。コンビニやスーパー各社が力を入れている商材で、存在感が年々増しているのだ。

ローソンは12年10月に「生鮮コンビニ宣言」を打ち出し、生鮮品を導入した「生鮮強化型ローソン」の改装・出店を積極的に推し進めたり、カット野菜を中心とした生鮮品の品ぞろえを強化している。こうした施策が功を奏し、17年12月度のサラダ関連商品は1年前と比べ約10%多く販売したという。

ローソンは提供する野菜の品質にこだわりを見せている。ミネラル成分を豊富に含む野菜を栽培する技術「中嶋農法」認定のカット野菜を販売。全国のローソンファームや契約農家にも取り入れ、高品質の野菜や果物を提供している。販売を強化するため、中嶋農法の商標と開発した肥料の特許を有するエーザイ生科研を13年8月に子会社化した。同年11月には中嶋農法の認定を目指す生産者を「ミネラル栽培友の会」として認定し、同会が栽培した野菜をカット野菜として販売している。

13年10月には、ブランドスローガンを「マチのほっとステーション」から「マチの健康ステーション」に変更した。新たな事業戦略を打ち出し、健康関連商品やOTC医薬品の取り扱いを拡充させたりするなどして、「地域の健康一番店」を目指すという。

こうしたローソンの取り組みは、消費者から一定の評価を受けているようだ。健康関連商品の売上高は、13年度は600億円で食品全体の6%にすぎなかったが、16年度には2500億円・25%にまで拡大している。より一層の充実を見込み、19年度には3800億円にまで引き上げる計画だ。

ローソンは健康関連商品を差別化の武器にしようとしていると思われる。王者セブン-イレブンはプライベートブランド(PB)商品を強化することで圧倒的な成長を実現してきたが、ローソンはPBの充実化だけでは太刀打ちできないとみて、成長性があり特色を打ち出せる健康関連商品を充実させることに大きく舵を切ったのではないか。

この戦略はコンビニ業界内において一定程度の成果を出していると筆者は考えている。健康関連商品が大きく伸びているため、ローソンの日販(店の1日当たり売上高)がセブンやファミリーマートと比べると順調に推移しているからだ。

ローソンの16年度の日販は54.0万円。セブンの65.7万円と比べて11.7万円も低い。依然としてセブンとの差は大きく開いているものの、ブランパンの販売を開始し生鮮コンビニ宣言を打ち出した12年度以降でいえば、若干ではあるものの差は縮まっている。12~14年度の差は12万円台だったが、15・16年度は11万円台になっている。

一方、ファミマとは逆に差を広げ、ローソンが一歩抜き出たかたちとなっている。ファミマの16年度の日販は 52.2万円でローソンのほうが若干高く、04~11年度までの差は1.6万円未満だったが、12年度以降は1.8~2.5万円にまで広がっている。少しずつではあるが、ローソンはファミマを突き放してセブンに迫っているのだ。

これはもちろん、すべてが健康関連商品の影響によるものではない。他の商品・サービスの影響や敵失による影響なども多分にあるだろう。ただ、ローソンの健康関連商品売上高の伸びに鑑みれば、その影響が多分にあったといっても大きな間違いではないのではないか。

ローソンの健康関連商品売上高が計画通りに伸びていけば、セブンとの日販差がハッキリとわかるかたちで縮まる日が来るのも、そう遠くないのかもしれない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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