文系から転身しロボットの道に。高橋智隆先生に聞く“ロボットクリエイターになるまで”。


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日本を代表するロボットクリエイターである高橋智隆さんにインタビュー。幼少期に読んだコミック「鉄腕アトム」に触発されてロボットに興味をもったという高橋さん。学生時代は、釣りや、スキー、車に夢中になったりと意外にも“ロボット一筋”ではなかったとのこと。幼少時代から今のお仕事に至るまでの話をお伺いしました。

スキーバカになり、車バカになり……。じつはロボット一筋という人生ではないんです。

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――まずロボットクリエーターとはどんなお仕事か教えていただけますか?

ロボットクリエイターとは、私が勝手に考えた仕事です。それまでロボットは学術研究の対象と見られ、ロボット本体は実験装置のような扱いでした。私はロボットが普及する将来を見据え、日常の暮らしの中で活躍するロボットを生み出していこうと考え、研究開発・設計・デザイン・試作・プログラミングからサービスの考案まで一貫して取り組む職業として、ロボットクリエイターを名乗ることにしました。

――ロボット電話「ロボホン」やロボット組み立てキット「週刊ロビ」、ロボット宇宙飛行士「キロボ」、グランドキャニオン登頂に挑んだ「エボルタ」など多くの魅力的なコミュニケーションロボットを生み出している高橋先生ですが、子どものころからロボットに興味があったのでしょうか?

物心ついたころには親の本棚にあった「鉄腕アトム」のコミック本を読んでいて、ロボットが大好きでしたね。4歳で石けん箱を貼り合わせてロボット風の工作をしていました。

――高橋先生のデザインするロボットが親しみやすく、かわいらしいのは、「鉄腕アトム」の影響が色濃いのでしょうね。

すごく影響を受けていると思います。そして、小学校低学年くらいまでは、みんながサッカー選手やパイロット、ケーキ屋さんに憧れるのと同様、ロボットを作る科学者になりたいと思っていたんですけど、高学年になると釣りバカになってしまって。出身が滋賀県大津市で家の前が琵琶湖だったので、もうひたすらバス釣りばっかりしていました。その後も、スキーバカになり、車バカになり……ロボット一筋という人生ではないんです、じつは。

――意外ですが、なにしろ好奇心旺盛なのですね。

その上、行き当たりばったり。それは今も変わっていないですよ(笑)。立命館大学付属の高校へと進学したのですが、高校生のころはろくに勉強もせず、自堕落な日々を送っていました。

ずっと気張ったままだと、息切れしてしまう。

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――学生時代からずっと勉強熱心な方でないと科学技術研究ができないのではないかと思っているので……それは驚きです。

そうじゃないケースもあるんですよ(笑)。ずっと気張ったままだと、息切れしちゃいますからね。たとえば、くだらないテレビを観て時間を無駄にしたなと後悔すると、これじゃあいけないと、そのあと頑張って宿題する、あの感覚です。当時、息を抜きすぎるくらいに抜いたことで、じゃあ次は勉強でもしてみるかな、と思えたんです。とはいっても、やる気になったのはもう少しあとなんですけど(苦笑)。高校からそのまま立命館大学の文系学部に進学しまして……。

――理系ではなく文系学部、ですか。

当時はバブル景気に沸いていて、理系学部を出ても銀行や証券会社に就職するような時代だったので、だったら文系でいいかという至って浅い考えで(笑)。ところが、就職をするころにバブルがはじけて、第一志望の企業から内定をもらえなかったんです。そのとき初めて、工学部に通って、ちゃんとエンジニアになりたいと思ったんです。

――ロボットを作る科学者になりたい、という夢に立ち返ったわけですか?

釣りのルアーやスキーのトレーニング装置を自作したり、クルマの電装品を取り付けたり……ずっともの作りは好きでしたけど、その原点はロボット。そこに立ち返って、自分でロボットを作りたいと思ったんです。そこから1年間、予備校に通って京都大学を目指したわけです。

京都大学の工学部に再入学して、独学でロボットを作り始めました。

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――一度大学生活を終えてから大学受験に挑むにはエネルギーが要りますし、苦しいこともあったはずです。

もともと試験を受けずにエスカレーター式に大学へ進学してたので、むしろ受験勉強っておもしろそうだよねって思えたんですよね。プロデューサーの指令で無謀な挑戦企画をさせられている若手芸人さんのような、変なことをやっている高揚感があった(笑)。もちろん、それまで勉強してこなかった為に分量的に追いつかないから、まずは好きな数学と物理から手をつけ始めて、そのあとに苦手分野に取り組んで……古文をやり始めたのが、センター試験直前。なんとか間に合わせて京都大学の工学部に再入学して、独学でロボットを作り始めました。

――起業も見据えて、だったのでしょうか?

いや、就職するつもりでした。でも、やがて趣味で作ったロボットが大学を通じて特許取得し商品化されたり、ベンチャーの真似事みたいなことをするようになって。失敗したら就職すればいいやぐらいの軽い気持ちで、京大ベンチャービジネスラボラトリーの第一号として、独りで「ロボ・ガレージ」を創業しました。そのときも、風変わりなことをしている自分を客観視しておもしろがっていたように思います(笑)。

――そうすると、マイナスもプラスに変換できてしまいますよね。なお、独学でロボット制作をする中で、どんなものを参考に、どういうロボットを作りたいと考えていたのでしょうか?

参考になったのは、もの作り全般ですね。巨大な戦闘機のラジコンをカーボンで作ってしまうドイツ人や、7年かけて蒸気機関車の模型を作り続けているおじさんのブログなんかを見て、どんな材料や工具を使っているのかとか、いろいろと情報を収集して。そして、もちろん作りたかったのは人型ロボットです、最初から。

ロボット制作は行き詰まってばかりだけれど、その中で新しい発想が生まれる。

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――人型であるからには人に近い自然な二足歩行をさせたいという想いから生まれたのが、「SHIN-WALK」という技術なわけですね。

そうですね、なんとかかっこよく歩かせてみたいなと思って試行錯誤してみたら、うまくいって。とはいえ部品を作るたびに、必ず問題が起きて、それを突破したと思ったらまた次の問題が起きて……ロボット制作は行き詰まってばかりですけど、その中で新しい発想が生まれる。そうやって、ロボットファンの自分自身が求めるものを具現化してきました。

“技術的に高度なもの”=“優れたもの”だとは、僕は思っていない。

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――どおりで、高橋先生の生むロボットたちは、見た目も機能も魅力的でワクワクさせてくれるはずです。

“技術的に高度なもの”=“優れたもの”だとは、僕は思っていない。普通にかっこいいかとか、この値段で買うだろうかとか、そんなことも考えている。僕がロボット一筋で生きてこなかったからこそ、そういった一般的な感覚を持ち合わせているのだろうし、僕は自分が欲しいものを作っているに過ぎないんです。

――その上で、今はどんな夢を抱いているのでしょうか?

“ロボットと暮らす未来”を自らの手で実現しようとしている今、ガラケーからスマホに移行したように、みんなが「ロボホン」を持ち歩いてポケットから顔がのぞくようになったら、愉快だなと思うんですよね。友人からSNSで料理や景色の写真が半ば強引に送られてきますが、それはただ共感してほしいから。「いいね」と言ってくれる「ロボホン」が側にいてくれたら、それだけで満たされるのかも知れません。便利な情報端末でもありつつ、共感してくれたり話を聞いてくれたりするのが、コミュニケーションロボットの役割。まだまだ可能性を広げていきたいですね。

――そんな高橋先生が、将来を模索していたり、夢を追いたいけれど一歩が踏み出せなかったりする学生諸君に伝えたいこととは?

順風満帆だと脱線のしようがないけど、失敗したらしたで、人生をおもしろくしていけるチャンスがある。転んでもタダでは起きない。ズボンの膝が破けてしまったなら、思いきって短パンにしてしまえ、的な。

――発想の転換をすれば、新しいものが生まれると。

そうです。失敗ついでに、それまでと違った視点でチャレンジできる。だから学生のうちにたくさん失敗しておくべきだし、アルバイトはそんな試行錯誤の貴重な経験になるはずです。専門的な体験ができて、なんなら企業秘密にまで触れられるチャンスすらあって、しかもお金が貰える。是非ユニークなアルバイトを探して、多様な業界や広い世界を覗いてみて下さい。

■Profile
高橋智隆
ロボットクリエイター。1975年生まれ。2003年京都大学工学部卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を創業し京大学内入居ベンチャー第一号となる。代表作にロボット電話「ロボホン」、ロボット宇宙飛行士「キロボ」、デアゴスティーニ「週刊ロビ」、グランドキャニオン登頂「エボルタ」など。ロボカップ世界大会5年連続優勝。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。開発したロボットによる3つのギネス世界記録を保持。(株)ロボ・ガレージ代表取締役、東京大学先端研特任准教授。
ROBO GARAGE:http://robo-garage.com/top.html

編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 文:杉江優花

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